令和6年能登半島地震調査速報①「奇跡の町」で地盤の揺れやすさを実測

株式会社Be-Do

2024.02.08 13:00

「奇跡の町」赤崎は近隣地域より揺れが4割以上小さくなる地盤。液状化被害の内灘町では揺れが2倍以上に大きく増幅される地盤。

株式会社Be-Doでは、被災された地域にお住まいの方に向けた「家屋における耐震性能実測の無償提供」と並行して、建物の被害が集中していた地域において地盤の常時微動探査*を実施し、被害が発生した状況もしくは地域によって異なっていた原因について考察を行いました。

2024年(令和6年)1月1日の16時10分ごろ石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の令和6年能登半島地震」が発生しました。能登半島の甚大な被害と共に、金沢市近郊の内灘町付近(調査結果)、新潟県新潟市、富山県射水市・高岡市付近などで地盤の液状化による住宅の甚大な被害が発生しました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様には、一日も早く平穏な日常生活へと戻れますよう、心からお祈り申し上げます。

 株式会社Be-Doでは、被災された地域にお住まいの方に向けた「家屋における耐震性能実測の無償提供」と並行して、建物の被害が集中していた地域において地盤の常時微動探査*を実施いたしました。

 特に、震度7を観測した志賀町の中で被害の少なさから、メディアに「奇跡の町」と報道された赤崎地区、その近郊にあり比較的家屋の被害が多かった富来地区、ならびに後日震度7の揺れがあったことが報告された輪島市門前町、また地盤の液状化によって甚大な被害が集中した内灘町において、地盤の常時微動探査を実施しております。常時微動探査の結果をもとに、地盤の特性の観点から被害が発生した状況もしくは地域によって被害が異なっていた原因について考察を行いました。

 その結果、志賀町赤崎地区は志賀町富来地区と比べて「4割以上揺れにくい地盤」であったこと、赤崎地区の地盤は「古い住宅が共振しにくい周期の地盤」であった可能性、内灘町の液状化地点では軟弱で地震時に特に揺れが増幅しやすい地盤であったことなどを確認いたしましたので、報告いたします。なお、輪島市市街地でも地盤の常時微動探査を行っておりますが、こちらは追って第2報にて報告いたします。

*常時微動探査(微動探査):人が感じないくらいの揺れ(微動)をもとに地盤や家屋の特性を調査する手法。穴をあけたり騒音を発せず、非破壊、無振動・無騒音のクリーンな調査方法です。舗装や土間コンクリートの上からでも調査が可能で、既に住宅が建っている脇のガレージや庭先、玄関先などのスペースでも可能な調査法です。ここでは地盤の常時微動探査を実施しています(詳しくはこちら)。

 

1.調査の概要
調査実施日:2024年2月1日・2月2日
調査範囲:石川県羽咋郡志賀町・輪島市門前町(2月1日)・河北郡内灘町周辺(2月2日)
実施内容:地盤の常時微動探査(4か所)、踏査による建物被害/地盤変状の目視観察
常時微動探査の方法:地盤の微動アレイ探査
 各地点につき、極小アレイ探査+不規則アレイ探査を実施
 国立研究開発法人防災科学技術研究所の微動クラウド解析システム(BCAS)にて解析し、
 地盤のS波速度構造・表層地盤増幅率・地盤の周期を調べました

 

2.調査結果

表層地盤増幅率

表層地盤増幅率とは、地表面近くに堆積した地層の地震時の揺れの大きさを倍率で数値化したもので、地盤の揺れやすさを示す指標です。数値が大きいほど地盤は軟弱で、地震時の揺れが大きくなります。

 計測結果は、①志賀町赤崎では0.98、②志賀町富来では1.69、③輪島市門前町道下では1.24、④内灘町下荒屋では2.29となりました。2020年度版以降のJ-SHIS(地震ハザードステーション)による5段階評価では、被害が軽微な①志賀町赤崎が最も揺れにくい側のランクA、倒壊家屋のある③輪島市門前町道下が次に揺れにくいランクB、および②志賀町富来がランクC、液状化による被害が多い④内灘町下荒屋はランクDのうち、限りなく最も揺れやすいランクEに近い結果となりました。

 

 

・「奇跡の町」赤崎の地盤の硬さとは?

 ②志賀町富来(地頭町)は、震度7を記録した志賀町富来領家町に隣接しており、①志賀町赤崎町とは5.8㎞しか離れていない位置関係にあります。志賀町については、“最大震度7”志賀町で被害状況にばらつき 多くの建物が倒壊免れた“奇跡の町”も…専門家「地盤の硬さ」指摘|FNNプライムオンライン(2024年1月16日 )、また最大震度7を観測も… なぜ家屋の倒壊免れた?「揺れる周期が関係」石川県志賀町の“奇跡の町”を検証 | TBS NEWS DIG(2024年2月1日)というニュースがありました。これらのニュースでは、これらの地域の被害の違いを「“地盤の硬さ”が被害状況を分けた」「富来領家町地区のすぐそばには富来川が流れていて、地盤が柔らかかったことなどが被害拡大の要因」と紹介されていました。

 今回の常時微動探査では、それら2地域の地盤の揺れやすさを実測して数値で示した形になります。表層地盤増幅率は、①志賀町赤崎では0.98、②志賀町富来では1.69となることから、②志賀町富来を基準として①志賀町赤崎をみると、表層地盤増幅率は0.57倍となります。以上から、実測されたデータに基づくと②志賀町富来と比べて①志賀町赤崎は4割以上揺れにくい土地であることがわかりました。①志賀町赤崎を基準としてみると、同じ地震の揺れがあった場合に、②志賀町富来では1.72倍も揺れやすいといえます。このような地盤の揺れやすさの違いが、赤崎付近で被害が軽微で、富来付近で倒壊などの被害を拡大したことに影響しているという想定について、実測した数値からもこれを支持するということができます。

 

詳しい解説はコラムでご紹介!>>>

 株式会社Be-Doでは、今後も常時微動探査を活用した地震防災や振動に関する課題解決に向けて「地震を中心としたあらゆる揺れから生活を守る」活動を進めてまいります。なお、輪島市の調査結果について改めて報告するほか、今後も被災地域(石川県、富山県、新潟県)で家屋の耐震性能実測の無償提供や、現地被災状況の調査などを進めてまいります。

 

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