プライスレスな子犬たち 日本人と犬(5)
日本犬の歴史
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考古学では、犬は約3万年前には、すでに人類とともに暮らしていたと考えられています。
アラスカのオールドクロウ河の近くでは、2万年前の犬の化石が発掘されました。アメリカのアイダホ州のジャガー洞窟からは、1万年から1万7000年前の犬の骨が見つかりました。
これらの犬は、アジアからベーリング海峡を越えて北アメリカ大陸に渡っていったモンゴロイド系の人類が、連れていったものだろうと推測されています。
イラクの旧石器時代の遺跡、パレヤウラ洞窟からは、1万2000年前の犬の骨が出土しました。
犬が家畜化されていたと考えられる痕跡は、1万2000年前~1万4000年前の中近東の遺跡、ナトファン遺跡、エインマハラ遺跡、ハヨニム遺跡などから数多く発見されています。
原生犬は、パリア、テリア、シェパード、グレイハウンド、ブルドック、狩猟犬、インカの7つのタイプに分けられます。
遺跡などから出土する古代の犬は、ほとんどがパリア・タイプで、多くの犬の祖先は、アジアからアフリカの広い地域に分布していたこのタイプの犬だと考えられています。日本犬も、このパリアタイプに属します。
日本では、9400年~9500年前の新石器時代の遺跡、横須賀の夏島貝塚から、犬の骨が出土しています。
850年前のものと推定されている、縄文時代の愛媛県美川村の上黒岩岩陰遺跡からは、2頭の犬の骨が見つかっていて、それは、明らかに埋葬されたと考えられる日本犬でした。
縄文時代の犬は、小型犬ほどの大きさで、耳は小さく立ち耳、巻き尾だったと推測されています。
弥生時代以降の遺跡から出土する犬の骨には、解体した跡が見られるものもあるので、食用にも供せられていたと考えられています。6世紀に仏教が伝来してからは、肉食が禁忌されたので、犬が食用にされることも減ったのではないかと言われます。
「イヌ」の語源は、イへ(家)のヌヒ(奴婢または召使い)から来ているのではないかという説があります。
一般的に、日本犬は、立ち耳、巻き尾または差し尾を持つ日本土着犬の総称です。
大型犬は、秋田犬、中型犬は、甲斐犬、紀州犬、越の犬、四国犬、北海道犬、小型犬は、柴犬です。南西諸島には、縄文犬の子孫といわれる琉球犬がいます。
血液のタンパク質を分析することで、日本犬の起源を探る試みがなされました。その結果、次のようなことが分かりました。
まず、縄文時代に、南中国原産の犬や台湾在来犬に近い南方系の犬が、日本列島に入ってきました。縄文犬は、北上して北海道まで広まりました。
その後、稲作農業を基盤とする弥生人が、朝鮮系の犬を持ち込んだと考えられていますが、狩猟を基本とする縄文人の犬に比べて、頭数は少なかったようです。それでも、本州では、在来種の縄文犬との交雑が進んだと言われています。
日本を原産国とする犬種には、狆(ちん)、土佐犬、日本テリア、日本スピッツなどがありますが、いずれも外来種との交配によって作出されたものなので、日本犬の範疇には含まれません。
奈良時代に、中国から渡来したペキニーズやパグなどを原種として作出された愛玩犬が、「狆」(ちん)です。江戸時代には、上流の武家や町人の間で流行しました。
闘犬として知られる土佐犬は、江戸時代末期に、四国犬にブルドックやマスチフなどの大型の洋犬を交配して作り出されたものです。
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