【絶版から、ふたたび世に】 亡き夫の書いた書籍が、再出版をきっかけに「自費出版文化賞 特別賞」を受賞
山形県・朝日連峰で山小屋「朝日鉱泉ナチュラリストの家」を営みながら、人々と自然の営みを記録し続けた小屋番・西澤信雄氏(1948–2023)の著書『みちのく朝日連峰山だより ─ あるナチュラリストの小屋番日記から』(株式会社22世紀アート刊)が、第28回 自費出版文化賞(主催:NPO法人日本自費出版ネットワーク) において応募総数805作品の中から、特別賞(個人誌部門)を受賞し、11月8日(土)に東京都・千代田区のアルカディア市ヶ谷にて行われた授賞式にて表彰式が行われました。
本書は約40年前に刊行された後絶版となり、長らく人々の手から離れていた一冊です。著者の逝去後、その言葉を未来に残したいと願った妻・西澤氏により、電子書籍・POD版として再刊行され、今回の受賞へとつながりました。
■ 一度絶版となった夫の書籍をPOD・電子書籍によって再出版
20代で脱サラし、家族とともに朝日連峰で山小屋を営み始めた著者、西澤信雄。 厳しくも豊かな自然の中で生活しながら、地元の山人、山菜採りの名人、釣り人、旅人など、山に生きる人々の暮らしに深く魅了され、山小屋のオフシーズンである冬の季節に執筆に打ち込み、7冊の書籍を執筆。
「この人たちの生き方は、記録しなければ消えてしまう」。
その思いから、西澤氏は山小屋での体験や人々との交流を綴った作品を次々に執筆し、生涯で7冊の本を残しました。しかし、その多くは生前に大きな評価を受けることなく、一度は絶版となってしまった過去がありました。
著者の死去後、夫の想いを世に残す方法はないだろうかと考えた妻が、電子書籍とPOD(プリントバック)にて夫の作品を再出版を決意。
再出版後で刊行された2024年2月に自費出版文化賞に応募し、今回の受賞へ繋がった。

著者:西澤信雄氏
■ 著者妻のコメント「夫のために形として残したかった」
「夫が出会った山の人たちの知恵や、自然と共にある生き方は、消してはいけないものだと思いました。亡くなった後に残されたテープや文章は、夫が見た風景そのものでした。だからこそ、もう一度世の中に届けたいと感じたのです。」
『みちのく朝日連峰山だより』は、「失われかけた記録」を再び世に送り出すための刊行となりました。
今回の受賞は、作品そのものだけでなく「家族の想いを世に残したい」という強い家族への愛情が評価されたものとも言えます。

授賞式でスピーチをする著者奥様、敬子さん

受賞された証書を手に笑顔を見せてくださった敬子さん。
今回の受賞は、作品そのものだけでなく「家族の想いを世に残したい」という強い家族への愛情が評価されたものとも言えます。
■ 書籍について

朝日川を望み、大朝日岳を正面に据える「朝日鉱泉ナチュラリストの家」は、自然を愛する人々が集う場として長く親しまれてきた山小屋。そこで小屋番を務めた著者が、山小屋での日々と訪れる人々の姿を綴った記録です。
登山経験に乏しかった著者は、当初は山小屋の営みに戸惑いながらも地元の山人や常連客との交流を通じて次第に山の暮らしに馴染んでいきます。
「近くに葬儀屋ありますか」と真顔で尋ねる釣り人、
家族の制止を振り切って山に入る85歳のキノコ採り、
季節ごとに現れる山菜と茸の名人たち。
彼らとの出会いや食や労働をめぐるやりとりは、あくまで日常の一場面として淡々と記されています。
山小屋を訪れる人々の気質や、自然とともにある生活の感覚、そして山中での時間の流れがユーモアを交えながら丁寧に描かれ、朝日連峰に息づく暮らしの断片を記録した一冊です。

■ 書籍情報
書籍名: みちのく朝日連峰山だより ─ あるナチュラリストの小屋番日記から
著者: 西澤信雄
販売価格: 2310円(税込)
発行形態: 電子書籍およびPOD(プリント・オン・デマンド)
発行元: 株式会社22世紀アート
Amazon販売ページ:https://www.amazon.co.jp/4867851698
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