猛暑は犬猫にとっても危険です!
ただ暑いだけじゃない ― 命にかかわる危険です
Melissa Rae Sanger メリッサ・レイ・サンガー [認定獣医技術者で、動物の権利団体PETA(501 Front St., Norfolk, VA 23510; www.PETA.org)のスタッフライター]
私は外で日光を浴びるのが大好きです。太陽の温もりを感じると、心が落ち着き、地に足がつく気がします。けれど、16歳になる私の犬、ジェッサはそうではありません。ポーチでほんの数分過ごしただけで、ハアハアと息を荒げ、不快そうに身をよじり、私に向かってはっきりと「もう中に入りたい」と訴えてくるのです。
エアコンの効いた室内に戻ると、ジェッサは大きくため息をつき、体を伸ばしてリラックスします。私は認定獣医技術者として、これは単なるわがままではないと分かっています ― 命にかかわる暑さから自分を守ろうとしているのです。
犬のボディランゲージは多くを語ります。舌を垂らしているのは「普通」ではありません ― それは私たちが真剣に受け止めるべき“苦しんでいるサイン”です。過度のパンティング(激しい呼吸)、よだれ、目がうつろになる、ふらつき、嘔吐は、犬が危険なほど体温が上がっている兆候です。今年の夏も、すでに命を奪うほどの暑さが猛威をふるっています。(米国で)これまでに、少なくとも20匹の犬が熱中症など暑さに関連する原因で亡くなったと報告されています。これはあくまで氷山の一角で、大半のケースは報告すらされていません。
ジェッサは高齢犬なので、特にリスクが高いです。そして、ブルドッグ、パグ、ボストン・テリア、ボクサーといった生まれつき顔が平たい犬種も同様に危険です。これらの犬は「短頭種気道症候群」を抱えており、涼しい日でも呼吸が困難です。気温が上がると、短い鼻と変形した気道のせいで犬の主な体温調節法である“ハアハアと息をする”ことが難しくなり、熱中症、倒れる、さらには命を落とすリスクが高まります。
危険なのは空気だけではありません ― 地面も同じです。気温が30℃のとき、アスファルトの表面温度は約57℃まで上がります。これはトルティーヤを焼けるほど、つまり犬の肉球を1分もしないうちに火傷させるほどの熱さです。しかも、舗装道路は肉球を焼くだけではなく、熱を放射して、歩くたびに熱中症のリスクを高めます。
犬を外に連れて行く前に、まず手のひらを地面に当ててみてください。自分の手に熱すぎるなら、犬にとっても同じです。早朝や夕方の散歩を心がけ、可能な限り芝生の上を歩かせてください。水を持参し、日陰で休憩をとり、パンティングを妨げる口輪は絶対に使わないでください。激しい運動も避けましょう ― 犬は人間のように自分でうまく体温調節ができません。
そして、夏になると毎年のように起こるのが、車の中に取り残された犬の悲劇です。外気温が21℃の日でも、車内はわずか20分で37℃まで上がります。32℃の日には10分で約43℃に達します。それだけで、脳に損傷を与えたり、熱中症で命を落とすこともあります。窓を少し開けたり、日陰に停めたりしても何の効果もありません。善意の飼い主でさえ、犬が誤ってエアコンを切ってしまったり、鍵をかけて締め出されてしまったり、ギアを入れて車が動き出してしまったりするケースがあります。また、車のエアコンが故障したり、エンジンが停止してしまったことが原因で、犬が命を落とした例もあります。車内に犬を残すのは、どんな理由があってもリスクが高すぎます ― 犬も大切な家族です。どんな理由があっても、車に残さず、必ず涼しくした家の中で安全に過ごせるようにしてください。
もし、熱い車内に犬が取り残されているのを見かけたら、すぐに行動してください。車のメーカー、車種、色、ナンバーをメモするか写真を撮り、近くの店で持ち主を呼び出してもらいましょう。すぐに飼い主が来て犬を出さない場合は、迷わず110番か動物愛護センターに通報してください。犬が明らかに苦しんでいる ― 激しく呼吸しあえいでいる、嘔吐している、ぐったりしている、倒れている ― そんな場合は、目撃者を見つけ、状況を記録し、命を救うために必要な行動をとってください。犬を助けたら、エアコンの効いた場所に移し、水を与え、すぐに獣医に連れて行きましょう。

鎖につながれたり、囲いの中に閉じ込められたりして外に放置された犬たちも、常に危険にさらされています。もし近所にそういう犬がいたら、日陰、新鮮な水をこぼれないよう固定したバケツ、食べ物があるかを確認してください。暑さで苦しんでいる犬を見かけたら、飼い主に屋内に入れるよう勧めてください。それが無理な場合や、犬が明らかに苦しんでいる場合は、すぐに地元当局に通報してください。
ジェッサは、自分がもう暑さに耐えられないとき、私に教えてくれます。でも、世の中には、自力でその状況から抜け出すことができない犬たちが数えきれないほどいます。彼らは声をあげることができません ― だからこそ、私たちが声をあげ、行動しなければならないのです。
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