そごう・西武のストライキで波紋を呼ぶ池袋の「イメージ」

株式会社エスコミュニケーション

2023.09.01 14:51

高野(元)豊島区長が導いた池袋のまちづくり

去る8月31日、大手百貨店そごう・西武の旗艦店ストライキ実施による全館臨時休業で波紋を呼んでいる池袋だが、豊島区の元区長・高野之夫氏が今年2月に亡くなる直前に、同店の低層階へのヨドバシカメラ出店に反対を表明していたことは記憶に新しい。

当時、「私たちは、そこまで口を挟むことはできない」としながらも、池袋の品格をつくり上げる役割を果たしてきた西武池袋本店の玄関口を家電量販店が占めることの危惧を高野氏は「私たちのまちづくり構想を壊しかねない」と表現した。「『区長が余計なことを言うんじゃない』とも言われましたが、住民の声を聞き入れてまちづくりを進めるのは行政トップの仕事です」とコメントした高野区長(当時)の意図するところは、豊島区民でない多くの人には伝わりにくい点があったかもしれない。

かつて財政破綻危機(1999年)や、消滅可能性都市への指定(2014年)など、幾つもの財政危機があり、それらを乗り越えてきた豊島区。15年には国際アート・カルチャー都市構想を打ち出し、高野元区長は長い時間をかけて一歩ずつ、文化によるまちづくりを進めてきた。かつては「暗い」「怖い」「汚い」といわれてきた池袋の街のイメージも令和5年の今となっては実際のところ、ずいぶんと違うものに変わってきたのではないだろうか。

『躍動、感動、創造。豊島区長・高野之夫の区長日誌』(株式会社日本シニアリビング新聞社)は、豊島区の月刊誌『池袋15’(いけぶくろじゅうごふん)』にて、高野区長が就任2年目となる2000年4月号から、同誌が休刊となる2018年12月号まで連載された「高野区長日誌」全225編を収録した一冊。高野之夫が生前より出版を要望し、昨年より企画を進めていたもので、「はじめに」「あとがき」は本書のために高野本人が特別に寄稿したものだ。

「私の区長の就任時、豊島区の財政は破綻寸前の最悪な状況であり、東京で初めて自治体倒産という危機に追い詰められていました」と書かれているように、本書は当時から現在の豊島区を導いた「まちづくり」において、地道かつ情熱的に奔走した高野区長の克明な行動記録となっている。と同時にこの20数年間で、この街で起こっていた様々な出来事や、リアルな時代背景が封じ込まれたドキュメントになっていることも興味深い。本書は豊島区民ならずとも、生活をともにする魅力的な「まちづくり」の在り方について考える大きなヒントが含まれた1冊といえるだろう。

『躍動、感動、創造。豊島区長・高野之夫の区長日誌』/池袋15‘編集部 著

・B5サイズ 、ソフトカバー 、240ページ

・発行/株式会社日本シニアリビング新聞社

・発売日/2023年8月1日

 

日本シニアリビングWEB STOREほか、AMAZONなどで販売中

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