讃岐の伝統・文化を食で楽しむ”伊吹いりこ”と”香川漆器”ワークショップ開催レポート
瀬戸内ならではの食文化を、次世代に&世界に広めたい。「さぬきのくらしにふれるワークショップ」企画者たちの想いとは
香川県の貴重な県産品である”伊吹いりこ”と”香川漆器”。 守り続けたい伝統文化でありながら、どちらも生産者や顧客層の高齢化がすすみ、斜陽傾向にあるのが現状です。香川ならではの魅力を「食」のワークショップを通じて、多くの人に届けようと奮闘するイベントの様子をレポートします。
香川県産の”伊吹いりこ”と”香川漆器”はどちらも、古くより親しまれている県の名産品として有名です。しかしどちらも生産者や顧客層の高齢化がすすみ、存続の危機にさらされています。そこで各分野で活躍する3者がコラボレーションして、「さぬきのくらしにふれるワークショップ」を開催しました。
ふだん何気なく使っているいりこや棚の奥にしまいこんでいた漆器も、生産者の思いを知ることで、より親しみが湧きます。そして毎日に取り入れやすい郷土料理のアレンジとともに、それぞれの魅力を堪能できる、豊かな食体験を提案しました。
「さぬきのくらしにふれるワークショップ」2024実施概要
・2024年1月27日 香川・高松「栗林庵」
・2024年4月14日 東京・目黒「喫茶はちや」
・2024年7月25日 兵庫・芦屋観光協会共催
・2024年9月27日 香川・高松「TSUTAYAオルネ高松店」
企画は異なる事業体の3者がコラボレーション
・伊吹島プロジェクト:サーバント/加地 正人
・香川漆器:川口屋漆器店 マネージャー/亀山 歩
・いりこ料理:冷凍離乳食mom’s・代表 フードクリエイター/たがみ まき
今回は2024年9月27日(日)香川県高松駅直結の「TSUTAYAオルネ高松店」にて開催されたワークショップの様子をレポートします。
150年の歴史を誇る伊吹島のカタクチイワシ漁。その伝統を次世代に伝える"伊吹島ロジェクト"サーバントの加地さんが、その現状や課題について語りました。良質な漁場に恵まれた伊吹島では、古くから多くの島民が漁業に従事。現代でも上質な出汁が取れると人気の"伊吹いりこ"は、高級料亭や飲食店で多く採用されています。そんな通好みの素材を「もっと一般の人にも楽しんでもらえるように」とフードクリエイターたがみまきが考案したのが、伊吹いりこを使った郷土料理。さぬきの食の豊かさを再確認し、地元で採れたものを地元で消費する地産地消がテーマです。さらに地元の名産品である香川漆器を用いることで伝統工芸の支援活動につなげる狙いもあります。香川では心と身体に嬉しい「エシカルな暮らし」、「自然と調和した暮らし」が実現できることを、食体験を通じて提案します。
会場には、飾り物としてではなく、日常生活に寄り添う美しい"香川漆器"がずらり。いりこを使ったおにぎりがのった器や、カラフルなカップ状の器、そしてスプーンやフォークなどのカトラリーに至るまで"香川漆器"です。
上質な香川漆器を実際に使ってみることで、口当たりのなめらかさや、手に触れた時のやさしさなどの魅力を実感できるひとときになりました。
参加者からは
「漆器ってこんなにふだん使いしてもいいものなのですね!」
「伊吹いりこのおいしさを再確認しました。もっと使ってみます。」
「漆器も郷土料理も温かみがあり、とても素敵だと思いました」
など実際に食べてみて、使ってみたからこその感想が寄せられました。
◆企画者からのメッセージ
◆伊吹いりこ:加地正人
「伊吹島プロジェクトは持続可能な漁業の実現をめざして、島の有限な水産物を有効に流通させるため、子どもからお年寄りまでがパートナーシップを組み、ソーシャルワークを実現することを目指しています。ワークショップを通じて、伊吹いりこを身近に感じてもらえたら嬉しいです。」
Instagram https://www.instagram.com/ibukikamaage
◆香川漆器 川口屋漆器店 マネージャー:亀山歩
「漆器は英語で『JAPAN』と呼ばれる、日本の伝統工芸です。私たちはお正月や来客時など"よそいき"に思われがちな漆器をもっとカジュアルに楽しんでほしいと考え、日常に馴染むデザインを提案しています。お手入れが難しいと思われる漆器ですが、基本的には『人の手と同じように』扱っていただければ大丈夫。お手入れには、台所用洗剤も使ってOKです。ただ、手を食洗機に入れる人はいませんよね?食洗機や電子レンジの使用だけはお控えいただければと。」
◆いりこ料理 冷凍離乳食mom’s・代表 フードクリエイター:たがみまき
「高松出身で東京や海外などいろいろな場所に住みましたが、めぐりめぐって香川県の食材が持つポテンシャルに魅せられ、香川に製造拠点を設け、瀬戸内産の旬の食材を使った冷凍離乳食を作っています。調味料がほとんど使えない離乳食においては、お出汁の風味はおいしさの要です。香川の食材をふんだんに使った離乳食で、子どもたちが『食べること』を楽しみ、心身ともに健やかに成長してほしいと願っています。」
今後の展望
今後は当ワークショップを香川県内に限らず首都圏・他県でも積極的に開催する予定です。また多言語対応を行い、海外からの旅行者の皆さんにも、日本ならではの思い出作りをしてもらえるような企画を考えています。香川が誇る食文化を、より多くの人に、世代を超えて紹介していきたいです。
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