HUB - IBARAKI ART PROJECT 2024 開催のご案内
美術家・井上唯の個展及び、関連プログラムを開催
主催が茨木市文化振興財団に移管されて初のプロジェクトとなる「HUB-IBARAKI ART PROJECT 2024」では、 滋賀県在住の美術家・井上唯を招聘し、春から冬にかけて茨木市の山間部を中心にリサーチを行ってまいり ました。 リサーチを通して浮かび上がった「循環」というテーマを来場者と共に考えるアートプロジェクトとして、 2025 年2 月22 日より展覧会と複数の関連プログラムを開催いたします。 また、展覧会終了翌日の3 月16 日(日)には、出展作品の一部と作品制作の過程で生じた素材をすべて土 に還す「とんど焼き」を茨木市内で実施します。この「とんど焼き」では、作品が土に還っていく過程その ものも作品の一部として捉えています。
HUB-IBARAKI ART PROJECT 2024
井上 唯『 循環とは?土と水。人と開発。土地に生きるということ。』
会期:2025年2月22日(土) – 3月15日(土) 時間:12:00 – 18:00 ※最終日15日15:00で終了
会場:茨木市 市民総合センター【クリエイトセンター】1階 喫茶・食堂
※金土日のみの開催
※2月24日(月・休)は開催
※16日(日)は作品を燃やし、土に還す「とんど焼き」を開催します。
※関連プログラムの場所は異なります。
入場無料
https://hub-ibaraki-art.com/
ディレクターステートメント 内田千恵
「HUB-IBARAKI ART PROJECT 2024」では、滋賀県在住の美術家、井上唯を招聘し、茨木市の山間部や自然 循環に関わる事象に焦点を当て、春から冬にかけて共にリサーチ活動を展開してきました。井上は、時間 の流れと共に少しずつ姿を変えてきたこの土地で、かつてここに存在したもの、大切に育まれたもの、いつの間にか失われたもの、そして、誰もが忘れてしまった記憶に出会い、向き合ってきました。 リサーチを進める中で、豊かな自然が残る山間部の風景の中にも、突如開発途中の土地や幹線道路、高速 道路、ダムの姿が混在し、複雑な風景が広がっていることに気づかされます。世界でも見られる都市の発 展と自然環境の共存は可能なのかーーどのようにわたしたちに影響を与えているかを目の当たりにし、井上は「循環」という言葉の意味や、その背後に潜む課題や矛盾に気づき始めました。こうした現実と向き 合う中で、彼女にとってこの地から、どのように思いをめぐらせ、どのように表現するのかが、このプロ ジェクトの根幹となっています。 今回の展覧会では、茨木の自然と地域の方々から受け継いだ素材から生まれた作品を発表するほか、ワー クショップや関連イベントを通して、彼女が見出した「循環」についての問いを参加者と共有し、対話する場とします。
アーティストステートメント 井上唯
表土に葛が覆い茂っていた数百万年前の大阪層群の土。ある人が木を植え続け、その想いで開発をまぬが れた椿山。閉じられた名水の井戸。山からニョキッと生えているかの高速道路。削られた山の麓の青緑色 した水溜まりを見て呟いた”山の涙”。採石場で出くわした美しい角を持つ雄鹿と、ダイナミックに走り去っ た真っ黒で毛むくじゃらの大きな獣。身体の重力が歪む気がした出来立てのダム。うごめき続ける造成地 のフェンス脇に生えるヨウシュヤマゴボウ。無機物をも溶かす高性能な溶融炉。雨乞い信仰が行われてい た神社の境内で見つけた竜の角みたいな大きな折れ枝。川の合流地点でひとりせっせと石を動かし続けて いるというおじさん。 種のように散らばった出来事に出会いながら、人間が土地に手を入れることで植生や地形、そして風景が 変わり続けてきたことが見えてきました。清い水の湧くところに住み着き、田んぼのために溜池を掘りつ つその土を盛って古墳を作った逸話は、造成や開発の始まりを想像させるし、土を焼くことは、“土に還 らない” モノづくりの始まりを想起させます。そして、少しずつ私たちの身体感覚から離れた規模や速度 へと発展し、循環しないモノや仕組みが当たり前になっていきました。 都市化や利便性と引き換えに失ってきたこと、まだ残っているもの。私たちの見えないところで進行して いる様々なものごとに目を向け、分からないことや出来ないことにぶつかりながら、それでも気持ちいい と思う方向に向かって模索し、人間が土地に生きるとはどういうことなのかを、この土地を知ることを通 じて、立ち止まって考え直す機会にできればと思います。
井上 唯 Yui Inoue
1983 年愛知県生まれ、滋賀県在住。2005 年愛知教育大学 教育学部 造形文化コース卒業。2007 年金沢 美術工芸大学大学院 美術工芸研究科 染織コース修了。近年の展覧会/ プロジェクトに、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 :アケヤマー秋山郷立大赤沢小学校ー」( 新潟)「井上唯/ ITONAMI: 風景に向かって旗をかかげる」ギャラリーノイエ(長野 , 2023年)、「 北陸工芸の祭典:GO FOR KOGEI 2022」那谷寺(石川)「国際芸術祭あいち2022: “ほの国” を知るためのプロジェクト」( 愛知, 2021-2022 年、「Soft Territory かかわりのあわい」滋賀県立美術館(2021 年)など。
< 過去の作品>
《ヤマノクチ≫ 2024 Photo Kioku Keizo
《この土地に生きる≫ 2019
関連プログラム
茨木の土と草木で作る土器ワークショップ:窯焼き編
※2 月1 日( 土)10:00 - 12:00 には、茨木の土と草木で作る土器ワークショップ:作る編を開催しました。
①2 月8 日( 土) 13:00-15:00 窯作り ※要申込
②9 日( 日) 6:00 -20:00 火入れ
③10 日( 月) 10:00 -12:00 窯出し
茨木市豊川地区の方々と茨木の土で作った土器を焼いていきます。1 日目は窯づくり。茨木で伐採した薪 を重ね、その上に作った土器を並べ、その上に藁を束ねた後、全体をドロドロに練った土で覆って窯を作 ります。2 日目は点火してひたすら見守ります。3 日目は窯出しを行います。
②、③は自由参加・出入り自由 場所:新池の南側(茨木市宿久庄4丁目)
Google Map: 地図
講師:田村早織(陶芸家)
後援:豊川地区まちづくり協議会 協力:鳥羽自治会、鳥羽とんど焼き保存会
アクセス:展覧会会場より阪急バスで約45 分、車で20 分 寄り停留所:阪急バス 鳥羽( 徒歩 5 分)豊川一丁目 (徒歩 15 分)、駐車場(台数制限有り)は事前予約制
井上唯 アーティストトーク
2 月23 日( 日) 14:00 - 15:30
アーティスト本人が作品背景や本プロジェクト・作品についてお話しします。
場所:クリエイトセンター204 室
参加費:無料 ※要申込
茨木を味わう、野草茶会
2 月24 日( 月・休) 13:00-14:30
茨木市内で採取した野草のお茶を沸かし、茨木の土で作った土器でふるまう野外プログラムです。薪ストー ブを囲みながら、IBALAB@ の開放的な空間であったかいお茶をお楽しみください。
場所:IBALAB@ 広場( 大阪府茨木市駅前4丁目4-8)
参加費:無料
アクセス:展覧会会場より徒歩2 分
竹の水道管に水を流してみる!
3 月2 日( 日) 随時 (12:00-18:00)
名水の町だった茨木。かつてあちこちの井戸から水が湧き、地下には竹を使った水道管が張り巡らされ人々 の生活を潤していました。展示作品と組み合わせながら、「竹」を使って竹管水道の仕組みを再現して水 を流してみます。
場所:展覧会会場内(クリエイトセンター1階 喫茶・食堂)
参加費:無料
山と風景に学ぶ:山歩きと野草茶会 ( 健脚向き)
3 月8 日( 土) 14:40-16:00
千提寺の展望台まで片道20 分の散策路を外れて山の中も歩きつつ、自然や植物を通して、山や風景の成り立 ちを学びます。案内人は高槻市立自然博物館あくあぴあ芥川アドバイザーの高田みちよ氏。終着点の展望台 では、開発が進む目の前の風景やその向こうに広がる大阪平野を眺めながら、山で採取した野草でお茶を沸 かしてみんなで味わいましょう。
場所:千提寺 展望台周辺 [ 集合] 14:30 清溪公民館実習室(泉原バス停前すぐ)
参加費: 無料 ※要申込(定員10 名)
講師:高田みちよ(高槻市立自然博物館あくあぴあ芥川アドバイザー)
アクセス:展覧会会場より阪急バスで約50 分、車で20 分
[ 往路 ] 阪急バス81 系統 [ 忍頂寺行]13:46( 阪急茨木市駅[ 西口] 発) ‒ 13:48( 茨木市役所前) -13:56(JR 茨木駅)- 14:29 泉原バス停着 [ 復路 ] 阪急バス81 系統 [ 阪急茨木市駅[西口]行] 16:43( 泉原発) ‒ 17:20(JR 茨木駅) ‒ 17:22( 茨木市役所前) ‒ 17:30(阪急茨木駅[ 西口])着
蛍を呼ぶ「箒( ほうき)」づくりワークショップ
3 月9 日( 日) 14:00-15:00
かつて茨木にたくさん飛び交っていたホタル。夏の風物詩として江戸時代の人々も河原に集まって蛍の光を 楽しんでいました。茨木市で「ホタル復活プロジェクト」に取り組む衣笠氏から、ホタルの生態や茨木で蛍 を復活させたお話しを伺います。その後、菜種がらを使って、ホタルを集めるため「がら箒」を作ります。作っ た箒は持ち帰り、次の夏にはぜひ茨木の川へホタル観察へ行ってみましょう。茨木の自然と昔の知恵を楽し みつつ、少し未来のことや自然環境を考えてみる子ども向けのプログラムです。
場所:クリエイトセンター3階工芸創作室
参加費: 無料 ※要申込(定員10 名)
対象:小学生以上、親子での参加歓迎
講師:衣笠末男(わいず倶楽部ホタルプロジェクト)
とんど焼き:土に還す営み
3 月16 日( 日) 15:00 頃- * 燃やす時間は10 分~30 分程度を予定しています。
展覧会終了翌日に、出展作品の一部と作品制作の過程で生じた素材をすべて燃やし、灰にして、土に還す「と んど焼き」を新池の南側で実施します。この「とんど焼き」では、作品が土に還っていく過程そのものも作 品の一部として捉えています。
場所:新池の南側(茨木市宿久庄4丁目)Google Map: 地図
参加費: 無料
後援:豊川地区まちづくり協議会
協力:鳥羽自治会、鳥羽とんど焼き保存会
アクセス:展覧会会場より阪急バスで約45 分、車で20 分 寄り停留所:阪急バス 鳥羽( 徒歩 5 分)豊川一丁目 (徒歩 15 分)、駐車場(台数制限有り)は事前予約
HUB-IBARAKI ART PROJECT について
茨木市の文化芸術振興事業として2013 年に始動した「HUB-IBARAKI ART PROJECT」は、茨木市に暮らす 人々が、現代アート作品・アーティストとの交流を通して、アートの本質的な魅力である「表現の豊かさ /美しさ」「探求心」に触れ、その体験をそれぞれの日常の中へ還元していくことをめざしたアートプロジェ クトです。 2023 年度、茨木市から茨木市文化振興財団に移管され、体制をリニューアルした本事業では、プロジェ クトタイトルに含まれる「HUB」の意味/ 役割についても問い直し、新しい表現・活動が生み出される創 造活動拠点の形成を射程に入れて事業展開していくことを23 年度以降の課題の一つとしています。現代 アートを軸として、異なる領域とのネットワークや市民との多様な関わりをつくっていくこと、まだ価値 の定まっていない未知なる表現活動の実験の場を創出することで「未来につながる『文化のまち』いばら き」(茨木市の文化振興ビジョン( 第2 期))を共創していくことをめざします。 2024 年度よりリニューアルした「HUB-IBARAKI ART PROJECT」では、ディレクター内田千恵のキュレーショ ンのもと、1 名のアーティストを招聘し、先駆的なアートプロジェクトに取り組んでいます。
HUB-IBARAKI ART PROJECT
ディレクター: 内田千恵
アドバイザー: 雨森 信
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