少しだけ深く読み解く「詩劇としての能」04―『葵上』のすべて―
京都芸術大学 藝術学舎 秋季 京都芸術大学舞台芸術研究センター提供連続講座 オンライン講座
全五回の連続講座で多角的に考える「現代に生きる能」の時空
昨年の春の『井筒』から始まったこの講座では、その後、『山姥』『融』をとりあげて、さまざまな視点からそれぞれの作品の魅力を考えてきましたが、4回目となる今回は、『源氏物語』の六条御息所を主人公にした『葵上』を取り上げます。
『葵上』は世阿弥がライバルだった犬王(道阿弥) の演技を絶賛したことが知られている作品ですが、世阿弥が見た『葵上』は現在の『葵上』とは演出面の違いがかなりあります。また、曲名は『葵上』ですが、葵上は登場しません。そうしたことを紹介しつつ、今回も映像は2012年に春秋座で上演された観世銕之丞氏の『葵上』をもとに、「現代に生きる能」の魅力を考えてみることにします。
今回のゲストには金剛永謹氏をお招きしているので、金剛流の『葵上』について知るよい機会になるものと思います。
担当講師
天野文雄(大阪大学名誉教授/能楽研究)
1946年、東京都に生まれる。大阪大学名誉教授。舞台芸術研究センター前所長。著書に、『翁猿楽研究』(平成7年、和泉書院)、『能に憑かれた権力者』(平成9年、講談社選書メチエ)、『現代能楽講義』(平成16年、大阪大学出版会)、『世阿弥がいた場所』(ぺりかん社、平成19年)、『能楽名作選(上下)』(角川書店、平成29年)、『能楽手帖』(角川ソフィア文庫、平成30年)、共編著に『能を読む』(全4冊、角川学芸出版、平成25年)など。観世寿夫記念法政大学能楽賞、日本演劇学会河竹賞受賞。
舞台芸術としての能がもつ詩的特質あるいは象徴性について、「主題」と「趣向」、テキストの修辞(レトリック)という面から考えます。これによって能が現在の舞台芸術のなかで、かなり特異な位置にあることが理解されるものと思いますが、この特質こそが能を能たらしめている要素であり、その点に能の可能性もあることをお話ししたいと思います。
〈ゲスト〉金剛永謹氏/〈聞き手〉天野文雄
金剛流宗家の金剛永謹氏をお招きして、金剛流の『葵上』のこと、永謹氏の能楽観などについて存分に語っていただきます。永謹氏は京都在住の金剛流二十六世宗家で、東京以外に居住する唯一の宗家です。最近、恩賜賞・芸術院賞、重要無形文化財各個認定(人間国宝)を受けられた、まさに円熟期にある演者です。
第五回 『葵上』についての総括
これまでの4回の講義を受けて、触れることができなかったことの補足も兼ねて、『葵上』一曲を部分ではなく全体として総合的に把握してみたいと思います。現在の各流の小書(こがき=特殊演出))や能評なども話題にします。
少しだけ深く読み解く「詩劇としての能」04―『葵上』のすべて―開催概要
会場:オンライン講座(遠隔WEB受講・受講生登録制) 講座番号 G2335105
受講料:全5回 1万8千円
お申込み:2023年9月8日(金)13:00~10月15日(日)
お問い合わせ:京都藝術学舎(https://air-u.kyoto-art.ac.jp/gakusha/)TEL075-791-9124 受付時間10:00~16:00(月~土)
お申込みから受講開始までの流れ:https://air-u.kyoto-art.ac.jp/gakusha/footer/to-attend
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