専門家が指摘する高断熱住宅の隠れたリスク
【警鐘】「ZEH(ゼッチ)」基準引き上げの裏で施工不良60%の現実…
個人向け総合不動産コンサルティング・ホームインスペクション(住宅診断)、マンション管理組合向けコンサルティングを行う“不動産の達人 株式会社さくら事務所”(東京都渋谷区/社⻑:大⻄倫加)は、経済産業省が9月26日、住宅における省エネ性能を牽引する「ZEH(ゼッチ)」の基準を引き上げ、新たに「GX ZEH(ジーエックス ゼッチ)」を定義したことを受け、専門家が警鐘する高断熱住宅の注意点をお伝えします。本件に関する取材やご質問がございましたらお気軽にお問い合わせください。
新たに定義された「GX ZEH(ジーエックス ゼッチ)」とは?

「GX ZEH」とは、グリーン・トランスフォーメーション・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称。ZEHとの違いは次のとおりです。 大きな変更点は、断熱性能および一次エネルギー消費量削減率の基準が上がり、新たにエネルギーを蓄えて制御する設備の導入が必須になったこと。2027年4月から新基準での認証がスタートします。
GX ZEHにおける注意点
住宅の省エネ性能が高まれば、脱炭素社会の実現や光熱費の削減、住まいの長寿命化などに期待できることから、基本的に今回の新定義はポジティブな改正といえるでしょう。一方で、次のような点には十分留意する必要があります。

【設計仕様】
GX ZEHには、建物の気密性能の基準が設けられていない。いくら断熱性能、省エネ性能が高かったとしても、隙間が多い住まいは温度や湿度を十分にコントロールできない。基準はなくとも、住まいの快適性を高めるには、断熱性能・省エネ性能に加え、気密性能をよく確認することが大切。
加えて、GX ZEHには「冬場の日射取得」の基準がない。立地条件から難しいこともあるが、暖房器具や断熱性能だけに頼らず、日射によって暖かさを確保できるか要チェック。
【維持管理】
太陽光発電パネルや蓄電池などの設備の維持管理には、一定の費用がかかる。太陽光発電パネルのパワーコンディショナーの耐用年数は15年前後で、交換費用は20〜30万円程度。蓄電池も同様に15年前後が交換のタイミングの目安で数十万円の費用がかかる。築15年前後は、防水の再施工や家電の買い替えなどお金がかかるタイミング。ランニングコストも考慮して資金計画を立てる必要がある。
【施工品質】
設計上いくら高断熱であっても、しっかりとした施工が伴っていなければ性能は十分に発揮できない。2024年にさくら事務所が実施した新築工事中ホームインスペクションでは、60%以上の住宅で断熱に関する何らかの不具合が指摘された。断熱の基本は「家の断面を見たとき、断熱材を結んだ線が一筆書きできる」こと。しかし、実際には断熱材の欠損などが少なからず見られるのが現状。
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さくら事務所について
株式会社さくら事務所(東京都渋谷区/社⻑:大⻄倫加)は「人と不動産のより幸せな関係を追求し、豊かで美しい社会を次世代に手渡すこと」を理念として活動する、業界初の個人向け総合不動産コンサルティング企業です。1999年、不動産コンサルタント長嶋修が設立。第三者性を堅持した立場から、利害にとらわれない住宅診断(ホームインスペクション)やマンション管理組合向けコンサルティング、不動産購入に関する様々なアドバイスを行う「不動産の達人サービス」を提供、74,000組を超える実績を有しています。
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