｢CAFEC｣ブランドの誕生、そして世界展開

　2016 年に誕生した三洋産業のコーヒー器具ブランド「CAFEC」。 そのブランド第一号商品はコーヒードリッパーの内側の壁を抉（えぐ）るという斬新な構造、その花びらのような見た目から名付けられた「フラワードリッパー」。同時に発売された「アバカ円すいコーヒーフィルター」は、「アバカ」という通液性、柔軟性に優れた多年草素材を用い、独自の抄紙技術によって作られた、他ではまねのできないクレープ（紙の表面のシワ）の製品。このクレープの絶妙な高さバランスが、ペーパーとドリッパーの間の空気層を十分に保ち、理想的なウォーターフローを実現。多くのコーヒー愛好家から支持を得て、CAFECを代表するコーヒーフィルターとして人気を博し、現在では世界80カ国で愛用されるまでに至っています。 
　今に続くスペシャルティコーヒーをハンドドリップするスタイル、“サードウェーブ”を牽引する「円すい形コーヒーフィルター」を約50年前に世界で初めて製造した会社も、ここ三洋産業でした。

別府の「小さな濾紙工場」から、世界の大海原を目指して

　三洋産業でのコーヒーペーパーフィルター製造の歴史は、1973年（昭和48年）4月に大分県別府市富士見町の小さな濾紙製造工場から始まりました。時代は高度経済成長の真っ只中、世間を席捲していた「喫茶ブーム」の中で、若者やサラリーマンたちが喫茶店に集う姿を見ながら、当時コーヒー会社の専務だった中塚茂（現：三洋産業会長）は『コーヒーはこれから家庭で飲まれる時代が必ずやってくる』と予感。

“三洋”という社名には“Three for(スリーフォー)”、すなわち太平洋・大西洋・インド洋へ向かって羽ばたく、という創業者の決意が込められていました。 

『価格』か『クオリティ』か、直面した経営岐路 

　1980年代に入りコーヒーが家庭でも飲まれるようになっていきましたが、90年代の「バブル」崩壊をきっかけにデフレが進行。コーヒーも安売り競争へと巻き込まれる中、ライバルのコーヒーフィルター販売会社の攻勢に、当時の営業を取り仕切っていた専務の中塚茂次（現：同社代表取締役）は『この価格競争に勝ち抜かないと会社に未来はない』と価格対抗できるペーパーフィルターの開発に奔走していました。その姿を見かねた社長から『お前は何をしているのだ！世間からの「信用」を積み重ねるには計り知れない時間と努力が必要だが、その「信用」を失うのは一瞬だぞ！』と叱咤。後に中塚（専務）は『我に返った』と語り、信用とは何かを自問した末に導き出した答えは、創業以来培ってきた“モノ”と“ヒト”のクオリティでした。

もしあの時に会社が『価格』路線をとっていたなら、おそらく今の三洋産業も、CAFECブランドも、アバカ円すいフィルターの誕生も無かったことでしょう。大切に守り続けたヒトとモノでの「クオリティ」の原点、それこそが三洋産業の「伝統」。　

　その後も幾多の困難を、製品のクオリティを支持するお客様と共に乗りこえながら会社は着実に成長。先代が創業当時に作った経営理念『みんな仲良く輪を作れ。作り上げれば大三洋』の想いは、50年を越えた現在も脈々と受け継がれています。

　運命にも導かれたこのペーパーフィルターは、世界中のコーヒー愛好家のみなさまの「コーヒースマイル」というゴールを目指し、気持ちも装いも新たにCAFECの“伝統”を乗せて、世界の大海原へと出航します。

【新商品情報】　「トラディショナル円すいコーヒーフィルター」

〇品名 トラディショナル円すいコーヒーフィルター　 〇品名 トラディショナル円すいコーヒーフィルター　

　　　　Cup1　1杯用（100枚入り）　　　　　　　　　　　　Cup4　2～4杯用（100枚入り）

〇品番 CC1-100W　　　　　　　　　　　　　　　　〇品番 CC4-100W

〇希望小売価格 440円（税込）　　　　　　　　　　 〇希望小売価格 484円（税込）

〇素材 バージンパルプ                                          〇素材 バージンパルプ

三洋産業の創業以来、大切にしてきたクオリティ「紙一重（かみひとえ）の違い」をかたちにした、独自クレープ（紙の表面のシワ）技術によって作られた円すい形のコーヒーペーパーフィルター。クレープの絶妙な高さバランスがペーパーとドリッパーの間の空気層を十分に保ち、理想的なウォーターフローを実現。

　パッケージデザインは、世界中のコーヒー愛好家に親しまれているCAFECの象徴、「アバカ円すいコーヒーフィルター」の意匠を敢えて受け継ぐことで、目にした瞬間にCAFECらしさ、その伝統を感じとってほしい—— そんな静かなメッセージを込めています。