プライスレスな子犬たち 飼い主の気持ち(1)
日本人は犬をしつけることが苦手!?
欧米では、家畜を扱いやすくするために、例えば、「飼いならしにくいオスの場合には去勢する」といったことをごく当たり前に行います。家畜は人間が食用や使役のために作り出したもので、人間の都合に合わせて管理するのは、産業動物あるいは経済動物として当然のことと考えているからです。野生動物を保護するために自然環境を守ろうとすることと、家畜を管理することとは、別の次元のものとして捉えています。
アジアの多くの国では、人間を優位に置きながらも、ほかの動物とのへだたりはそれほど大きくはなかったようです。
日本の民話「桃太郎」では、キジや猿、犬が、中国の「西遊記」でも猿の孫悟空、豚の猪八戒が、人間の桃太郎や三蔵法師のお供をして一緒に旅をします。そして、そこに登場する動物は、人間との境界線があいまいなのです。
日本は歴史的に長い間、動物の肉を食べることを禁じてきた国です。
そのため、日本では家畜と野生動物との間の考え方に明確な境界線がなく、野生動物に対する動物観である「敬して遠ざける」、すなわち「自然のものは自然のままがいい」という考え方が、家畜に対しても持たれています。また、動物だけではなく、植物や石ころのような無生物にまで魂が宿っているという考え方が潜在的にあります。
欧米では「犬が従順でないのは、飼い主がきちんとしつけていないためで、恥ずかしいことだ」と考えますが、日本では、「そこまで厳しくしつけるなんて、犬がかわいそう」と思う人が多いのは、動物に対して「しつけて管理する」という考え方が、日本人の感覚には合わないからでしょう。
犬にはしつけが必要で、しつけをすることは犬にとって幸せにつながることだとわかっていても、心理的に抵抗があるのは、自分自身の感じ方に置き換えてしまって、「犬がかわいそう」と思ってしまうからでしょう。
どうしても犬に厳しく接することができないという人には、「きちんとしつけましょう」と言うよりも、「人間と一緒に暮らすために必要な犬のたしなみです」と伝えたほうが、柔らかいニュアンスがあって、受け入れやすいかもしれません。たしなみのある犬にするためには、好ましくないことをした時には、たしなめなければなりません。「たしなめる」と言っても、「そんなことをしたら、だめよ」なんて言い方では犬は理解しませんから、きびしい声で「いけない!!」と叱らなければなりません。
叱ることは、虐待ではありません。その根底には「深い愛情」があって、飼い主は、冷静に感情をコントロールしながら叱って、その感情を後まで引きずらないようにしなければならないのです。
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