人はなぜ犬を飼うのか(3)
虐待育種
ドイツのミュンヘン・ヘラブルン動物園の園長で獣医師のへニング・ヴィスナーは、その著書「動物なぜなにものがたり」の中で、動物の育種について、次のように述べています。
人間は発育の悪いイヌどうしを何度もなんども交配させ、そのすえにダックスフントをつくりあげた。あの寸足らずの肢は、育種によって作られた、骨の奇形なのだ。あの肢で歩けば、せかせかというよりはよたよたになる。そんなイヌを生み出そうなんてことを、自然はけっして考えなかっただろう。
そんなことを思いつくのは、人間しかいない。人間は、小さいものが好きだからだ。ミニウサギ、ミニチュアプードル、ボンサイツリー(盆栽)。かわいくて、扱いやすい、それがいちばん。
だけど、それが動物にとって幸せかどうかは、別問題だ。同系の交配は、長く続けると悪い結果しか生まない。異なるものがいっしょになって種を強くするのが自然の法則だからだ。
人間は、極端な「虐待育種」によって、数々の動物を強くするどころか、弱くしてしまった。
毛のないメキシカン・ヘアレスや、しわだらけの中国犬シャー・ペイは、そうやって生まれた。これらの品種は、同系交配を繰り返したために遺伝子に欠陥をおこし、アレルギー体質をもって生まれてくる。
人目をひく、エキゾチックなものを追い求めるあまり、人間は動物が奇形になるのに目をつぶってきた。でもそんなことでは、育種は、動物虐待以外のなにものでもなくなるだろう。動物保護の法律を改めて、断固こうしたナンセンスに待ったをかけるべきだと思う。
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