【サービスロボット分野初のIPO】自動配送ロボ大手「雲跡科技(Yunji Technology)」が香港上場
〜世界3万超のホテルに導入、AI×ロボティクスで次の成長フェーズへ〜
中国の自動配送ロボット大手、雲跡科技(Yunji Technology)は2024年10月16日、香港証券取引所への上場を果たしました。
サービスロボット分野では世界初の上場企業とされており、公開価格は1株95.6香港ドル(約1800円)、調達総額は約6億6000万香港ドル(約125億円)。上場後の時価総額は一時100億香港ドル(約1900億円)を突破しました。

■ 世界トップシェアのホテルロボット企業
2014年に北京で設立された雲跡科技は、AIを活用した自動配送ロボットの開発・販売やデジタル運用サービスを展開。2024年の売上高は約2億4500万元(約51億円)で、過去3年間の平均成長率は23.4%。粗利率も24.3%から43.5%へと大幅に改善しています。
中核事業であるホテル向け配送ロボットでは世界シェア13.9%を誇り、2位〜5位企業の合計を上回るトップ企業に成長しています。
2025年5月時点で、世界3万4000カ所以上のホテルに導入され、年間約5億件の配送サービスを提供しています。
■ ホテル依存から脱却、医療・工場分野へ拡大
雲跡科技は現在、「1+N+AIoT」をキーワードに、モジュール交換式の多機能ロボットを開発。これにより、ホテルのみならず、病院での物資搬送、工場での作業支援、警備巡回など、多様な用途への展開が進んでいます。
2025年前半には、ホテル以外の分野が売上の8.7%を占めるまでに成長。商業ビル・医療機関・工場向けの導入も拡大中です。

■ R&D強化とサブスクモデルで安定成長へ
上場で得た資金の約60%を研究開発に投じる計画で、すでに550件以上の特許を保有。独自のAI運用システム「HDOS(Hospitality Digital Operation System)」には2億3000万人分のサービスデータが蓄積され、AIが実環境データを学習する自律反復学習システムを構築しています。収益モデルもハードウェア販売からサブスクリプション型へ転換。「リース+サブスク」収益は2022〜2024年で年平均45.5%増と、安定的な収益基盤を確立しつつあります。
■ 海外展開を加速、日本市場も視野に
香港生産力促進局(HKPC)の支援を受け、香港に子会社「SkyTread Tech」とR&D拠点を新設。今後は日本や東南アジアを中心に海外展開を強化します。
また、電子機器大手立訊精密工業(Luxshare)との提携も伝えられています。製造現場の自動化や「AIエージェント+ロボット」の実装を通じて、自動車・半導体・バイオ医薬など、より高度な産業分野への進出を目指しています。
(36Kr Japan編集部)
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