能登・輪島市の仮設校舎で「得意」を仕事にする出前授業を開催しました
~クラスメイトや親と自分の将来について話すきっかけに~
家庭紙卸商社アスト株式会社(大阪市)の要芳と申します。令和6年能登半島地震から1年8か月、今も仮設校舎で学ぶ輪島市の小学生に向けて、未来への一歩を考える“出前授業”を開催しました。授業ではこどもたちが自分の好きなことや得意なことを考え、仕事の選択肢や生き方の多様性を、企業の視点から伝える取り組みです。
■ 能登・輪島で出前授業を開催した理由
報道が減り、関心が薄れてしまった今こそ、「能登のことを忘れないで」という声に応えたい。このプロジェクトは、そんな想いから生まれました。
石川県輪島市は、昨年の能登地震や秋の豪雨で大きな被害を受け、今もなお仮設住宅で暮らす方がいたり、歩道が十分に整備されていない場所があったりと、復興の途中にあります。今回出前授業に伺った小学校も、6つの小学校が1つの仮設校舎に集まり、こどもたちが一緒に学んでいました。輪島市6小学校で働く姉の話を聞くたびに、「私たちにできることは何だろう」と考えてきました。そこで、これまで取り組んできたこども支援・女性支援につながる社会貢献活動「家庭紙から生まれる支援の輪プロジェクト」を、輪島でも形にしたいと考え、今回の出前授業を企画しました。


■ 自分の得意を見つけて、将来の夢を膨らませる学びの授業を開催
自分自身と向き合い、「なりたい職業」ではなく、「向いている職業」について知り視野を広げてほしいという想いでたくさんの可能性を伝えられるように授業を行いました。

【日時】
≪1日目≫2025年11月13日(木) 13:30~14:20
≪2日目≫2025年11月14日(金) 13:30~15:20
【場所】石川県輪島市河井町18部1番地2 輪島市6小学校
≪1日目≫多目的ルーム ≪2日目≫体育館
【対象】6年生児童 61名(6名欠席)
【内容】
≪1日目≫
①自分自身を見つめなおし「好き」や「得意」を考える
自分の私生活や性格などを振り返り、好きなことや得意なことを書き出してもらいました。
(例)運動、絵を描く、動物、算数、ダンスなど


②他者から見えている自分の強みを知る
同じグループ内でお互いの強みやいいところを共有しました。
自分では気づいていなかった内容が出たり、新しい発見もありました。


グループ内だけでなく、6年生全員の前で自分について聞きたい人を募り、他者からの意見をもらいました。
発表者には手を挙げてもらい、いいところや強みをそれぞれが発表しました。意見をもらった児童はクラスメイトから褒められて、少し照れくさそうに、でも嬉しそうにしていました。



③伸ばしていきたい好きや得意をひとつ決める
他者から見た自分と、自分で考えた好きや得意なことなどを踏まえて、どの部分をこれからも伸ばしていきたいのかを1つ選んでいただきました。決めていただいたテーマごとに授業後グループを再編成し、翌日の授業の準備を行いました。
≪2日目≫
①1日目に1つ選んだ好きや得意をなぜ好きなのかを考える
いつ頃から好きだったのか、得意になったのか、どうして好きなのか、どんな時にそう思うのかなど、1つに選んだ好きや得意について深掘りをしてもらいました。「なんとなく好き」と思っていたことでも、アスト社員や同じグループの中で話をする中で、「こんな理由で好きだったのか」「こんな時が楽しいからだ」と発見がありました。

②特徴一覧の資料を使って、自分にあてはまる特徴を考える
弊社で作成した27個の特徴から自分に当てはまるものや、選んだ好きや得意に関連できそうな自分の特徴を選んでもらいました。


③職業一覧を使って、どのような職業へ繋げられるのかを考える
弊社で作成した54枚の職業カードを使用して、自分の選んだ好きや得意×自分の特徴でどんな職業に繋げることができるのかを考えました。
これは「自分がなりたい職業」ではなく、「どんな職業につく可能性があるのか」「どの職業が向いているのか」という視点で考えていただきました。


④発表と企業からのフィードバック
11名の児童に自分の考えた内容を発表していただき、その発表に対するフィードバックをアスト社員よりお伝えしました。
フィードバックでは、発表者の好き×特徴にあう職業で、職業一覧にあるが選択されていなかった職業の紹介と、職業一覧にはないがむいているかもしれないと思う職業についてもご提案させていただきました。



■ 授業を受けた児童の感想
・絵を描くことが好きで、絵に関する仕事をしたいと考えていただけど、絵の仕事と言ってもお菓子のパッケージデザインや、洋服のデザインなどいろいろなデザインのお写真の種類があると知りました。
・自分の職業は絶対これ!と決めるのではなく、いろいろな可能性を持ちながら、自分の将来についてしっかり考えたいと思いました。

■6年生児童全員の フィードバック
前授業時の発表では11名のみにフィードバックを行いましたので、ワークシートを持ち帰り、6年生全員分のフィードバックを作成し、学校へ郵送させていただきました。1人1人が自分の作成したワークシートで振り返りを行い、クラスメイトや親御様と自分の将来について話すきっかけになれば幸いです。

■ 出前授業では「古着deワクチン」を通してSDGsを考えるきっかけ作りも実施
出前授業では日頃弊社が取り組んでいる「古着deワクチン」もあわせて実施しました。
日本では年間約70万トンの洋服が家庭から手放され、そのうち46万トンがゴミとして焼却・埋め立て処分されています(環境省データ)。洋服の供給量が増え、購入時の選択肢が増えたことで、消費者は新しいものを購入し、その結果クローゼットには使わなくなった、いずれゴミとして処分される洋服が沢山眠っている現状があります。
古着deワクチンは回収した古着をカンボジアの直営センターに輸出して販売、売れた衣類1点につき1人分、専用の回収キットを購入することで、袋のサイズにもよりますが5~20人分のワクチンがラオス政府保健省に寄付され、そこから開発途上国のこども達へと送られます。また直営センターに届いた古着は、選別後、世界中の発展途上国へ再輸出される仕組みです。
1日目の授業で古着deワクチンについて説明をし、2日目にお家に眠っていた古着を持ってきてもらいました。
大袋1袋分が集まり、ポリオワクチン約20人分の寄附に繋がりました。


■ 3社の家庭紙メーカーが取り組みに共感
取引のある家庭紙メーカー3社(大王製紙㈱・王子ネピア㈱・日本製紙クレシア㈱)に今回の出前授業についてお知らせしたところ、取り組みに共感いただき、6年生の皆様や先生方へのお土産として、トイレットペーパーやティッシュ、マスクをプレゼントしていただきました。
お土産を受け取った児童からは「お母さんにプレゼントする!」「たくさんあって嬉しい」などの喜びの声が寄せられました。


また親会社であるセンコーグループがグループ会社全社を対象に、社員の新たな挑戦や社会課題に挑み、成果をあげた取り組みを毎年表彰する「みんなのチェンチャレアワード」にて、アストは、古着deワクチンの活動が〈最優秀賞〉、こども支援の活動が〈優秀賞〉を受賞いたしました。
今回その賞金を全額、学校で使用する備品として寄附をさせていただきました。少しでも子供たちや学校のお役に立てていれば嬉しいです。
■ 「家庭紙から生まれる支援の輪プロジェクト」の今後の展開と目指す未来
今回の出前授業は私たちにとって初めての取り組みでしたが、復興に向けて日々頑張っているこどもたちに、少しでも将来への希望や、明るく前向きな気持ちを届けられていたら嬉しく思います。
今後はこども支援活動として、他の小学校でも出前授業を行ったり、親子で学び楽しめる「てんとう虫となかまたち」イベントを継続して開催していきたいと考えています。
多くの方にこの活動を知っていただき、私たちが目指す「誰ひとり取り残されない未来」の実現に一歩ずつ近づき、様々な支援の輪が広がることを目指しています。
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