マンション標準管理規約が改正!無関心による機能不全に風穴

株式会社さくら事務所

2025.10.20 10:00

合意形成の転換点、管理組合はどう備えるか

2025年10月17日、国土交通省は「マンション標準管理規約」の改正を発表しました。これにより、区分所有法改正に対応した新しい規約が示され、マンション管理の現場に大きな影響を与えることになります。株式会社さくら事務所(東京都渋谷区/代表:大西倫加)は、この動きを踏まえ、改正の重要ポイントと管理組合が直面する課題・対応についての専門家の見解を発表しました。詳しくは下記をご覧いただき、本件に関する取材やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

“無関心”が引き起こす──マンション管理の課題が深刻化

近年では、大規模修繕工事における「談合問題」や、外部業者による「なりすまし事案」など、現在の関係法令や標準管理規約では対応しきれない課題が顕在化しています。

背景には、総会出席率の低下や海外在住所有者との連絡不全など、所有者の管理に対する意識が「無関心」であることが影響しています。実際、さくら事務所にも「総会出欠の意思表示をしない所有者が3割を超え、そもそも特別決議ができない」といった相談が寄せられており、無関心な所有者の存在が管理組合の機能不全を深刻化させているケースが増えています。

今回の標準管理規約改正は、こうした「マンション管理組合の機能不全」に風穴を開ける改正として注目されています。

改正で盛り込まれた主なポイント

①特別決議要件の緩和

「組合員・議決権総数の4分の3以上の賛成」から「出席組合員・議決権総数の4分の3以上の賛成」で可決可能に

▶重要議案の承認(特別決議)のハードルが下がることで、管理組合運営の円滑化が可能に

② 「終活」マンションの新たな選択肢──再生・活用の柔軟化

全員同意が原則の「建物敷地の一括売却」「一棟コンバージョン」の選択肢が多数決で可能に

▶維持修繕以外の選択肢が増えたことで、長期修繕計画における「終活」が現実的に

③ 外部業者「なりすまし」防止強化──本人確認の必要性を明文化

マンションの理事や所有者を装った「なりすまし」問題を受け、本人確認の必要性を明文化。 

▶なりすましの抑止効果が期待される一方、修繕積立金の不正流出を防ぐ対策も重要

④ 海外在住所有者問題にメス──国内管理人制度を活用できる規定を新設

総会出欠の意思表示の欠如や管理費・修繕積立金の滞納など、管理組合運営に支障をきたす恐れがある海外在住所有者に対し、国内管理人制度を活用できる規定を新設。

▶管理組合の機能が止まるのを防ぎ、所有者が不在でも意思決定を進められることが可能に

⑤ 喫煙ルールの明確化──喫煙可能場所での“配慮義務”も明記

バルコニーを含む共用部での喫煙ルールが曖昧で、トラブルが多発している現状を踏まえ、喫煙に関するルールを明確化。

▶受動喫煙防止の観点から、喫煙可能場所であっても周囲への配慮を求める一文を規約コメントに付記。

管理組合の対応次第で改正の明暗分かれる

株式会社さくら事務所・取締役副社長COO 山本 直彌コメント

今回の標準管理規約改正は、これまで多くのマンションが抱えていた課題を解決することができる大きな改正になると考えています。しかし、この改正を良い形で活用できるかどうかは、マンション次第。改正後も引き続き、居住者ひとり一人が積極的にマンション管理に関わっていくことが大切です。また、これまでの規制を緩和するということには、必ず弊害もあります。今回の改正を単なるルール変更で終わらせず、資産価値維持・向上の機会に変えるには、最新標準管理規約への準拠だけではなく、各マンションの個別ルールを盛り込んだ実行性のある管理規約に変更していくことが重要です。

ご相談は「マンション管理規約チェック」にて承ります。

さくら事務所について

株式会社さくら事務所は「人と不動産のより幸せな関係を追求し、豊かで美しい社会を次世代に手渡すこと」を理念として活動する、業界初の個人向け総合不動産コンサルティング企業です。1999年、不動産コンサルタント長嶋修が設立。第三者性を堅持した立場から、利害にとらわれない住宅診断(ホームインスペクション)やマンション管理組合向けコンサルティング、不動産購入に関する様々なアドバイスを行う「不動産の達人サービス」を提供、74,000組を超える実績を持っています。

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