■開発背景

現在キャンピングカーに、クーラー、エアコン搭載モデルが増加してきている中、リチウムイオンサブバッテリーの搭載も比例して急激に増加しています。一方リチウムバッテリーに関する事故も発生し、安全で耐久力のある高性能なバッテリーが求められています。様々なバッテリーが市場に出回っていますが、製造元による試験や、第三者認定機関に自動車搭載用と認定を受けた、信頼できるリン酸リチウムイオンバッテリーは、数少ない状況です。より安全で高性能なバッテリーを安定的に供給可能にするために、オリジナルバッテリーの開発に挑みました。エアコンの長時間使用を可能にすることで、家族旅行やアウトドア生活をより豊かにすることを目指しました。

【宮地氏との協力によるバッテリー開発】

キャンピングカー専用バッテリー『宮神』の開発には、名古屋大学工学部の宮地氏の協力が欠かせませんでした。宮地氏は電気工学の権威であり、その専門知識と技術力を活かし、安全性と効率性に優れたリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの開発に貢献しました。宮地氏との協力は2010年頃から始まり、初のキャンピングカー『オーロラ』に彼の開発したLEDを採用することから始まりました。その後、ケイワークスと宮地氏はバッテリーの開発にも着手し、従来の鉛バッテリーよりも高性能で、安全かつ長寿命のリチウムイオンバッテリーの開発を進めました。

特に、バッテリーの端子には振動による緩みを防ぐロック式端子を採用することで、発火リスクを大幅に低減しました。また、バッテリーの形状を薄くコンパクトに設計することで、キャンピングカーのレイアウトの自由度を高め、快適な車内環境を提供します。宮地氏との共同開発により、『宮神』はエネルギー密度が高く、繰り返しの充電に強い特性を持つバッテリーとして完成しました。

また、ケイワークスと宮地氏は、エアコンの長時間稼働を可能にするための試験を何度も行い、その結果、真夏の炎天下でもエンジンを停止した状態で8時間以上の連続稼働を実現しました。この成功は、キャンピングカーの快適さを大幅に向上させ、特に夏の旅行やアウトドア活動において、ユーザーに安心と快適を提供するものです。

【新会社『E.S.P.（エレクトリック システム パフォーマンス）』の設立と未来の展望】

ケイワークスは、リチウムイオンバッテリーやソーラーパネルなどの電装品の開発を行う新会社『E.S.P.（エレクトリック システム パフォーマンス）』を設立しました。この新会社は、キャンピングカーに搭載する電装品の開発に留まらず、災害時の緊急避難所としてのバッテリーシステムの活用も視野に入れています。

『E.S.P.』の設立は、ケイワークスの持つ技術力とノウハウをさらに発展させるためのものであり、電気工学の権威である宮地氏の協力を得て、バッテリーの性能向上と新たな技術の開発に取り組んでいます。具体的には、『宮神』に搭載されている「BMS（バッテリーマネジメントシステム）」の改良や、新たなエネルギー保存技術の研究を進めています。これにより、バッテリーの安全性と効率性をさらに高めるとともに、災害時の非常電源としても利用できる信頼性の高い製品を提供することを目指しています。

また、『E.S.P.』は環境への配慮も重視しており、再生可能エネルギーの利用を推進しています。ソーラーパネルをはじめとするエコフレンドリーな技術をキャンピングカーに導入することで、ユーザーがより持続可能なライフスタイルを実現できるようサポートします。さらに、災害時には迅速に対応できるバッテリーシステムを提供し、被災地での電力供給を支援する計画も進行中です。

※参考 ケイワークスYouTubeチャンネル：「キャンピングカー専用バッテリー『宮神』完成記念対談。開発秘話とキャンピングカーでの活用」
https://www.youtube.com/watch?v=P5oao_PQ5C8&t=14s

■キャンピングカーライフの新しい可能性

『宮神』の導入により、エアコンをはじめとする各種電化製品の長時間使用が可能となりました。これにより、真夏の猛暑や熱帯夜でもエンジンを停止した状態で快適な環境を保つことができます。特に、ペットを連れての旅行では、エアコンの長時間稼働が可能なことで、安心して車内にペットを残してお風呂や食事、観光を楽しむことができます。

また、炊飯器やホットプレートなどの調理器具、ドライヤーや電気毛布などの家電も同時に使用可能であり、これまでキャンピングカーでは実現が難しかった快適な生活が可能となります。これにより、キャンプ初心者でも安心してアウトドアライフを楽しむことができ、家族全員で快適な時間を過ごせるようになります。

■災害対策にも役立つバッテリーシステム

『宮神』は、アウトドアシーンだけでなく、災害時の緊急避難所としても活用できるポテンシャルを持っています。310Wのソーラーパネル、走行充電、外部電源を組み合わせたシステムにより、最大容量540Ahのバッテリーを搭載。停電時でも電力供給が途切れることなく、冷暖房や照明、調理器具の使用が可能です。 

■出展概要

東京キャンピングカーショー2024

会期：     2024/07/20(土)～2024/07/21(日) 10:00～17:00

会場：     東京ビッグサイト　東７・８ホール （東京都江東区有明３丁目１１−１）

■株式会社ケイワークスについて

愛知県豊橋市に根差し、キャンピングカーメーカーとして活動するケイワークスは、バイクレース活動に情熱を注いでいた代表・黒田のビジョンから生まれました。独自開発したオフグリッドシステムを全車に標準搭載し、自由で快適なキャンピングライフを実現。このシステムにより、自然の中でも都市部でも、快適な生活空間を提供しています。また、日本の道路事情に最適化された国産オリジナルトレーラー「トレイルワークス」の開発にも力を入れており、狭い道やコンパクトな駐車スペースでも扱いやすい設計が特長です。さらに、リモートワークや業務効率の改善を目指した移動オフィスカーの開発にも取り組んでいます。これにより、場所を選ばずに効率的な仕事環境を提供し、ビジネスの可能性を広げています。また、災害対策車の開発にも力を注ぎ、緊急時の移動や避難生活をサポートする製品を提供しています。

Web：http://kworks-aurora.com/