2月3日(土)京都芸術劇場 春秋座『春秋座―能と狂言』

学校法人瓜生山学園

2023.11.27 16:08

京都芸術大学舞台芸術研究センター主催 渡邊守章記念

歌舞伎劇場の空間で、花道を橋掛かりにみたて、伝統的な能・狂言をお楽しみいただく、〈劇場能〉の開拓を目指す2009年より続くシリーズ公演。15回目となる今回は、能『卒都婆小町』他を、今回も観世銕之丞、野村万作、野村萬斎はじめ、豪華出演陣で上演します。

「春秋座ー能と狂言」開催概要

 日時:2023年2月3日(土)14:00開演  ※ロビー開場は開演の30分前 
 会場:京都芸術劇場 春秋座(京都芸術大学内)
    〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116
 舞台監督:小坂部恵次、大田和司(京都芸術大学舞台芸術研究センター)
 照明デザイン:藤原康弘
 
チケット料金(全席指定・税込) 一階席:一般7,500円 友の会 7,000円・二階席:一般6,500円  友の会 6,000円・学生&ユース:2,500円
※ユースは25歳以下。学生・ユースは入場時に身分証明書の提示が必要です。
※高校生以下無料(同伴者割引有)詳細 https://k-pac.org/noh_shoutai/
主催:京都芸術大学 舞台芸術研究センター
協力:銕仙会、万作の会                                                 銕仙会、万作の会

演目

プレトーク
片山九郎右衛門(観世流シテ方)
きたまり(振付家)
天野文雄(大阪大学名誉教授)

狂言『隠狸』
シテ(太郎冠者):野村万作、アド(主):野村萬斎

能『卒都婆小町一度之次第』
シテ(小野小町):観世銕之丞 ワキ(高野山僧):宝生常三 ワキツレ(従僧): 舘田善博
笛:竹市学、小鼓:大倉源次郎、大鼓:亀井広忠 後見:青木道喜、片山伸吾
地謡:片山九郎右衛門、古橋正邦、味方玄、分林道治、観世淳夫、橋本忠樹、梅田嘉宏、安藤貴康

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「主従の探り合い」と「宗教問答」そして「憑依」

-『隠狸』と『卒都婆小町』-

『隠狸(かくしだぬき)』は和泉流だけにある狂言です。狂言では、太郎冠者の隠し事が事の発端になることが多いのですが、本曲では、太郎冠者の隠し事は狸を釣るのがうまいことと、前夜に釣った大狸を市で売ろうとしていることです。客に狸汁をふるまおうと、主人は太郎冠者に市で狸を買い求めてくるよう言いつけますが、太郎冠者の隠し事を見破ろうと、主人もあとから市に向かいます。以下、市を舞台に、大狸を腰に隠し持った太郎冠者と主人の探りあいが、酒盛りのなかで繰り広げられます。客への狸汁の振る舞いはどこへやら、主人にすすめられた太郎冠者が、一さし二さしと舞ううちに‥‥‥。

『卒都婆小町(そとわこまち)』は南北朝期の古い能で、作者は観阿弥です。都から(たぶん)紀州玉津島明神に参詣しようとしている老残の小町が高野山から上洛しようとする僧たちに出合います。場所は摂津の阿倍野です。その阿倍野がこの能の舞台でもあります。小町が長旅に疲れて路傍に倒れている卒塔婆に腰かけていると、僧から叱責されます。以下、小町と僧との、いわゆる「卒塔婆問答」になるのですが、小町は教義通りの僧の詰問に、「善悪不二」という立場からことごとく反論し、問答は僧の完敗に終わります。そこで小町は自身の素性を語るうち、かつて小町がソデにした四位(しい)の少将(深草の少将)の霊が小町に憑依し、小町のもとに通って百日目に亡くなったことを再現するのですが、憑依から覚めた小町はそこで悟りの道に入ることを決意して、『卒都婆小町』は終曲となります。前半の「卒塔婆問答」と後半の「憑依」が見どころとされていますが、わたしたちは、この二つの見どころをどのように関連させればよいのでしょうか。
                                                                                                                                                                         天野文雄

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歌舞伎劇場での伝統的な能・狂言の上演

「春秋座―能と狂言」シリーズは、2009年度にフランス文学者・演出家の渡邊守章当センター所長(当時)の企画・監修により始まりました。今回で15回目を数えます。

春秋座は赤い提灯が下がり、花道とヒノキ舞台を有する歌舞伎劇場です。本公演では、花道を橋掛かりにみたて、伝統的な能・狂言をお楽しみいただきます。また、鼓や足拍子の音の粒がより明確に美しく聞こえるのが特徴です。能楽の響きや拍子、舞の躍動感を、劇場の空気を震わせるリアルな体験として春秋座にてご堪能ください。

出演者プロフィール

野村 万作 のむら まんさく

和泉流狂言方。1931年生まれ。重要無形文化財各個指定保持者(人間国宝)。文化功労者。祖父故六世野村萬斎及び父故六世野村万蔵に師事。早稲田大学文学部卒業。「万作の会」主宰。狂言の秘曲である『釣狐』の演技で芸術祭大賞を受賞した他、紀伊國屋演劇賞、日本芸術院賞、紫綬褒章、坪内逍遥大賞、朝日賞、旭日小綬賞、中日文化賞、ジャパン・ソサイエティ賞等多くの受賞歴を持つ。国内外で狂言普及に貢献し、ハワイ大・ワシントン大では客員教授を務める。古典はもとより新しい試みにもしばしば取り組み、代表作に『月に憑かれたピエロ』『子午線の祀り』『秋江』『法螺侍』等がある。近年では『楢山節考』の再演に取り組み、大きな成果を挙げている。

野村 萬斎 のむら まんさい

和泉流狂言方。1966年生まれ。祖父故六世野村万蔵及び父野村万作に師事。重要無形文化財総合指定者。国内外の狂言・能公演はもとより、現代劇や映画の主演、古典の技法を駆使した作品の演出など幅広く活躍。芸術祭新人賞・優秀賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞、朝日舞台芸術賞、紀伊國屋演劇賞、千田是也賞、読売演劇大賞最優秀作品賞等を受賞。2021年観世寿夫記念法政大学能楽賞等を受賞。石川県立音楽堂邦楽監督。公益社団法人全国公立文化施設協会会長。東京藝術大学客員教授。

九世 観世 銕之丞 かんぜ てつのじょう 

シテ方観世流。1956年生まれ。本名、暁夫(あけお)。八世観世銕之亟(人間国宝)の長男。伯父観世寿夫、および父に師事する。4才で初舞台。64年『岩船』で初シテ。力強さと繊細さを兼ね備えた謡と演技には定評がある。東京および京都、大阪でも活躍するほか、海外公演にも多く参加。2008年度日本芸術院賞、2011年紫綬褒章受賞。重要無形文化財総合指定保持者。公益社団法人銕仙会理事長。公益社団法人能楽協会理事長。

片山 九郎右衛門 かたやま くろうえもん

観世流能楽師。昭和39年 九世 片山九郎右衛門(人間国宝)の長男として生まれる。祖母は京舞井上流四世家元 井上八千代、姉は五世家元 井上八千代。幼少より父に師事し、長じて故八世 観世銕之亟に教えを受ける。父とともに片山定期能楽会を主宰。全国各地で多数の公演に出演するほか、ヨーロッパ、アメリカなど海外公演にも積極的に参加している。各地での薪能、ホール能など能楽堂以外での公演も制作、プロデュースしており、令和4年4月には新作能「媽祖ーMASOー」の企画・指揮を手掛けた。京都府文化賞奨励賞、京都市芸術新人賞、日本伝統文化振興財団賞、文化庁芸術祭新人賞、京都府文化功労賞、第三九回観世寿夫記念法政大学能楽賞受賞。重要無形文化財総合指定保持者。

宝生 常三 ほうしょう つねぞう

ワキ方宝生流。父・森茂好および伯父・宝生弥一に師事。1963年、『岩船』のワキで初舞台。1978年『道成寺』、翌年『帳良』を披く。1998年度芸術選奨文部大臣新人賞。2014年36回観世寿夫記念法政大学能楽賞受賞。下掛宝生会に所属。日本能楽会会員。

小鼓 大倉 源次郎 おおくら げんじろう

小鼓方大倉流十六世宗家。1957年生まれ。重要無形文化財保持者(人間国宝)認定。十五世宗家大倉長十郎の次男。父に師事。1965年、独鼓『鮎の段』で初舞台。1985年、大倉流宗家を継承。大阪文化祭奨励賞、大阪市咲くやこの花賞、2015年度第37回観世寿夫記念法政大学能楽賞受賞。重要無形文化財総合指定保持者。公益法人能楽協会理事。

大鼓 亀井 宏忠 かめい ひろただ

大鼓方葛野流十五世家元。1974年生まれ。亀井忠雄(人間国宝・葛野流十四世家元)の長男。母は歌舞伎囃子方田中流十二世家元田中佐太郎。父及び八世観世銕之亟(人間国宝)に師事。6歳の時『羽衣』で初舞台。1982年『合甫』で初能。ビクター伝統文化振興財団賞奨励賞、日本伝統文化奨励賞受賞。国立能楽堂および国立劇場養成研修所講師。重要無形文化財総合指定保持者。学習院大学非常勤講師。

笛 竹市 学 たけいち まなぶ

笛方藤田流。1972年生まれ。1983年藤田流宗家に入門。1984年初舞台。1984年初舞台。1996年国立能楽堂三役養成事業、三期生卒業。『猩々乱』『獅子』『翁』『道成寺』『清経 音取』『卒都婆小町』を披く。ニューヨーク9.11.追悼公演。ギリシャ・アテネフェスティバルほか海外公演に多数参加。2013年第二九回芸術創造賞受賞、2019年名古屋市芸術奨励賞受賞。

 

「春秋座-能と狂言」過去の上演演目

2009年11月28日(土)開催 プレトーク 出演:松岡心平、渡邊守章
2009年11月28日(土)開催 狂言「昆布売」出演:茂山七五三、丸石やすし・能「松風」出演:観世銕之丞、梅若晋矢 ほか

2011年2月6日(日)開催  プレトーク 出演:松岡心平、渡邊守章
2009年11月28日(土)開催 狂言「舟渡聟」出演:野村万作 ほか・能「邯鄲」出演:観世銕之丞、野村萬斎 ほか                         

2012年2月18日(土)開催 プレトーク 出演:松岡心平、渡邊守章
2009年11月28日(土)開催 狂言「末広かり」出演:野村万作、野村萬斎 ほか・能「葵上」 出演:観世銕之丞 ほか

2013年2月2日(土)開催  プレトーク 出演:渡邊守章
2009年11月28日(土)開催 狂言「磁石」出演:野村万作、野村萬斎 ほか・能「融」出演:観世銕之丞 ほか

2014年2月2日(土)開催  プレトーク 出演:松岡心平、渡邊守章
2009年11月28日(土)開催 狂言「棒縛」出演:野村萬斎 ほか・能「船弁慶」出演:観世銕之丞、野村万作 ほか

2015年1月31日(土)開催 プレトーク 出演:渡邊守章、天野文雄
2009年11月28日(土)開催 狂言「木六駄」出演:野村万作、野村萬斎 ほか・能「山姥」出演:観世銕之丞 ほか

2016年1月30日(土)開催 プレトーク 出演:渡邊守章、天野文雄
2009年11月28日(土)開催 狂言「鐘の音」出演:野村万作、石田幸雄・能「道成寺」出演:観世銕之丞 ほか

2017年1月29日(日)開催 プレトーク 出演:渡邊守章、天野文雄
2009年11月28日(土)開催 狂言「節分 替」出演:野村万作、野村萬斎・能「鵺 白頭」出演:観世銕之丞 ほか

2018年2月3日(土)開催  プレトーク 出演:片山九郎右衛門、松岡心平、渡邊守章
2009年11月28日(土)開催 狂言「清水座頭」 出演:野村万作、野村萬斎・能「三輪 白式神神楽」 出演:観世銕之丞 ほか

2019年1月27日(日)開催 プレトーク 出演:片山九郎右衛門、渡邊守章、天野文雄
2009年11月28日(土)開催 狂言「二人袴 三段之舞」出演:野村萬斎 ほか・能「自然居士」出演:観世銕之丞 ほか

2020年2月11日(火・祝)開催 プレトーク 出演:片山九郎右衛門、渡邊守章、天野文雄
2009年11月28日(土)開催  狂言「川上」出演:野村万作、野村萬斎 他・能「井筒」出演:観世銕之丞 他

2021年2月6日(土)開催 トーク 無し
2009年11月28日(土)開催狂言「舟渡聟」出演 野村万作、野村裕基 他・能「砧」出演 観世銕之丞 他

2022年2月6日(日)開催 解説 天野文雄
2009年11月28日(土)開催狂言「武悪」出演 野村万作、野村萬斎 他
2009年11能「邯鄲」出演:観世銕之丞、野村萬斎 ほか

京都芸術劇場(春秋座・studio21)について

2001年に京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)内に開設された、国内の高等教育機関では初めて実現した大学運営による本格的な劇場です。主に歌舞伎の上演を想定してつくられた大劇場=春秋座と、主に現代演劇・ダンスの上演を想定してつくられた小劇場=studio21という、まったくタイプの異なる二つの空間から成り立っており、伝統演劇・芸能から最先端のマルチメディア・パフォーマンスまで、現代の多様な舞台芸術(=performing arts)を幅広くカバーできる施設を誇っています。
舞台芸術を通じて京都における伝統と創造の姿を全国へ、そして世界へと発信しています。

劇場WEBサイト:https://k-pac.org/
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