●電子経本・祝詞集の誕生と発展

「巡禮記（じゅんれいき）」は国内外、様々な聖地へのお参りの企画会社。一回の参拝イベントごとに必要な経や祝詞を冊子にして提供するサービスをしていたが、その回数が300回を超えて来た頃、その手間の膨大さにとん挫。代わりに経や祝詞をスマホで見て読経したり奉納するサステナブルな方法に切り替えを考えた。
そこで、スマホの画面上でリアルな経本のようにスクロールして読んでゆくことができ、普段の参拝から巡礼まで、経はもちろん、陀羅尼（だらに）も、加えて神社で奉納できる祝詞（のりと）までを網羅できるものをと。同社の巡礼現場の案内人「先達」が工夫を重ねて編纂したのがこの【電子経本】。

●新しい世代の祈願を応援するように普及中

電子経本は発刊当初、同社が企画する巡礼イベントの40～50歳代の熟年層に広がり、その手軽さから、お参り大好きな25～35歳の若い世代にも急速に波及しているのが特徴。参拝する場所によって経なども追加され、今までに４回のバージョンアップがされている。

現在、宗派に固定された読経用のスマホアプリは存在するが、この電子経本のスタイルは巡礼という多くの聖地で活用できるものであるのがポイントで、信教、宗旨、宗派の枠を超えたもの。スマホという「新しき」と要典という「古き」を融合させ、日本に住む人の身近な信仰の手伝いになっているのは確か。

●なぜ無料？

古来から伝わる経や祝詞、それに真言や陀羅尼は、特定の人や団体の著作権のない、世界中の人々の信仰財産。なおかつ印刷や製本の必要がなく、製作経費が発生しないこの電子経本は、無償で提供するのが当然との考え。

国民の*57％以上が自分の家の宗派が判らない！そんな世を反映するような宗教離れは仕方がないとしても、神社やお寺で自分の幸せを祈願する姿勢（信仰）は捨てることはできないはず。その信仰離れを懸念している同社は「少しでも多くの人々にその祈願と成就に寄り添うものを提供したく、無料提供に踏み切った」と語る。
（*ゼネラルリサーチの2021年の調査レポートによる）

●使い方は？

DLするとそのままPDFファイルとして使用できるが、スクロールしたり繰ったりを経本と同様の操作感にするため、フリーソフトのビューア―を使うと格段に便利になる。同社のホームページでその使い方も解説されている。
また大きく分けて、寺ではお経、神社では祝詞。シーンに合わせて本自体を選ばなければいけなかったのが、電子経本ではすべてオールインワンとなり、時、場所に応じて即時に繰り出せるのものも先取的。
この電子経本には、一般的な冊子の経本や祝詞集の15冊分に相当する量と、現地を訪れないと手に入らない要典も多く収納されている。

●どんどん進化する電子経本

この電子経本は2022年10月に4回目の改訂でV2.0へバージョンアップされている。同社では今後も巡礼企画が多く予定されており、必要に応じて内容を加えてバージョンアップされ、巡礼への参加を問わず、ダウンロードした人にも通知される。

●現在の内容（V2.0)

・お経集
開經偈　懺悔文　般若心経　般若理趣経　十三佛真言　六観音真言　舎利禮文　延命十句観音経
光明真言　回向ノ文　観音経偈　大弁才天秘密陀羅尼経　發願文　地蔵菩薩賛和　七福神真言
ご唱名　ご宝号　ご真言集　

・陀羅尼集
薬師如来陀羅尼　阿弥陀如来根本陀羅尼　大悲心陀羅尼（曹洞宗）大悲心陀羅尼（真言宗）　
馬頭観世音陀羅尼　卻瘟神呪　

・祝詞集
禊祓祝詞　稲荷祝詞　稲荷心経　龍神祝詞　大祓詞　天満宮祝詞　
伊勢下宮神前祝詞　伊勢内宮神前祝詞　
神社拝詞　神棚拝詞　祖霊拝詞　

・付録
妙法蓮華経方便品第二

全62項目　65ページ

●無料ダウンロードの方法

同社「巡禮記ホームページ」上部にリンクがあり、誰でも無料でダウンロードできる。
表示されるページでフリーソフトのビューアーの使い方も解説されている。

巡禮記ホームページ　https://jyunreiki.com/