博多織と博多絞 失われた「博多絞」の再現へ

株式会社岡野

2025.10.29 11:08

博多織と京鹿の子絞の技が融合——幻の染め物「博多絞(筑前絞り)」復活プロジェクト始動

博多織の老舗・OKANO(株式会社岡野)と、京鹿の子絞の名門・藤井絞株式会社は、近代以降に途絶え「幻の絞り」と呼ばれる〈博多絞(筑前絞り)〉の再現に向けた共同プロジェクトを始動しました。 両社が長年培ってきた「織」と「絞り」の技術を融合し、史料調査・技法検証・試作を段階的に進めながら、博多に根ざす染織文化の継承と現代化を目指します。

◆失われた「博多絞」を現代に蘇らせる挑戦

博多絞(筑前絞り)は、江戸から大正期にかけて浴衣や日常着として親しまれた染め物です。
しかし、戦時下の物資統制や職人の離散により生産が途絶え、現在では技術が失われ「幻の絞り」と呼ばれています。近年、研究者や作家によって再評価の機運が高まり、復興への動きが模索されてきました。
今回、博多織の担い手であるOKANOと、京鹿の子絞の伝統を守り続ける藤井絞がタッグを組み、失われた博多絞の再現に挑みます。

◆博多絞とは

博多絞(はかたしぼり)は、筑前国博多(現・福岡市)で生まれた染め物で、甘木絞りとともに「筑前絞り」と総称されます。享保年間(1716〜1736)にはすでに存在し、茜や紅花を使った赤い「紅絞」が特産でした。のちに紅・藍・紫など多彩な色と模様が生まれ、木綿地の浴衣として人気を博します。
江戸でも評判を呼び、天保年間(1830〜1844)には紺地に白抜きの花柄が流行。博多商人の宣伝により大正期に最盛を迎え、小粋な博多の象徴として文学作品にも登場しました。
しかし戦中戦後の混乱の中で途絶え、平成8年に最後の生産者が廃業。現在では博物館にわずかな資料が残るのみとなっています。

◆失われた手仕事に、もう一度光を

OKANOと藤井絞によるこの共同プロジェクトは、博多絞を現代に再び息づかせる長期的な挑戦です。両社の技術を融合し、史料調査・技法検証・試作を段階的に実施しながら、博多の染織文化を継承し、現代の感性にも響く新たな〈博多絞〉の創造を目指します。
プロジェクトの第一歩として、今回は最初の作品を1点のみ特別展示。今後はさらなる研究と検証を重ね、技術の再興とともに、新たな時代の博多絞を発信していきます。

◆展示イベント概要

イベント名:博多織と博多絞
会期:2025年11月13日(木)〜18日(火)10時ー18時 ※最終日、16時まで
会場はかた伝統工芸館 福岡市博多区博多駅前1-23-2
入場料:無料
展示内容
1)博多絞の展示 ※受注販売あり 2)藤井絞の作品展示販売 3)OKANOの作品展示販売

特設サイトhttps://lime-onion-30rvrq.mystrikingly.com/

 


◆株式会社岡野(OKANO)について

株式会社岡野は、1897年創業の博多織の老舗。120年以上にわたり、福岡・博多の地で日本を代表する絹織物の美を追求してきました。伝統技術を受け継ぎながらも革新を重ね、皇室への献上品製作などの実績を持ちます。製造から販売までを一貫して担う稀有な織元として、博多織の精神と美意識を世界へ発信しています。
ブランドサイト:https://okano1897.jp/

 


藤井絞株式会社について

藤井絞株式会社は、大正4年(1915年)創業。絞り染め技術「京鹿の子絞り」を継承する老舗呉服製造卸会社です。素材・柄・色のすべてにこだわり、「絞り」が最大限に活きる一枚のきものづくりを追求。伝統技術の継承と発展を使命としながら、現代に調和する新しい絞りの魅力を発信し続けています。
公式サイト:https://fujiishibori.jp/

 

 

 

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