5/1開幕 ミャンマーのアーティストが刻む100人のいのちの記録「Masking/Unmasking Death 死をマスクする/仮面を剥がす」
2022年5月1日〜10日、展覧会「Masking/Unmasking Death 死をマスクする/仮面を剥がす」を東京藝術大学大学美術館 陳列館にて開催します。国軍によるクーデターと暴力を受けて混乱するミャンマーで失われる人々のいのちを刻み、死の真実を明らかにするアーティスト カミズによる作品を世界初公開。アジアのアートや文化的実践を研究する居原田遥がキュレーターを務めます。
2022年5月1日より、東京藝大AAI特別企画「Masking/Unmasking Death 死をマスクする/仮面を剥がす」を開催します。
2021年2月、ミャンマーで起きた国軍によるクーデター以降、アーティスト カミズは多くのいのちが失われる現実を目の当たりにし、犠牲者の顔をかたどったマスクを制作してきました。匿名性を保ち、ウイルスの脅威からも身を護るマスクは、現在のミャンマーにおいて生の象徴といえます。カミズはマスクに鎮魂の祈りと、彼ら一人ひとりの生の証を刻み、それらを剥がす-死の真実を明らかにする-ことを試みます。
本展では、今もミャンマーで制作を続けるカミズから届いた100のマスクを、世界で初めて公開。アジアのアートや文化的実践を研究する居原田遥によるキュレーションで、ミャンマーのクーデター勃発から現在までを見つめ、芸術による連帯がもたらすその未来に目を向けます。
キュレーターのメッセージ
「絶望」を越えるために。
ここから遠く離れた地であるミャンマーで起きたクーデターで覚えたのは、途方もない絶望だった。当たり前の自由と未来を求める人々に対し、非道かつ不当な暴力が止まらない。声をあげるだけで命の危険にさらされ、時には全てを奪われ、恐怖を抱えながら耐え凌ぎ生きる人々がいる。諦めることなく、抵抗を示す声。あるいは、沈黙を続けながらも可能な手段で届く意思。拡散を求め広がり続ける情報。絶え間なく生じる「絶望」を受け止め、またそれらを超え、そして理不尽な社会に抗うため、アートをはじめとする表現が出来る/すべきこと、あるいはこの「絶望」を目にする人々に出来ることは、希望のための文化的連鎖を絶やさず、繋ぎ続けることである。 —居原田遥(キュレーター)
展示構成
イントロダクション
国軍によるクーデター勃発から「いまミャンマーで起きていること(What's Happening In Myanmar)」、これまでに行われてきた文化的な実践の事例を、ジャーナリストの北角裕樹、ミャンマー出身のアーティスト アウン トゥン リン、居原田遥によるテキスト、写真、絵画を通じて紹介します。
Masking/Unmasking Death
ミャンマー出身のアーティスト カミズがクーデター以降に制作してきた紙製のマスク100点をベースとしたインスタレーション作品。クーデターで犠牲になった人々の顔を模してミャンマーで制作されたマスクは、世界初公開となります。
開催概要
東京藝大AAI特別企画「Masking/Unmasking Death 死をマスクする/仮面を剥がす」
会期:2022年5月1日(日)〜10日(火)10:00〜17:00 会期中無休
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館2階
入場料:無料
主催:東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科 アートプロデュース専攻(GA)毛利嘉孝研究室、東京藝術大学グローバルサポートセンター(東京藝大AAI)、合同会社UPN
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[スタートアップ助成]、公益財団法人 花王芸術・科学財団
キュレーター:居原田遥
アーティスト:カミズ
企画協力:TERASIA
https://terasia.net/projects/exhibition-mask/
※本展は、「アジアの文化芸術」に焦点をあてる「東京藝大AAI(アジア・アート・イニシアティブ)」の取り組みの一環として開催します。会期中、同館1階では東京藝大AAIおよびGA毛利嘉孝研究室による特別企画展「The Arts of Dissent : Art and Democracy 不和のアート:芸術と民主主義」が同時開催されます。
※本展は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に努めながら開催します。会場では、来場者のみなさまにマスク着用、検温、アルコールによる手指消毒へのご協力をお願いいたします。また、会場の混雑状況によっては、順番にご案内することがございます。
アーティスト
カミズ
アーティスト、アート・セラピスト。20年以上にわたってビジュアルアートの分野で活動し、国内外のアートプロジェクトやワークショップに参加する。アートは誰にでも平和と心の安らぎ(マインドフルネス)をもたらすことができると強く信じており、本人が気づいていなくとも、視点を変えればすべての人間がアーティストであると言う。アートが感情の旅として、人と人との交流、また人が自分自身や他者、そして自然とつながるためのプラットフォームとなることを願っている。作品はリサーチに基づき、手法は絵画やドローイングに限定されない。これまでにミャンマー、日本、マレーシアで4回の個展を開催したほか、多くの国際芸術祭、アートフェア、アーティスト・レジデンシーに参加。グループ展への出展はミャンマー、オーストリア、日本、香港、タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールなど20回以上を数える。近年は表現療法のスペースを設立し、アートとヒーリングのワークショップやプログラムを主催している。ミャンマー国軍によるクーデター勃発後は、安全のため本名などの身元を伏せて活動。
カミズより本展に寄せて
これは一作家の展覧会ではありません。この展示には複数の本質があります。
軍事政権/国軍の恐怖と抑圧からの自由を求めて闘い、英雄として命を落としたすべてのミャンマー市民に敬意を表し、名誉を授ける場。鑑賞者が自身にとっての「死」について内省し、思いを馳せる場。そして私たち人間が連帯のエネルギーを感じ、生と死の認識を交える場なのです。
キュレーター
居原田遥
1991年沖縄県生まれ。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻博士後期課程在籍、日本学術振興会特別研究員(DC1)。東南アジアの美術や文化的アクティビズムを研究対象とし、沖縄を含むアジアのアートの展開に関する実践研究を行う。また同対象の美術・映像・映画等の作品制作のコーディネートをはじめ、キュレーターとして活動。主な企画に、ドキュメンタリー映画『CONSTELLATION』(中森圭二郎監督)企画・制作(2016)、「美しければ美しいほど」企画(原爆の図 丸木美術館、埼玉、2018)「HOTEL ASIA Unidentified Landscape 2018」キュレーション(沖縄、福岡、重慶市・中国 他、2019)、「白川昌生個展 ここが地獄か、極楽か。」キュレーション(原爆の図 丸木美術館、2021)、「琉球の横顔ー描かれた「私」からの出発」(沖縄県立美術館・博物館、2021)企画協力など。
関連イベント
本展の会期中、アーティストやキュレーターによるイベントを開催します。
カミズによるワークショップ
アート・セラピストとしても活動するカミズがインターネットを通じて展示空間に現れ、参加者と対話します。参加者一人ひとりが、カミズからの問いに考えを巡らせ、自分にとっての「死」に向き合うワークショップです。
日時:2022年5月1日(日)、5日(木)、10日(火)17:00〜19:00
場所:東京藝術大学大学美術館 陳列館
出演:カミズ(アーティスト)
言語:ビルマ語・通訳なし(5月1日)/英語・日本語通訳あり(5月5日、10日)
参加費:無料
参加方法:事前予約制(各回15名)・ウェブサイトにて受付中、先着順
シンポジウム「アート/文化の連鎖を通じて考えるミャンマーのいま」
クーデターから現在のミャンマーの状況をより深く知り、抵抗や民主化運動の中で生まれた文化的実践の可能性とその意義を、ミャンマー政治研究者の中西嘉宏氏と、音楽を通じて政治や社会に関するアクションを行うミュージシャンの篠田ミル氏、本展キュレーターの居原田遥が議論します。
日時:2022年5月6日(金)19:00〜21:00
場所:Zoom配信
登壇:中西嘉宏(京都大学 東南アジア地域研究研究所 准教授)、篠田ミル(ミュージシャン)、居原田遥(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科博士後期課程)
言語:日本語
参加費:無料
参加方法:事前予約制・ウェブサイトにて受付中
会場写真
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