深海魚と地震

　今年、大阪市の淀川でマッコウクジラが、東京湾でイルカの群れやトド、ザトウクジラ、また各地でリュウグウノツカイやダイオウイカの発見が相次ぎました。普段見られない深海魚など動物の出現は、一部で地震の前兆か？という声も聞かれます。2019年の東海大学の研究によると、「深海魚出現は地震の前触れといった伝承は迷信と考えられる」と結論づけていますが、地震前に起こりうる動物の異常行動等は「宏観異常現象」と呼ばれ、地震の前兆として活用できる可能性もあるため、2022年に発生した地震と深海魚の報告を例に検証しました。

調査方法

　深海魚出現：期間検索が可能なウェブ、SNSの検索により、2022年1月1日から12月31日までの1年間にリュウグウノツカイ、サケガシラ等で検索してヒットした情報（漂着・水揚げ港を含む）から100㎞圏内で、発見日から30日以内に、東海大学の先行研究と同様のマグニチュード（M）6.0以上の地震、さらに参考まで国内で最大震度５弱以上を観測する地震発生があったかどうかを確認。地震情報はYahoo!天気・災害 地震情報（履歴一覧）から対象となる地震を抽出。

調査結果　

　2022年、対象となる深海魚の出現情報を収集したところ、23回の報告事例（リュウグウノツカイが14例、サケガシラは8例、その他３例）がありました。リュウグウノツカイは「幻の魚」という割には少なくとも14例も発見され、うち生存状態では11例が発見されていました。一方で、対象となるM6.0以上の地震は13回、最大震度5弱以上の地震は11回ありました。

　これらの結果から、2022年の一年間、各深海魚の出現後にその100㎞圏内で一か月以内に発生したM6.0以上、または震度5弱以上の地震があるか検証したところ、調査期間内においては、対象となる地震の発生はなかったものとみられます。

　動物の異常行動・出現と地震発生の間には、今後とも現象の確認と共に、その後の検証が必要だと考えられます。

調査結果　「2022年 深海魚と地震の関係・大調査」

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