千葉県市川市で続く「中津攸子文学の会」──声に出して読む、じっくり味わう読書会
千葉県市川市で開かれている「中津攸子文学の会」は、作家・中津攸子(なかつ・ゆうこ)先生の著作を、声に出してじっくりと読み進める会です。今回は会の様子や中津先生とのエピソードについて、代表の青沼知子(あおぬま・ともこ)さんにお話をうかがいました。
会の概要紹介
市川市在住、市川に関する著作も多い中津攸子氏の文学作品を毎月音読している会です。
2022年7月1日に設立し、年に一度、中津攸子氏の歴史講演会を行っています。
会員は男性2名、女性10名で、主な年齢層は60代です。
作家紹介:中津攸子先生

市川市在住。日本史や市川にまつわる著作多数。
令和6年11月に市川市名誉市民受賞。
日本ペンクラブ会員、日本文芸家協会会員、俳人協会会員、大衆文学研究会会員、元NHK文化センター講師、元よみうり文化センター講師、元新樹主宰。
会長に聞く会の様子
——今回は会の代表である青沼知子さんから、会の様子をお聞きしました。
青沼知子さん(以下、青沼):
市川で有名な「真間の手児奈」という人物がおります。一般的に彼女が美しい娘であり、多くの男性が魅了され、そのことに困って身を投げたと言われており、地元民の私どももそれを信じ誇りにも思ってきました。ですが先生の著作『万葉集の中の市川』では、先生がそれを全く覆す説を書いておられます。
作中では「すなわち手児奈とは単なる一般名称であり、それは大和政権の全国の国府創設に伴い、立ち退きを迫られた真間の地域豪族たちの悲哀に富む象徴であったのだ」と書かれているのです。
「いったい何が“きっかけ”で、その主張をされるようになったのでしょうか?」と質問しましたところ、先生は「私の悲惨で凄烈な戦争体験から、大人の言うことは、自分の目で必ず確かめてみないと信じられなくなったことによります」と言われました。
——直近では、どのような作品を扱いましたか?
青沼:
今扱っているのは『万葉集成立の謎』です。
万葉集に収められた歌が詠まれた期間は、4世紀ごろ(伝承歌)から8世紀後半まで、約400年もあります。先生は「それは文字が無い時代のことだから、成立できる訳がないと一般に言われていますが、日本には古代文字があり現在、すべて読むことができます。ですから万葉集は記述されていたのです」と。
私どもが、いかに常識を疑わずに物事に向かっているのかを、大きく反省させられます。
先生は常に、膨大な量の書物から「真実であるかどうか」を念入りに検証しておられ、その洞察の深さと旺盛な好奇心とに私どもは毎回敬服させられています。
また印象深いのは、どの作品にも通奏低音のように「国民(くにたみ)が平安で幸せであってほしい」とする真剣な祈りがあることです。
そのような数多くの作品に触れることにより、私たちは他のどんな文学作品でも得られないような啓蒙を受け続けております。

会の詳細
市川市市役所ミーティングルームにて、毎月第三月曜日に開催されています。
会費は500円、文学や歴史に関心のある方を随時募集中です。
誰かと一緒に読むことで、物語や歴史に新たな発見が生まれる。
そんな豊かな読書の場です。
お問い合わせ
住所:272-0823 千葉県市川市東菅野3-11-9
電話・FAX:047-702-9930
E-mail:my.black.cat822@gmail.com
連絡可能時間:9〜17時
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