「2025年度札幌市中心部オフィスビル市況」を発表
●移転需要は活発も新築ビル竣工ラッシュにより空室率が上昇
株式会社札幌ヴェルディ(本社:札幌市中央区)は、2025年3月28日付で「2025年度札幌市中心部オフィスビル市況」レポートを発表した。レポートによると、2024年末時点の札幌中心部の空室率は3.70%となり、前年より0.82ポイント上昇。背景には、9棟に及ぶ新築ビルの供給が集中し、うち多くの物件が高賃料帯で空室を残したことがある。一方、既存ビルを対象にした統計ではむしろ空室率は減少しており、堅調なビジネス需要が裏付けられている。 札幌市ではIT・BPO関連や金融・資産運用特区関連の企業誘致が進行しており、新たなビジネス拠点としての成長が続いている。市内では複数の大型再開発が進行している一方で建築費の高騰や人手不足により、計画・スケジュールの見直しも散見される。 今後の賃料水準は引き続き高止まりが予想されるが、新築物件ではフリーレントの導入や定期借家契約などの柔軟な対応も拡大しており、新規参入にとっては好機とも言える状況。
札幌市を中心に、北海道道央圏で事務所、倉庫、店舗など不動産仲介を行う株式会社札幌ヴェルディ(本社:札幌市中央区北2条西13丁目1番地1 K2ビル5階)は、定期的に札幌市経済の指標ともなるレポート「札幌市中心部オフィス市況」を発表していますが、2025年3月28日、2024年12月末時点の業界レポート「2025年度札幌市中心部オフィスビル市況」を自社HP https://sapporo-verdy.jpで公開します。レポートの対象地区は札幌駅前通りおよび周辺、JR札幌駅北口周辺、大通り周辺、大通り南周辺、地下鉄東西線バスセンター前駅周辺、地下鉄東西線西11丁目駅周辺、の延床面積が330平方メートル(100坪)以上かつ4階建以上の主要オフィスビル388棟です。
市況全体としては2024年12月末時点の空室率は3.70%、新規供給は、9月までに9棟で貸室面積32,649.34㎡(9,876.44坪)の供給がありましたが、半数以上の新築ビルがかなりの空室をかかえたまま年末を迎え、その影響で各地区の空室率を押し上げました。
道内経済動向は、緩やかな回復傾向にあると見られていますが、依然として一般消費は物価高により大きな伸びは抑制され、インバウンド増加による観光産業の回復が顕著な他は、停滞感が否めません。しかし、道央圏においては、半導体関連産業やデータセンター増築など大型の設備投資が進み、札幌市内では再開発が活発におこなわれており、全国でも数少ない成長エリアとなっています。
札幌中心部のオフィス空室率の増加要因は大型新築ビルの年内低稼働にありますが、特に上昇の目立った大通り南周辺では、大きく影響している新築ビルを除くと、空室率は実質的には低下しており、需要は高い状態のまま、2025年初頭の「サザンクロス札幌」「札幌4丁目プレイス」の大型ビルのオフィス床開業が待たれます。
札幌市内では多くの大型再開発が継続しており、新築ビルの募集賃料は年々上昇が続いています。大規模増床のあった地区では空室率が上昇しましたが、中小規模のオフィス需要は活発であり、札幌駅前通りと札幌駅北口周辺の人気地区では賃料高騰にも関わらず空室率の上昇はみられません。
また、新築ビルの空室は統計上の大きな比率を占めますが、中心部の既存ビルのみを抽出した結果では、むしろ空室率は低下していることが明らかとなり、市内中心部のオフィス不足は依然として継続していることがわかります。(レポート末尾付録・通常統計外資料)
賃料については高騰の現況から、新築ビルではフリーレント(賃料部分の無料期間)の動きが定着しつつあり、共益費や管理費にも適用の幅を広げていますが、当初の賃料を抑えるため定期借家契約に切り替えて更改時の賃料改定に備えるところが増えてきました。
札幌市は五大都市圏では最も空室率が低く賃料水準も比較的低くなっていますが、AI技術の進展によりコールセンターの減床も予想されることから、2025年以降のオフィス床増床を見込み、新規参入タイミングとしては最適な環境にあると考えられます。
レポート「2025年度札幌市中心部オフィスビル市況」目次
1・札幌中心部オフィスビルの市況及び相場
- 移転需要は活発も新築ビル竣工ラッシュにより空室率が上昇
- 札幌ビジネス地区のテナントの動向
- 札幌中心部オフィスビルや複合商業施設の新築・建替えは計画見直しも
2・札幌中心部オフィスビル貸室面積と空室面積
3・地区別空室率の推移
4・募集賃料の推移
5・地区別募集賃料の推移
6・新規需要量
付録・通常統計外資料「中心部大型既存ビルの空室率低下」
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