全国的に不足する“動ける医療的ケア児”の受け入れに対応する児童発達支援「えほんの木相生山」オープンのお知らせ
~お母さん(介護者)へ休息を~医療的ケア児対応の児童発達支援が名古屋市天白区にOPENしました。
医療的ケア児対応児童発達支援施設「えほんの木相生山」が、2023年2月1日にオープン致しました。これまで地域のサービスを利用することが難しかった“動ける医療的ケア児”の新たな居場所として、従来からある児童発達支援に加え医療的ケアが必要な児童とその家族をサポートするため、専門的な知識と技術を持つスタッフを揃え、児童の発達を支援するための様々なサービスを提供します。
■“動ける医療的ケア児”とは
医療的ケア児とは、病気や障害によって、生活する上で医療的ケアが必要な子どもたちのことをいいます。医療的ケアとは、チューブで食事を注入する「経管栄養」や「胃ろう」、気管に溜まった痰を吸引する「痰の吸引」、「人工呼吸器」「酸素吸入」など、どれも生命の維持に関わるものです。周産期医療の発達により、以前であれば助けられなかった小さい命が助けられるようになったことで、医療的ケアやデバイスとともに生きる医療的ケア児はこの10年で約2倍に増え、現在では全国におよそ2万人いると言われています。
これまで、医療的ケア児の大半が、知的障害と肢体不自由が重複した、いわゆる寝たきりの状態である重症心身障がい児と呼ばれる子どもたちであると思われてきました。しかし実は医療的ケア児全体の2割程度は、歩いたり走ったりすることができる、“動ける医療的ケア児”なのです。
■“動ける医療的ケア児”の置かれている状況
多くの子どもは成長に伴い幼稚園や保育所に通いますが、“動ける医療的ケア児”を受け入れている保育所や幼稚園は多くありません。医療的ケアを行える看護師等の配置が必要となるためです。また、例えば未就学の障がい児を対象とした療育を目的としている「児童発達支援事業」でも、同様の理由で“動ける医療的ケア児”の受け入れが可能な事業所は数が限られます。医療的ケアが可能な施設や事業所は重症心身障がい児を対象としている場合が多く、“動ける医療的ケア児”は「サービスの対象ではない」「目が離せないため安全が保証できない」として利用を断られる場合が多かったのです。医療的ケア児は医療技術の進歩によって新たに生まれた障害のカテゴリーであり、特に肢体不自由等のない“動ける医療的ケア児”は既存の障がい児支援のサービスからは抜け落ちてしまい、受け皿のない状況にありました。2021年に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が制定され、医療的ケア児を取り巻くサービスは整えられているところですが、受け入れ可能な園や事業所の数はまだ十分とはいえません。地域の園に入ることも、障がい児福祉のサービスを受けることも難しい状況の中で、多くの子どもたちが当たり前に経験する、集団生活を送ったり友達と遊んだりする機会を得ることも難しくなっています。
また、こうした状況の結果、医療的ケア児の家族が仕事や休息の時間を取ることは、一般的な子育てと比べハードルが高くなります。医療的ケア児は多くの場合、出生後退院してから、在宅で家族による24時間つきっきりの医療的ケアが始まります。子どもの状態に常に気を配らなくてはいけない緊張感の中で、6割以上の母親が慢性的な睡眠不足にあったり、自分の体調不良時に医療機関を受診することもままならない状況にあり、十分に休息を取れずに医療的ケアに当たらなくてはいけません。就労を希望していても難しい場合も多くあります。医療的ケア児もその家族も、「当たり前のことを当たり前にできない」状況にあるのです。
■「えほんの木相生山」のサービスについて
私たちは、こうした状況にある“動ける医療的ケア児”とその家族の一助となるべく、0〜6歳の未就学児を対象として、2023年2月「児童発達支援 えほんの木相生山」を名古屋市天白区に開所しました。天白区は名古屋市で最も医療的ケア児が多いとされている名古屋市緑区の隣に位置しています。看護師による医療的ケア、利用児童の自宅への送迎を実施し、医療的ケア児とその家族が安心して利用できる環境を整えています。子ども同士の遊びを通した関わり、保育士等による子どもたちの発達状況や時季に応じた活動を行います。事業所名の「えほんの木」の通り、多くの絵本を用意し、子どもたちが自由に手に取れる場所を設けています。日々の活動の中でも読み聞かせを行っており、家族への絵本の貸出も実施しています。
家族以外の大人や子どもたちと触れ合い、年齢や発達状況に見合った刺激を受けることは、多くの子どもたちにとってそうであるように、“動ける医療的ケア児”にとっても必要であり重要な経験です。また、親も子どもから離れる時間を持つことで、心身の休息や自身の仕事、好きなことに時間を充てることができます。私たちは「えほんの木相生山」が医療的ケア児とその家族が安心できる居場所となり、子どもたちの成長に寄り添い可能性を広げられる場所となることを願っています。そしてこの施設を通じて、障がい児と医療的ケア児の発達に対する理解と支援が広がることを期待しております。
当事業所の活動の詳細は、Instagram(https://www.instagram.com/ehon.no.ki.aioiyama/)をご覧いただくか、お電話またはメールにてお問い合わせください。
【お問い合わせ先】
児童発達支援 えほんの木 相生山
住所:〒468-0035 愛知県名古屋市天白区境根町94番地
電話:052-918-2630
E-Mail:ehon.no.ki.aioiyama@gmail.com
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