プライスレスな子犬たち 人はなぜ犬を飼うのか(11)
犬を愛することは、自分を愛すること
ペットショップで子犬を衝動買いしてしまうのは、「自分らしさ」を求める心理からだという意見があります。「ピーンとくる」とか「一目で好きになる」というのは、自分の中から自然に湧き出す感情で、それこそが「自分らしさ」を感じさせてくれるからです。
そして、一目惚れした犬と一緒に自分らしく暮らすことに幸せを感じるようになります。自分自身で犬を選んだ人は、その犬をパートナーとして愛しむようになるのは、意識していなくても、犬を愛することがイコール自分を愛することだからです。
ペットにブランドものの高価な首輪をつけさせたり、衣装を着せたりすることを「ペティシズム」と呼びますが、ペットを甘やかすことで、飼い主自身を甘やかしていると考えられています。もちろん、ほとんどの飼い主はそれに気づいていないか、認めたがりません。
犬を選ぶときには、車や服を選ぶのと同じように、その人のパーソナリティやセルフイメージ(自己像)が関係しています。たくましい犬を選ぶのは、自分自身に「たくましさ」のイメージを求めている人です。かわいらしい犬を選ぶのは、自分に「かわいらしい」イメージを与えようとしているのです。
ペットは、飼い主のステータスシンボルとしても飼われています。珍しいペットは特権階級としての象徴で、それを購入し、あれこれ手をかけられる飼い主には、それだけの資力があるということをアピールできます。
そんな新しもの好きの人のニーズをビジネスチャンスと考えて、変わった毛色や模様のある犬を繁殖しようとする人を「ファンシー」と呼びますが、同系交配で、神経異常や視覚障害、聴覚障害などのさまざまな遺伝的な欠陥をもつ子犬を産出することになりかねません。
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