〜「政治」という視点で心理臨床の世界を捉える〜『心理臨床と政治』(『こころの科学』増刊号)3月12日発売!
さまざまなテーマから「政治」と心理臨床のつながりを模索
近年、コロナ禍を契機にさまざまな形で「政治」への関心が高まっているといえます。そうした潮流に乗るようにして、これまで「こころ」という個人の内面への支援を行ってきた心理職においても、社会との接点としての「政治」を意識することが増えてきているように思います。とはいえ、1970年代の学会改革以来、心理臨床の世界では政治的であることが避けられてきたため、政治とのつながりを考えるきっかけや、類書などはほとんどありません。
そこで本増刊では、クライエントの背景にある構造の問題、仕事として心理支援を成立させる権力の問題、心理職業界のなかでの政治的な動きなど、さまざまなテーマから「政治」と心理臨床のつながりを模索し、これからの社会で心理職が専門家として活躍するための一助となることを目指しています。
『心理臨床と政治』(『こころの科学』増刊号)
信田さよ子、東畑開人 編
A5判並製、208ページ、本体1800円(+税)
2024年3月12日発売 ISBN 978-4-535-90470-5
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/9227.html
編者の紹介
信田さよ子:原宿カウンセリングセンター顧問、日本公認心理師協会会長(2024年1月現在)
東畑 開人:白金高輪カウンセリングルーム主宰(2024年1月現在)
目次
*序 論
心と政治
——「善く生きること」についての二つのまなざし
……東畑開人
*家族の暴力を生みだす社会
暴力の理解とDV加害者臨床
——ソーシャルレスポンスの観点から
……高橋郁絵
加害の地図を描く
——DVに作用する男性性を可視化する臨床実践
……西井 開
「ケアの倫理」から考える、家族と国家……岡野八代
母の愛は政治的である
——母娘問題のこれまでとこれから
……信田さよ子
*臨床と権力のつながり
行政のなかの心理職
——なごや子ども応援委員会の取り組みから
……川岸晃子・篠田真希・廣田希代子・見並ひろか
権力の暴力とケア——児童相談所の一時保護をめぐって
……阿久津航太
心理職の価値を高めるために、我々が政治的にやるべきこと
——研究およびパブリック・アフェアーズの観点から
……末木 新
臨床心理学と政治
——日本臨床心理学会の一九七〇年代を振り返る
……堀 智久
*心理臨床家をとりまく力学
国家資格の力学——行政、アカデミズム、権力
……下山晴彦
学派たちの政治……山崎孝明
精神分析とフェミニズム、そして臨床心理学へ
……西見奈子
SNSよ、こころを掻き乱さないでくれ……日野 映
私たちの仕事とくらしを守る——心理職ユニオンからの提案
……心理職ユニオン
被害の語りと心理学——セラピー文化のポリティクス
……小池 靖
*対人援助と社会変革
「反・対話」の関係性を変える
——精神医療・福祉の現場を見据えて
……竹端 寛
アディクション臨床における社会的な力の影響
……河西有奈
市民団体の活動による政策転換
——アルコールの社会規制を中心に……今成知美
声を奪われた被害者の権利を擁護する社会の実現に向けて
……平川和子
*対 談
心理臨床にとって政治とは何か……信田さよ子×東畑開人
*総論にかえて
「パーソナル・イズ・ポリティカル」再考
——フェミニズムからPTMFまで……信田さよ子
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