New York General Group、革新的宇宙機推進システムの特許を出願

New York General Group, Inc.

2025.04.10 16:16

New York General Group(以下、NYGG)は本日、宇宙探査の経済性と能力に新たな可能性をもたらすと期待される、電気化学推進システムの特許出願(特願2025-064781)を発表します。「pH制御型コバルト酸化触媒を用いた電気化学推進システム」と題された本特許出願は、NYGGのCategorical AIによるコンピュータシミュレーションを通じて有望性が示された、宇宙推進技術における重要な技術コンセプトを示すものです。

 

革新的技術の概要

本特許出願で詳述されている技術は、ナノサイズのコバルト酸化物(CoOx)触媒を用いた電極構造と、複数のpH環境(アルカリ性、中性、酸性)を持つ電解質システムを組み合わせた独自の設計に基づいています。この組み合わせにより、コバルト酸化物の酸化状態を精密に制御し、酸素発生反応(OER)の効率と速度を調整することが可能になります。

「この技術は、宇宙推進システムの分野における真のパラダイムシフトを表しています」とNYGGの創業者・最高経営責任者であり、本発明の発明者である村上 由宇(以下、村上)は述べています。「従来の化学推進剤と電気推進システムの間に存在していた性能ギャップを埋める、全く新しいアプローチを提供します。水を主成分とする推進剤を使用することで、安全性、効率性、持続可能性を大幅に向上させることができます。」

 

技術的優位性

本システムの最も注目すべき特徴は、異なるpH環境を切り替えることによる可変推力特性です。アルカリ性環境(pH約13)では、コバルト触媒の特性を活かした低過電圧(約376mV)での運用が可能となり、高効率な推進を実現します。一方、中性環境(pH約7)または酸性環境(pH約1)では、コバルト酸化状態の変化特性が異なるため、より精密な推力制御が可能になります。

この可変推力特性により、単一のシステムで複数の推進要件に対応することができ、従来は複数の異なる推進システムを搭載する必要があった宇宙機の設計を大幅に簡素化することが可能になります。

本技術の主な優位性は以下の通りです:

1. 高効率推進モード(アルカリ性環境):触媒あたり20A/g以上の酸素発生速度を実現し、推力密度0.5-1.0N/kWの高効率推進が可能です。比推力は800-1000秒に達し、従来の化学推進剤(300-450秒)を大幅に上回ります。

2. 精密制御モード(中性/酸性環境):中性環境では推力変動1%未満の安定した推力を、酸性環境では0.5%単位の微調整が可能な精密制御を実現します。これにより、ランデブー、ドッキング、精密指向制御などの高精度操作が可能になります。

3. 水べースの推進剤:非毒性かつ不燃性の水を主成分とする推進剤は、取り扱いの安全性が高く、打ち上げ前の準備作業を大幅に簡素化します。従来の推進剤であるヒドラジンやモノメチルヒドラジンなどの有毒物質を扱う必要がなくなり、安全性と運用コストの面で大きな利点があります。

4. 現地資源利用の可能性:月や火星などの天体に存在する水氷を採取・精製し、推進剤として利用することができます。これにより、地球からの補給に依存しない持続可能な宇宙探査が可能になり、ミッション期間の大幅な延長が実現されます。

5. 触媒の長寿命化:微量の酸化セリウム(CeO₂)を添加することにより、特に酸性環境での触媒の溶解を抑制し、長期運用を可能にします。アルカリ性環境での触媒の安定性数(発生した酸素分子数と溶解したコバルト原子数の比率)は10⁴以上であり、数千時間の連続運転が可能です。

 

技術的詳細

本システムの核心となる技術的革新は、コバルト酸化物触媒の酸化状態変化と酸素発生反応の直接的な相関関係を利用した高精度な推力制御メカニズムです。特に、酸素発生電流の対数とコバルト酸化状態変化(ΔEedge)の間の準線形関係を利用することで、精密な推力調整が実現されます。

「我々は、コバルト酸化物触媒の表面特性を最適化し、Co²⁺/Co³⁺およびCo³⁺/Co⁴⁺のレドックス過程の効率を向上させます」と、村上は説明します。「特に、表面の酸素欠陥濃度を最適化することにより、水酸化物イオン(OH⁻)との相互作用を強化し、OER中間体の安定化を図りました。また、触媒層の厚さや多孔性を調整することにより、質量輸送特性を向上させ、高電流密度での運用を可能にします。」

システムの主要構成要素は以下の通りです:

1. ナノサイズのCoOx触媒電極:粒子サイズ20-50nmに制御されたCoOx触媒を用いた電極構造。表面再構成特性が最適化され、高密度のOER活性サイトを形成します。

2. 多区画電解質システム:アルカリ性区画(0.1M KOH溶液、pH約13)、中性区画(0.1Mリン酸緩衝液、pH約7)、酸性区画(0.05M H₂SO₄溶液、pH約1)の3つの区画からなり、イオン交換膜により分離されています。

3. 精密電源制御系:電極電位と電流を精密に制御し、推力特性を調整します。高効率DC-DCコンバータ、高精度マイクロコントローラ、電位・電流センサ、電極切替回路、および安全監視回路からなります。

4. 水ベース推進剤:水(90-95wt%)を主成分とし、電解質および反応物質として機能します。必要に応じて、凍結防止剤(エチレングリコールまたはプロピレングリコール、0-5wt%)を添加することができます。

 

応用分野と市場ポテンシャル

本技術は、宇宙産業における幅広い応用可能性を持っています:

1. 地球周回衛星:軌道維持、姿勢制御、衝突回避マヌーバなど、様々な運用フェーズに対応可能です。特に、地球観測衛星やリモートセンシング衛星など、高精度な軌道維持が要求される衛星に適しています。

2. 深宇宙探査機:軌道修正、ランデブー・ドッキング、現地資源利用など、長期ミッションに必要な多様な推進能力を提供します。特に、月や火星など、水氷が存在する可能性のある天体での探査に大きな利点があります。

3. 小型衛星コンステレーション:編隊飛行、軌道配置、寿命延長など、小型衛星の運用に必要な推進能力を効率的に提供します。高い比推力により、同じ推進剤量でより長期間の運用が可能になります。

4. 宇宙ステーションの姿勢制御:国際宇宙ステーション(ISS)や将来の月軌道プラットフォーム(Gateway)などの大型宇宙構造物の姿勢制御と軌道維持に適しています。水ベースの推進剤は安全性が高く、有人施設での使用に適しています。

5. 宇宙デブリ除去衛星:デブリ接近、捕獲、軌道降下など、宇宙デブリ除去ミッションに必要な多様な推進能力を提供します。可変推力特性により、精密接近と効率的な軌道降下を組み合わせることができます。

6. 惑星間輸送システム:将来の惑星間輸送インフラストラクチャの一部として、水を推進剤とする補給不要の推進システムを構築することが可能です。特に、火星や小惑星帯など、水資源が利用可能な領域での運用に適しています。

「宇宙産業は急速に成長しており、より効率的で柔軟な推進システムへの需要が高まっています」と、村上は述べています。「特に、小型衛星の打ち上げ数の増加、月・火星探査計画の拡大、宇宙デブリ問題への対応など、様々な要因が新しい推進技術への需要を押し上げています。我々の技術は、これらの市場ニーズに応える大きなポテンシャルを持っています。」

NYGGの市場調査によれば、宇宙推進システム市場は2030年までに約150億ドル規模に成長すると予測されており、その中でも電気推進システムセグメントが最も急速に成長すると見込まれています。本技術は、この成長市場において重要な位置を占める可能性があります。

 

研究開発の背景と今後の展望

本技術の開発は、NYGGの村上とCategorical AIとの画期的な共同研究から誕生しました。この異分野融合的な協力関係が、従来の宇宙推進技術の枠を超えた革新的なアプローチを可能にしました。

「この発明は、材料科学、電気化学、宇宙工学の知見と、最先端のAI技術を融合させることで生まれました」と、村上は説明します。「自身の電気化学触媒に関するアイデアと、Categorical AIの革新的な問題解決アプローチの組み合わせが、この画期的な技術を生み出す鍵となりました。特に、コバルト触媒の酸化状態変化とpH依存性に関する深い理解を、実用的な宇宙推進システムに変換するという発想は、この協力関係なしには生まれなかったでしょう。」

この共同研究は、当初は電気化学触媒の基礎研究として始まりましたが、両者の対話を通じて宇宙推進への応用可能性が浮かび上がり、集中的な研究開発へと発展しました。特に、異なるpH環境におけるコバルト触媒の振る舞いに関する詳細な分析と、それを宇宙推進に応用するための革新的なシステム設計が、この共同研究の成果として結実しました。

今後の研究開発計画としては、以下の点に焦点を当てています:

1. 触媒性能の向上:複合触媒の開発、ナノ構造の最適化、担体効果の活用などにより、OER活性と安定性をさらに向上させることを目指しています。

2. システム効率の向上:電解セル設計の最適化、熱管理システムの改良、電力制御アルゴリズムの高度化などにより、電力利用効率と推進効率をさらに向上させることを計画しています。

3. 運用範囲の拡大:低温環境対応、高推力モードの拡張、長期保存性の向上などにより、より広範なミッションに対応可能なシステムを実現することを目指しています。

4. 統合推進システムの開発:水素・酸素燃焼推進、太陽熱推進、帆走推進などの他の推進技術と統合することにより、より柔軟で効率的な推進システムを実現することを検討しています。

 

New York General Groupについて

New York General Groupは、圏論に基づく独自のテクノロジーであるCategorical AIを開発・活用し、「Create and Save the Universe by Superintelligence」をミッションに掲げ、AIの力で社会の持続可能な発展に貢献していきます。

詳細はウェブサイト(https://www.newyorkgeneralgroup.com/)をご覧ください。

 

本件に関するお問い合わせ先

New York General Group 広報担当

Email: info@newyorkgeneralgroup.com

 

注記1:本プレスリリースに記載されている内容は、特許出願中の技術に関するものであり、特許審査の結果によっては変更される可能性があります。また、将来の見通しに関する記述は、現時点での予測に基づくものであり、実際の結果はさまざまな要因により異なる場合があります。

注記2:本発明における実験はNYGGのCategorical AIによるコンピュータシミュレーションに基づきます。Categorical AIは、数値解析における高精度計算や実験データの解析などに基づき、様々なコンピュータシミュレーションを行うことができます。

企業担当者の連絡先を閲覧するには
会員登録を行い、ログインしてください。

種類
商品サービス

カテゴリ
システム・通信