プライスレスな子犬たち 日本人と犬(1)
犬のお守り
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日本の昔話、「桃太郎」や「花咲か爺」では、犬が幸運を招く使者になっています。そして、日本各地には、犬を縁起の良い動物として歓迎する伝承が残っています。茨城県の久慈郡には、「持ち込み猫は悪いが、犬ならば良い」、また、岩手県の和賀郡では、「野良猫が家に入ると不幸になるが、押しかけ犬は縁起が良い」という言い伝えがあります。犬には、邪悪な霊や魔物を追い払う霊力があると信じられてきたのです。
日本書記には、日本武尊(やまとたけるのみこと)が、信濃の国で道に迷って困っていたところ、白い犬が現れて、美濃の国まで道案内したということが書かれています。犬は、神の使者(つかわしめ)と言われ、特に白い犬が尊ばれてきました。ですから、昔話に登場する犬は、ほとんどが白い犬なのです。
妊娠5ヶ月目の戌(いぬ)の日に、妊婦がお腹を保護するためにさらしを巻く祝い事は、現在でも全国的に見られる風習で、「帯祝い」と呼ばれています。「赤ちゃんが無事に産まれますように」と願かけて、戌(いぬ)の日を選んで岩田帯を巻くのは、犬のお産が軽いという言い伝えから来ています。この帯には、「寿」という字を書くことが多いのですが、中には、端に「犬」と添え書きすることもあるそうです。
「いぬこそ人のまもりなりけれ、みどり児の額にかける文字をみよ」(莵玖波集)
妊婦の安産のお守りには、犬の張り子や粘土で作られた犬形のお守りなどがあります。また、犬は子どもを守る動物、子どもの魔除けと信じられてきました。産まれたきた赤ちゃんの額に、墨で「犬」という字を書く風習が残っている地方もあります。お宮参りのお祝いの犬張り子のお腹の中に、氏神様のお守りを入れて、赤ちゃんの魔除けとして飾ることもあります。粘土で作られた犬形のお守りとして有名なのは、奈良市の尼寺、法華寺の守り犬です。
尼さんがひとつひとつ丹精込めて作るこのお守りは、奈良時代にこの寺を開いた光明皇后が作った泥犬に起源があると言われます。かわいくて小さな犬のお守りは、「けし犬」とも呼ばれています。
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