キャリアの振り返りについて
社会人となって、30代に差し掛かってくると仕事では様々なポジションや役割を与えられるようになり、20代の頃に経験したものとは異なる忙しさを経験することになります。
またプライベートにおいても結婚、出産、マイホーム購入など様々なライフイベントが起きます。
このように仕事や家庭の忙しさに追われていると、ゆっくりと自分のことを振り返る時間もなく、つい後回しにしてしまいがちになりますが、一度ゆっくり時間を確保して自分自身のキャリアの振り返りを行ってみましょう。
今までの仕事のキャリアを振り返ることで、自分を客観的に見つめ直し今後の課題の発見につながります。
振り返りを通じて昇進、転職、理想のキャリアアップなど皆様のなりたい自分への第一歩につながれば幸いです。
01. キャリアの振り返りとは?
キャリアの振り返りとは、社会人として歩んできた自分自身を客観的に見つめ直すことです。
今までの社会人としての歩みを振り返り、自分では気が付かなかった能力、長所、短所を振り返り、客観的に自己理解する事で成長ポイントを見つけ、自分の今後を探す材料とすることができます。
また、今までのキャリアを客観的に見直し、フラットな視点で振り返ることで現在までの成長を実感し、成長過程と身に付けた能力、長所を活かして今後の自信につなげることができます。
振り返りを通じて生まれた発見(気づき)から、これからの人生やキャリアについて考え方の変化、行動の変化を促すことができます。
また、この考え方の変化と行動の変化を今後の目標につなげていくこともできます。
キャリアの振り返りを行ったからといって、今後の自分に過大な目標を見つけなければならないという訳ではありません。
まずは小さな発見と、できる目標作りから始めることが望ましいでしょう。
振り返りはリフレクションとも言われます。
リフレクションとは「反射」「反映」という意味を持ちますがキャリアにおいては「物事について客観的な振り返り」、「内省」という意味で使われます。
反省の主な目的は「誤り」を正すことです。
これまでに起こった事実に対して、どこが悪かったのか自分自身の間違いについて思い出し、原因や理由について深く探ります。
スポットを当てる部分が「間違い・ミス」であるといえますが、リフレクションでは、「間違い・ミス」だけにスポットを当てるのではなく、フラットな視点で振り返って客観的に自分の行動を見つめます。
「現状⇒これまで自分はこんな行動をしてきた⇒どうすればもっと上手くいったのか?」
このように今後より一層の効果をもたらすために、未来志向で振り返り自己の成長につなげていくことがリフレクション(振り返り)となります。
02. 自分の客観的な見つめ直し
自分のことについて客観的に振り返る際のポイントとして、どのように振り返ればよいのか具体的な振り返り方をご説明します。
ここで重要となるのはいきなり新入社員の頃から現在までの数十年をただ、漠然と振り返ってはいけないということです。
漠然と振り返ってしまうと課題となるポイントの軸がぶれてしまい、何について振り返っているのか出来事が多すぎて振り返った内容がまとまらない等、ただ振り返っただけになってしまうことや、外的要因等について批判的な考えにつながってしまいかねないからです。
例)コロナ禍のせいで〇〇〇〇ができなかった。
できなかったのはコロナのせいだ。
これでは振り返ること自体はできていますが、外的要因(コロナ)により具体的に改善したり、今後の成長ポイントを見つけにくいということが言えます。
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◉ 具体的な振り返りの方法
① 何が起きたのか「振り返るできごと」についてどうだったのか
(振り返ってみる事例を考えてみる)
② 他者や周りの環境、要因はどうだったのか
(その事例が起きた際、自分の身の回りに起きていた事を考えてみる)
③ 自分自身についてどうだったのか
(その事例が起きた際、自分自身はどう考えていたかを考える)
→どうすれば良くなるかを考える事が最も重要です。
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◉ 振り返りの例
① 先日プロジェクトミーティングを行ったが、
皆から余り意見が出なかった。なぜ余り意見が出なかったんだろう?
② 自分はミーティングの中で、積極的に意見を出すことができた。
意見を出したことでミーティングも進むことができたのでこれは続けていこう。
③ 自分が積極的に意見を出し過ぎて雰囲気がきまずくなり、
意見を言いづらくさせてしまったのかもしれない。
今後このようなことがないように意識しておこう。(発見)
④ 自分が積極的に意見を出すと共に
余り意見を出していない他のミーティングメンバーの意見も聞いてみよう。
03. 課題の発見
上記の例③に書いている「発見」これが振り返りにとって最も重要な事です。
ただ、この発見は思いついた時は良いものの時間経過ですぐに忘れてしまうことがあります。
発見を継続した今後の目標とする為にも記録しておくことをお勧めします。
記録と言っても難しいものではなく普段使っている手帳やパソコン、スマホ等に記録しておくというような簡単で、見返しやすいものに記録しておくと良いでしょう。
ここでは発見した課題がどのような効果を生むのか見ていきます。
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① 仕事への取り組み方が変わる
発見した課題を書き出すことで、仕事に対して今後どのように取り組むのか。
進むべき役割はなんなのか、どのような事で貢献することができるのか等、今後の仕事や将来における目標を見つけることができます。
書き出すことで頭の中で考えていた、「まとまりきらなかったこと」が明確で具体的になり新しい自分の強みや課題が分かるようになるはずです。
これにより仕事に対する今後の取り組み方や将来的な展望が、より具体的で充実したものになるでしょう。
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② 具体的な数値目標で考える
自分の強みや弱み、今後の課題が具体的になってきたら、具体的に数字で考えてみる事も重要です。
数字とは時間や年月、時期などのことです。
たとえば、将来自分が思い描いている役職があるとします。
その役職に就くためにはどんなことを順に行っていけばよいのか、追って考えることができるようになります。
最初からあまり長期的な目標を考えても時間経過と共に課題も変化しますので、まずは短期的な目標から考えて、中期、長期的な目標を組み立てることができれば分かり易く、実現し易くなります。
今後自分が何をするべきなのかを数値化して考えることで計画を作る事ができ、それが今後の目標につながっていきます。
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③ ライフイベントへ備える
キャリアの振り返りを行う中で、仕事におけるキャリアのみ振り返るのではなく、ライフイベントについても振り返る事が大切です。
プライベートと仕事は別と考えている方でもプライベートで起きたことは仕事や働き方に直結します。
結婚や出産、マイホームを購入する、両親の介護や子の進学など、今後の人生において様々な転機が待っています。
そのような予測可能な転機を今までのキャリアを振り返りながら予測し、備えていく事も重要であるといえます。
具体的なもので子育てを例にあげますと、今までと同じ働き方を続けることができるのか、給与や昇給に影響があるのか、子の成長に伴う学校行事などの係わり、地域との係わり等、仕事のみに限らない様々な物事との検討が必要となってきます。
振り返りを通じて仕事と家庭のワークライフバランスを意識しながら今後の転機を予測し目標を具体化していきましょう。
様々な状況の予測をしておくことで環境の変化に対応できる備えをしていくことができるようになります。
04. まとめ
キャリアの振り返りがもたらすものは頭の中で漠然と考えている自分の将来像やライフプラン、強み、弱みなどをゆっくりと振り返り、書き出すことで客観的な自己理解と今後の成長ポイント、進むべき道を具体的にできるということです。
振り返りを通じて生まれた発見(気づき)を今後のキャリアやライフプランの道しるべにすることで仕事へのモチベーションアップや転機への備えとなるでしょう。
通勤時間や休憩時間などちょっとした時間を利用して小さな振り返り(リフレクション) を繰り返してみてください。
それが今後の大きな振り返りにつながり皆様の未来をより良くしてくれるものになると感じます。
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