プライスレスな子犬たち 日本人と犬(12)

合同会社ユニーク・ドッグ・ジャパン

2024.10.02 06:19

心に残るとっておきの話(2)

「ナチとコロ」 鷹野信子作 大正10年生まれ (北九州市)

心に残るとっておきの話 第3集 潮文社編集部編

ナチとコロは、我が家の近くのお隣りどうしの家で飼われていました。高校性の娘がかわいがっていたので、2頭揃って、娘が学校から帰る時間になると玄関先で待っていました。

ナチはいつもコロを従えていて、コロはナチより先には食べ物に口をつけませんでした。

秋も深まった頃、コロは体調を崩してしまいました。

ある日の夕暮れ時に、コロはシッポを垂れて体をひきずるようにして、我が家にやってきました。そして、与えた肉を食べようともせず、ただ、力ない目つきで娘の顔を見上げていましたが、しばらくして、すごすごと帰っていったのです。

その時以来、コロの姿が消えてしまいました。

冬が来て、雪が降ったある日、ナチがやってきて、私を誘うように振り返り、振り返り、山へ山へと入って行くので、私もナチについて山に入りました。

そして、ナチが一本の木の根元を一生懸命に足でひっかくので、私も一緒に雪をかき分けました。

何とそこには、コロの死骸があったのです。

私は驚きと悲しみで泣きながら、ナチの頭を撫でて、よく教えてくれたねとほおずりをしました。

急いで家に帰り、箱と布を持ってきて、コロの死骸を布に包んで箱に入れ、スコップで掘った穴に埋めて、こんもりと土を盛り、近くにあった石をその上に置きました。

あれから25年も経ちましたが、人間にも劣らないナチとコロの友情を忘れることはありません。

(本文より抜粋編集)

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