サイエンスアゴラ2025で科学技術の持続的な発展に向けて対話の場 日本科学振興協会「信頼される科学、活躍できる研究者へ」

NPO法人日本科学振興協会

2025.09.13 21:24

日本科学振興協会(JAAS)はサイエンスアゴラ2025において、シンポジウム「信頼される科学、活躍できる研究者へ」を実施いたします。本シンポジウムは、研究者が安心して挑戦し続けられる環境の整備を通じて、社会課題の解決や知的探究を促し、豊かな未来社会の実現を目指すものです。 長年にわたり日本の研究を支えてきた「研究氷河期」の世代の静かなる離脱や、博士課程進学者の減少、若手のキャリア不安といった課題は深刻化しています。今こそ、世代を問わずすべての研究者が力を発揮できる環境を整備することが、日本の研究力回復に不可欠です。 科学技術の持続的な発展には、研究活動に対する社会の信頼性が欠かせません。文部科学省の「研究不正ガイドライン」公表から10年。生成AIなどの新たな課題も踏まえ、研究倫理のあり方をアップデートする時期に来ています。 本シンポジウムは、政・官・学・民の多様な立場から識者を招き、参加者との対話を通じて、現場の声を政策や制度に反映させることを目指します。現在策定中の「第7期科学技術・イノベーション基本計画」にもつながる議論を展開し、研究現場の知恵と社会の期待を結びつけます。 日本科学振興協会(JAAS)は、本企画を通じて、科学と社会がともに未来を築くための希望と戦略を、皆さんとともに描いていきます。

■□企画概要■□

信頼される科学、活躍できる研究者へ ―研究力強化と研究倫理から考える、次世代人材が輝く未来の創出

(日時) 10月25日(土) / 10:30~15:00

    ・科学への信頼(研究公正)10:30~12:00

    ・日本の研究力を再生する(人材育成)13:30~15:00

(会場) 日本科学未来館7F 未来館ホール

サイエンスアゴラ2025で、JAASが挑む2つの問い。「研究力の低下、どう立て直す?」「不正のない科学、どうつくる?」 未来の科学の姿を、今ここから一緒に考えませんか?

 

■□企画内容■□

セッション1)科学への信頼(研究公正)10:30~12:00

トランプ政権では科学研究支援が大幅にカットされようとしており、また反ワクチン運動の旗手の一人が厚生部門のトップに就任しました。日本においても、科学に対する信頼が揺らいでいることは、原発事故や新型コロナのパンデミックの際に浮き彫りとなりました。この問題に対する特効薬はありませんが、科学の社会への融和を目標とした取り組みを続けることが大切です。このセッションでは、パネリストから科学コミュニケーションの重要性、科学コミュニケーションの実践についてお話しいただき、社会と研究者のミスコミュニケーションが生じる理由、身近な場における科学との付き合い方といったトピックについて意見交換します。

<シンポジスト>

l  堀口 逸子 HORIGUCHI Itsuko
慶應義塾大学

長崎大学歯学部卒。長崎大学大学院医学研究科公衆衛生学専攻修了。博士(医学)。順天堂大学医学部助教、長崎大学広報戦略本部准教授、東京理科大学薬学部教授を経てフリーランス。2015年より2期6年内閣府食品安全委員会委員、厚生労働省新型コロナウイルスクラスター対策班にて旧Twitterアカウント「新型コロナクラスター対策専門家」開設及び運用を担当。環境省エコチル調査企画評価ワーキンググループ委員等を務める。

l  田中 幹人 TANAKA Mikihito
早稲田大学政治経済学術院 教授。

2003年、東京大学大学院修了(博士(学術))。国立神経研究所流動研究員、早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム助手等を経て2021年より現職。計算社会科学や科学技術社会論をベースに、科学的リスク情報がマス/ソーシャルメディアを通じてどのように議論されているか、どう議論されるべきかなどの問題の研究をおこなっている。

l  髙橋 明子 TAKAHASHI Akiko
千葉大学大学院医学研究院 人工知能(AI)医学 特任助教。

生態学分野にて博士(農学)を取得。大学研究員等を経て、2016年に日本科学未来館の科学コミュニケーターとして入職し、感染症をはじめ生命医療に関わるイベントを企画・実施してきた。2021年より現職。

l  詫摩 雅子 TAKUMA Masako
科学コミュニケーター

千葉大学大学院理学研究科修士課程(生物学専攻)を修了後、1990年に日本経済新聞社に入社。科学技術部の記者(バイオ担当、厚生相記者クラブ担当など)、日経サイエンスの編集者・記者・ウェブ担当を経て、2011年に日本科学未来館に入職。広報担当ののち、ノーベル賞などの時事問題、生命科学、生命倫理に関するイベントの企画・統括。2023年よりフリーランス。

l  田中 智之 TANAKA Satoshi
京都薬科大学教授 博士(薬学) JAAS研究環境改善WG

京都大学、武庫川女子大学、岡山大学を経て2018年より現職。アレルギー、特にマスト細胞を対象とした基礎研究を行っている。並行して研究公正の問題にも取り組んでいる。「科学者の研究倫理」(2018年、共著、東京化学同人)、「あなたの知らない研究グレーの世界」(2023年、編著、中外医学社)

 

セッション2)日本の研究力を再生する(人材育成)13:30~15:00

トップ10%論文の比率の低下など、近年、日本の研究競争力は著しく低下し、世界的プレゼンスが失われつつあります。その背景には、研究資金の過度な選択と集中や、改正労働契約法の影響による有期雇用の常態化など、研究人材を取り巻く環境の悪化が挙げられます。とりわけ若手研究者にとって雇用の不安定さは深刻であり、長期的な視点に立った研究の継続やキャリア形成が困難となっています。研究の基盤を支えるのは人材であり、その育成と処遇改善なくして日本の科学技術の再生はあり得ません。博士人材がアカデミアのみならず産業界・官界においても力を発揮できる社会の実現に向けて、制度改革と政策支援の在り方を多角的に議論します。

<シンポジスト>

l  古川 哲史 FURUKAWA Tetsushi
東京科学大学 執行役副理事(総合戦略担当)執行役副学長(研究・産学官連携担当

東京医科歯科大学医学部卒業。内科・循環器内科研修、大学院医学研究科博士課程修了後、マイアミ大学留学。学術振興会特別研究員、東京医科歯科大学難治疾患研究所・助手、秋田大学・助教授を経て、2003年より東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授。東京医科歯科大学教育研究評議会評議員、副理事・副学長(改革推進・広報担当)、理事・副学長(研究・改革担当)を歴任し、2024年10月より現職。

l  磯谷 桂介 ISOGAI Keisuke
中部大学 理事

1984年文部省入省 石川県企画開発部参事、北陸先端科学技術大学院大学助教授、東北大学総長主席補佐、政策研究大学院大学事務局長、文部科学省大臣官房審議官(研究開発担当)、名古屋大学理事・事務局長、文部科学省研究振興局長、科学技術・学術政策研究所長、中部大学副学長・先端研究センター教授等を経て、2023年6月より中部大学理事・先端研究センター教授。博士(工学)。専門分野:科学技術・学術政策

l  金井 良太 KANAI Ryota
株式会社アラヤ 代表取締役

株式会社アラヤ創業者。2000年京都大学理学部卒業後、2005年オランダ・ユトレヒト大学でPhD取得。米国カルフォルニア工科大学、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて研究員。JSTさきがけ研究員、英国サセックス大学准教授を経て、2015年にアラヤを創業。神経科学と情報理論を融合させ、AIの意識実装に向けた研究やAIと脳科学の実用化に取り組む。2020年より内閣府ムーンショット型研究開発事業のプロジェクトマネージャーを務める。

l  大野 敬太郎 OHNO Keitaro
衆議院議員

自民党 香川県第三選挙区。平成5年 東京工業大学大学院を修了し、富士通株式会社勤務、カリフォルニア大学バークレー校での客員フェローを経験する。平成18年東京大学産学官連携研究員として情報理工学のPhDを取得。その後、政界に入る。これまでに内閣府副大臣(経済安全保障・防災等担当)や防衛大臣政務官を歴任。現在は党科学技術イノベーション戦略調査会会長や党政務調査会副会長などを務める。

l  市川 衛 ICHIKAWA Mamoru
武蔵大学 社会学部 メディア社会学科 准教授、医療ジャーナリスト 

医療の「翻訳家」。00年東京大学医学部卒業後にNHK入局。医療・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員を期に(一社)メディカルジャーナリズム勉強会を立ち上げ代表に就任。20年より広島大学医学部客員准教授。25年より武蔵大学社会学部メディア社会学科准教授。主な作品にNHKスペシャル「睡眠負債が危ない」。19年Yahoo!ニュース個人オーサーアワード特別賞。

l  三輪 秀樹 MIWA Hideki
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神薬理研究部 室長、JAAS研究環境改善WG

東京工業大学生命理工学部卒。東京大学大学院医学系研究科修了。博士(医学)。ハーバード大学・Visiting assistant professorなどを経て、2018年より現職。統合失調症など精神疾患の病態生理学に関する基礎研究を行っており、自身の研究成果が社会実装に結びつくことを夢見ている。2003年株式会社リバネス設立に参画し、「理科離れ」「異分野交流」に興味を持ち、社会的貢献も目標としている。

 

■サイエンスアゴラ2025

開催日程: 2025年10月25日(土)・26日(日)10:00〜17:00

会場:テレコムセンタービル、日本科学未来館(東京・お台場青海地区)

公式サイト: https://www.jst.go.jp/sis/scienceagora/2025/

主催: 科学技術振興機構(JST)

 

■特定非営利活動法人日本科学振興協会(Japanese Association for the Advancement of Science)

分野、組織、職種・職階、国籍・民族、世代の垣根を超え、あらゆる人々が参加することのできる組織を目指して、日本科学振興協会(略/通称:JAAS、ジャース)が設立されました。日本の科学の明るい未来のためには、科学の振興に意欲を持つ多様な立場の人々が対話・協働する必要があると考えています。

 

■JAAS年次大会2025に関するお問合わせ先

日本科学振興協会年次大会 事務局 

年次大会特設Webサイト https://jaasscience.my.canva.site/jaasmeetings2025

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種類
イベント

カテゴリ
自治体など