スパイスマート調査、中国ゲーム売上TOP50企業の生成AI導入レポート:27社がゲーム開発から運営・販促における全プロセスで採用
~ストアランキング上位の20%にあたるタイトルが生成AIを導入~
スパイスマートは、中国のゲーム売上TOP50企業における生成AIの導入状況について調査をおこないました。
背景
生成AIは、2022年に発表された「Midjourney」や「Chat GPT」を皮切りにこの2年間、日本に限らず世界中で様々な業界を巻き込み大きな話題を生み出してきました。
その流れは中国のゲーム業界も同様となります。中国のゲーム企業は、この生成AIを積極的に取り入れ、生成AIをゲーム開発、運営、マーケティングの各方面に活用してきました。そしてそれは過去10年間の中国における生成AI特許申請にもあらわれています。
2024年7月にWIPO(世界知識産権機関)が発表した生成AI特許動向報告書によると、2014年~2023年にかけて中国は3.8万件を超える生成AI特許申請を行っています。
そしてそのうち中国のスマホゲーム市場で約70%のシェアを占めると言われる巨大企業・Tencent Holdingsは2074件の生成AI関連特許を申請しており、世界の企業の中でも最も多い申請数となりました。
(出典:WIPO “Patent Landscape Report - Generative Artificial Intelligence”より「生成AI関連特許群の国別比較/2014~2023年」2024年7月発表)
中国のゲーム研究機関CNG(Gamma Data)の「中国ゲーム産業AIGC発展前景報告」によると、中国のゲーム売上TOP50企業の60%以上が生成AI事業を展開していると明言。さらにその内の27社はゲーム開発、マーケティング、運営などの全プロセスに生成AIを導入しているといいます。
ランキング上位タイトルの導入率
10月度の中国App StoreランキングTOP30タイトルのうち、調査時点で生成AIを導入しているとわかっているものだけでも20%となる6タイトルが生成AIを導入していました。
(LIVEOPSIS / 中国 App Store Grossランキング)
導入事例紹介:中国ゲームランキングTOP10常連『王者荣耀』
生成AIが活用されている分野としては、主にゲームシナリオやキャラクターの会話から画像、音声、動画、3Dモデル、UGC(ユーザー生成コンテンツ)エディターなど基礎的な活用から、ハイレベルの総合活用まで多岐に渡ります。
特にAI敵やAI協力プレイなどの要素のほか、一般的に「AIメンバー」または「AI NPC」と呼ばれる「ゲームAI」は、オンラインプレイ、スマートホスティングなどのゲーム体験を充実させる部分に活用され、ユーザーの継続率を大幅に向上させました。
例えば、中国のセールスランキング・人気ランキング・DLランキングのTOP10圏内の常連である(※)Tencentの人気ゲーム『王者荣耀』では、ゲーム自体の活性化に使われています。
(※スパイスマート調査 /Survey 中国/『王者荣耀』2024年1月~10月ストアランキング推移)
対戦を好まずソロモードを希望するユーザー向けに傘下のAI Labが開発・導入したのが「絶悟AIモデル」。導入当初白紙でしたが、プロプレイヤーの訓練データでみるみる学習を重ね、高難易度のヒーロースキルコンボも短期間で習得できるようになりました。
その後『王者荣耀』内ではこの「絶悟AIモデル」がプレイするキャラクターに挑戦する「絶悟挑戦」イベントを定期開催するようになりました。プレイヤーは自分の実力に応じて、より高レベルのAIに挑戦し、自分のスキルを磨くことができ、同時にゲーム内システムも豊かになりました。
▲「王者荣耀」が導入したAIモデル「絶悟」
▲「王者荣耀」のゲーム内で定期的に開催される「挑戦絶悟」イベント
(画像出典:『王者荣耀』公式サイト)
なお、この調査レポートはスパイスマートが提供するLIVEOPSIS(ライブオプシス)会員向けに配信し、レポート内では生成AI各領域のそのほかのゲーム事例の詳細や、日本でも人気のゲーム「崩壊:スターレイル」のほか、「逆水寒」「太空行動」などの生成AI活用事例を紹介しています。
調査は日本・中国・韓国や米国などグローバルの3市場向けにおこなわれ、毎月数種類のレポートとして会員向けに配信しています。
(LIVEOPSIS/中国 Surveyレポート画面)
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