浸水した住宅の推定被害額は961万円以上

株式会社さくら事務所

2023.01.11 10:00

住宅で想定される被災リスク傾向から分析

業界初の個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクション(住宅診断)、マンション管理組合向けコンサルティングを行う“不動産の達人”株式会社さくら事務所(東京都渋谷区/社長:大西倫加)が運営するシンクタンク「だいち災害リスク研究所」は、「災害リスクカルテ」で建物被災リスクを判定した187物件の傾向を分析。マンション、戸建て住宅で水害、土砂災害、地震時の揺れ、津波の4つの災害で注意すべき災害は何か?どのような被害が想定されるかを特別コラムとしてまとめました。

◆水害による被害想定

全物件の25%弱がリスク高い(50㎝以上浸水)、20%ほどが中程度(50㎝未満浸水)と、全体の半数弱の物件で水害による被災リスクがありました。マンションでは、2階以上の居室に被害がなくとも、地下の機械室などインフラの被災を想定した対策と備えが必要です。戸建て住宅では、6割ほどは床上までの浸水の想定がなく、水害による避難は不要という想定となりました。

戸建て住宅の2割弱が2階には浸水が及ばず、最大で床上浸水が想定されますが上階への垂直避難が可能と想定、残る2割が安全な場所への水平避難が必要という想定となりました。床上以上の浸水が想定される物件で想定される推定被害額は、平均961万5千円でした。水害が葬礼される場合には早期の避難を行うとともに、生活再建に際しては、必要に応じた火災保険の水災特約(水災補償)加入が有効であると考えられます。

◆土砂災害による被害想定

全物件の6.3%ほどが土砂災害リスク高い、11.5%ほどが中程度という結果となりました。水害と比べるとリスクがある物件は限られますが、やや中古戸建住宅で被災リスクが高い傾向がありました。昨年の大みそかにも山形県鶴岡市で土砂災害があり、住宅に土砂が流入、年明けになって2名の方の死亡が確認されました。また、既存住宅に多い既存擁壁は建て替えの際に多額の費用がかかることがあり、中古戸建て住宅を検討の際には土砂災害リスクと合わせて注意したいポイントです。

◆地震による被害想定

全物件の全体の11%ほどがリスクの高い結果でしたが、中古戸建て住宅では16.9%(新築戸建ての5.1%、マンションの5.9%)の3倍以上リスクが高い傾向がありました。リノベ済み物件の流通も増えていますが、古い耐震基準で建築された建物の場合、耐震性が現行基準に比べて不足している可能性があります。必要に応じ耐震診断・耐震改修を実施する必要があります。

◆津波による被害想定

95.3%ほどの物件でリスクが低い一方、全物件の3.7%でリスク高い結果となりました。津波リスクがある物件は限られますが、個人レベルでの対策は難しいので津波避難ビルや高台などへの早期の避難を念頭に置く必要があります。

【調査概要】
調査期間:2021年9月1日~2022年12月31日
対象:「災害リスクカルテ」のうち家屋被害を想定したもの
有効サンプル数:187件
リスク区分方法:さくら事務所だいち災害リスク研究所の独自のリスク区分による※水害被害額は(一社)住宅生産団体連合会「住宅における浸水対策の設計の手引き」を参考
調査主体:株式会社さくら事務所 

 

コラム:「災害リスクカルテ 家屋の被災リスクの傾向分析

個人向け災害リスク診断サービス「災害リスクカルテ

■不動産の達人 株式会社さくら事務所■

東京都渋谷区/代表取締役社長:大西倫加
https://www.sakurajimusyo.com/
1999年、不動産コンサルタント長嶋修が設立。「人と不動産のより幸せな関係を追求し、豊かで美しい社会を次世代に手渡すこと」を理念として活動する、業界初の個人向け総合不動産コンサルティング企業で2022年12月現在で59,000件を超える実績を誇る。

■だいち災害リスク研究所■

所長:横山芳春
https://www.sakurajimusyo.com/daichi/
安全性の高い土地選びと住宅づくりを広めることを目的として2021年に大西倫加が設立。防災のコンサルティング事業を開始し、国内唯一の個人向け災害リスク診断サービス「災害リスクカルテ」を提供する、さくら事務所運営のシンクタンク。

 

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