詩人・原葵【詩集 花狂い】他 詩集・短編集4点、Amazon Kindle及びAmazon PODにて販売中!

合同会社おいかぜ書房

2024.09.30 12:50

合同会社おいかぜ書房(本店:東京都世田谷区 代表社員:西野聡)では、詩人・原葵の詩集・短編集4点を、Amazon Kindle及びAmazon PODにて販売しております。

 

▼マッカナソラトビーとんだ

▼短編集 裏地とボタン商会の猫

▼詩集 変装術師の娘

▼詩集 花狂い

 

〔この本について〕

「マッカナソラトビーとんだ」

マッカナソラトビーとはなにか。

(中略)60年代に『鮫島博士の育児書』という名前の書物を著し、世に大きな衝撃を与えました。今でこそその本は名著として有名ですが、当時まだマッカナソラトビーについて書かれた書物はなかったのであり、それがマッカナソラトビーについて書かれた最初の書物でした。最初の頁から終りの頁まで、マッカナソラトビーの様ざまな形態、種類、様相、マッカナソラトビーの研究の歴史、諸事例、さらに今までにマッカナソラトビーだったと思われる歴史上の人物等について詳細に書かれてあり、すぐれた啓発の書となりました。(中略)(二章 冬『3 鮫島博士の育児書』より)

(中略)この季節になると、町はウイキョウによく似た、それでいてどことなく生臭い匂いにみちあふれるのでした。儀式が近づいている証拠でした。女たちは腹をせり出して奇妙な恰好になり、路で女たちと擦れちがうと、揺らめく長いスカートの中から、その独特な、えもいわれぬにおいが立ちのぼりました。
女たちの産卵の時期が近づいているのでした。(中略)(三章 マッカナソラトビーの春『2 妊婦たち』より)

(中略)
「えっ、えっ、えっ、
レストラン パンプキン
されば
ヨッ、ヨッ、ヨッ、
おかしいぞ、人のかたちの人形パン」(中略)(一章 ぶどう月『3 店主高橋猫丸氏』より)

(中略)その部屋で剝製を一つ一つ丁寧に手入れしながら、夫人は想い出にふけるのでした。いろいろなものの剝製があり、ただ一つをのぞいては今はすべてが追憶の中で美しく懐しいものとなり、夫人に最も親しいものたちとなるのでした。ただ一つをのぞいては。
夫人は薔薇の花束を手にして夫の剝製の前に立ちました。(中略)(一章 ぶどう月『7 日曜日』より)

マッカナソラトビーとはなにか。


※この作品は、電子書籍/POD対応です。

「短編集 裏地とボタン商会の猫」

不条理で不合理だが、愛すべき猫と世界の周辺を描いた短編集。

「さなぎ捕り」

「猫はいいなあ」と僕はいった。「一年ごとに記憶を忘れ、新しく生まれかわったかのように生きることができるのだもの」
神は猫にだけ恩寵を与えたのだ。
なぜだろう。わからない。なぜ猫にだけ? まあ神には神の考えというのがあるのだろう。
「人間はいいなあ」とは猫はいう。
「なんだって?」
「人間は、死ねるじゃないか。オレたちは死ねないんだぜ。死ねばチャラにすることができるじゃないか。オレたちなんかリセットされてまた振りだしにもどる、さ。すごろくでいえば、〝あがり〟がないんだぜ。いずれは〝あがり〟にたどりつけるきみらがうらやましいよ」

「裏地とボタン商会の夜」

東京、ヨシヨシ町で裏地とボタン商会を経営する鰺坂(あじさか)夫人について、町の噂はいろいろです。鰺坂夫人がその二番目の夫と別れた頃から、夫人は夜眠らなくなったのだという人もいます。しかし夫人がなぜ夫と別れたかということになると、その原因を知っている人は少ないのです。
(中略)
とくに月が鋭角的になる夜には、頭痛がひどいのでした。モージキの国から客人が訪れるからです。たとえばこのあいだの晩、それは月がとても美しい鋭角で輝く晩でしたが、黒猫といっしょに気狂い猫がおおぜいやってきて、裏地とボタン商会の裏庭の丈高く茂った雑草の根もとに卵をいくつも産み落としていきました。もちろん鰺坂夫人だって気狂い猫どもにまじって、まけじとばかりに不気味な吠え声をあげて産卵にはげんだのです。

「いつか、最終列車に乗って」
 
秋になって新学期が始まると、カリンが学校に来ていなかった。病気がちで学校をよく休んでいたが、やさしくて、おさげ髪の美しい女の子だった。
「カリンはきのう、列車にのって旅立ちました。もうここに戻ってくることはありません。が、もう病気の辛さ、苦しさから解放されるのです。みなさん、喜んであげましょうね」
先生がそういうと、クラスのみんなが拍手をした。先生は白くてかわいい花を小さな花びんにさして、カリンの机においた。

 

「詩集 変装術師の娘」

――私は母から数々の変装術を学んだ。 (本書「変装術師の娘」より)

――師よ、あなたはいつになったら、変装をといて、私に真実の姿をお見せになるのですか? (本書「変装術師の家」より)

著者・原葵にとって、「変装」は世界を紐解くための鍵だ。
誰もがすべからく誰かであって、多様な誰かになり得る選択のただ中にある。

「そういえば子どもの時から、自分は子どものふりをして生きてきたのです。少女の頃は少女のふりをしていたし、大人になってからは、しっかりと女装をして……。」 (本書「自叙」より)

時として母になり、夫になり、コンビニ店員になり、猫になり、私になり、主体のあちこちを行き来する。
そうしためまぐるしい客観と主観の往来は、やがて同一性を越え、つまり、私は誰かであると同時に誰でもない、という、いわば世界の原野に足を踏み入れることになるだろう。

 ああ、偉大な私の母よ。父即ち母。この構図はまことに秘伝にふさわしい。では私は、何に変装しようか。 (本書「変装術師の娘」より)

翻って、「変装」とは、この世界を形成するドグマに、己が率先して取り込まれたり離れたりしながら、適切な距離感を身体で見定め、世界に注解と裏書きを施す行為なのかもしれない。

 

「詩集 花狂い」

 花と前妻への偏執狂的執着をみせるやさしい金融業者の営みを描いた表題作他、多数収録。

〈私の背中を いつまでも凝視するあなたは誰?〉
けれども少年は答える人物を決して振り向かない 振り向けばそれは少年自身の貌だ
異端の衣服を着た人物は答えていう
〈私は栄光を与えられた吃音患者 狼のように花の無罪性の中に恩寵の兆しを嗅ぐものだ〉
その答えはしかし すでに遠くを走っている少年の背までとどかない
少年は走りながら語る
〈私たちは無罪 私たちは無罪!〉
 (「異端の衣服を着て花に耳をそばだてる人物」より)

花が咲いたら最後、そろそろと花狂いがはじまる。食事は花だけしか摂らず、熟した花をよく嚙み、飽食に飽食を重ねた。花形切断器で花という花を切断し、点花器で犬の躰の至るところに花を飾りこんだ。
(「花狂い」より)

サイマ牧場では
春に牧童たちが
あっちこっちで
牝牛や牝羊のおなかをくすぐるわ
そのあとでずいぶん牝牛を殺すわ
(「サイマ牧場の春」より 

※この作品は、電子書籍/POD対応です。

 

書籍仕様

書 名:「マッカナソラトビーとんだ」「短編集 裏地とボタン商会の猫」「詩集 変装術師の娘」「詩集 花狂い」

著 者:原 葵

取扱い:Amazon Kindle

定 価:各990円~1,430円(税込)

形 式:電子書籍 固定レイアウト型・リフロー型、Amazon POD

出版者:合同会社おいかぜ書房

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カテゴリ
エンタメ