企業へのアニマルウェルフェア=動物福祉の働きかけ
国際的な基準「3Rの原則」とは
動物福祉を求める株主提案とは
地球温暖化対策として、企業には「カーボンオフセット=脱炭素対応」が求められるようになっていて、株主総会では、株主提案としてその目標値の開示も求められるようになっています。
株主提案として新たに登場するようになっているのが「アニマルウェルフェア=動物福祉」で、日本でもある製薬会社に対して、実験動物に使われるマウス、犬、猿、ウサギ、ハムスターなどの種類別の購入頭数を開示すべきとする株主提案がなされました。それは、結果として過剰な動物実験を抑制することになる提案なのです。
どうして株主提案という形が取られたのかというと、実験動物に対しての国際的な基準とされる「3Rの原則」が守られるよう透明性を高めれば、投資家からの企業への信頼感が増すことになり、そうなれば株価の上昇につながると考えられたからです。
「3R」とは次の3つの英語の単語の頭文字です。
①Refinement (苦痛を減らす)
②Reduction (頭数を減らす)
③Replacement (別の手段を考える)
アメリカでは、実験動物に限らず、企業に対して動物福祉を求める株主提案が増えていて、例えば世界的なハンバーガー・チェーンのマクドナルドも「アニマルヘルス&ウェルフェア」と題した取り組み指針を開示しています。
★卵はケージフリー(平飼い)の採卵鶏からのものを使っている。
★ビーフやチキン、豚肉は「成長促進を目的として動物に投与される抗生物質」を使っていない。抗生物質を多用して育てられた家畜の肉を人が食べると、残存している抗生物質が食べた人の腸内の善玉菌を減らしてしまうことになり、免疫機能に異常をきたすと指摘されているからです。
日本での企業に対する「アニマルウェルフェア=動物福祉」の働きかけは、まだ社会的な共通認識にはなっていませんが、脱炭素社会を実現するための企業としての貢献が求められるようになっているのと同様に、今後は、動物福祉への適切な対応が求められるようになるのかもしれません。
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