まずは教える側が、精神疾患への偏見を捨てることから
――前回は、精神疾患は誰もがかかる可能性のある病気だということ、だからこそ正しい知識を得ることが重要であるということをうかがいました。
高校の授業で学ぶのですが、教科書を読むだけで深く理解することができるのでしょうか。
北岡)教科書ですからとても分かりやすくまとめられています。ただ読むだけではなかなか理解できないでしょうね。
精神疾患は、教える側もよく理解できていない分野だと思うんですね。
ですから、授業を行う先生方に、まずは教える前にお願いしたいことがあります。それは精神疾患についての偏見をもっていないか自己点検してほしいということなんです。
偏見があることで「甘えではないか」「医療にかかる前に親のしつけはどうなんだ」「完全に治ってから学校に来て」などという言葉を使ってしまいかねません。どう対応していいのかわからずこのような言葉になってしまうこともあるようですが2)、このような言葉によって生徒が心を閉ざしてしまうことになりかねません。これはありがちなのですが、「意志が弱い」とか「根性を鍛えろ」等の指摘は、病や治療とは全く関係ないことなんです。
精神疾患の理解に向けた普及啓発活動を行っているシルバーリボンの代表、森野民子氏は、正しく理解してもらうために、以下の内容を多くの人に知ってほしいと指摘しています。3)
・心の弱さによるものではなく脳機能の病気であること ・親の育て方や子どもが悪いわけではないこと ・原因不明で誰もが発病する可能性があること ・孤独、孤立、不安、不眠、過労が再発や再燃のリスクを高めること ・適切な治療と環境によってその人らしく生活することが可能なこと