鉄造聖観音菩薩立像とは　

　鎌倉時代の作品と推定され、象高は37㎝（台座共）。八王子市内では唯一であり、全国的にも大変珍しい「鉄」の仏像です。どういう経緯で龍泉寺に祀られることとなったのか由緒は不明ですが、長らく本尊と共に大切に守り継がれてきたようです。

ご開帳の経緯

　龍泉寺は無住寺院として久しく、文化財の適切な管理に課題が残っていました。近年ではこの鉄仏を、八王子市郷土資料館で保存いただいており、寺内に置かれない状況となっていました。一方、昨年龍泉寺リボーンプロジェクトが発足し、数名のメンバーがお寺の維持活動を担うようになりました。その結果、檀家を中心にお寺に足を運ぶ機会に復活の兆しが表れました。今年2024年は辰年ということで、龍泉寺の「龍」という名前にもあやかり、お寺の目玉になる企画を模索していました。そんな中、鉄仏を八王子市郷土資料館に寄託したのが12年前の2012年であったことに着目。多くの方にお寺の荘厳な雰囲気で拝観いただいたら面白いのではないかというメンバーの意見を踏まえて、秘仏のご開帳に踏み切ることといたしました。今後は、12年に一度、辰年にこの鉄仏ご開帳を企画したいと考えております。　（※この鉄仏は2016年に八王子市郷土資料館の文化財展において、一般公開されております。今回はお寺の中で拝観できる機会が寄託前に遡って12年ぶりという節目となったことをお知らせいたします。）

展示場所

　開帳式は住職・川上一行氏が住する法泉寺（住所：八王子市大楽寺町84）で執り行うこととしました。縁起物のご開帳であるため一人でも多くの方にご対面いただけるよう交通アクセスの良い場所と日柄にしています。後日改めて、龍泉寺において檀信徒向けの公開を予定しております。なお開帳式は、法泉寺で行われる縁日「音(おん)食(じき)和(わ)・夏」と同日開催とし、地域の賑わいづくりの一環としても期待されています。

　＜鉄造聖観音菩薩立像　開帳式＞

• 　日時：2024年6月9日（日）　12:00～（拝観は15:00まで）
• 　場所：法泉寺　（住所：八王子市大楽寺町84）
• 　アクセス：西東京バス「切通し」バス停より徒歩約1分
• 　その他：拝観無料、写真撮影も可

　過疎集落寺院の課題

　毎年数軒ずつ墓じまいが進み、経済的に寺を支える檀家が減り続ける中、定住の住職や職員を確保することができないという課題がありました。檀家も高齢化が進み、お寺の維持に関わる活動などが負担となっているようです。兼務住職やその家族が自坊の運営の傍らでなんとか地域の信仰を守り続けてきましたが、そこに係る負担は想像以上。一般的な寺院の運営方法では長期的な存続が危ぶまれる状況であり、その解決策として龍泉寺リボーンプロジェクトが発足しました。フリーランス人材や有志の仲間などの外部人材をプロジェクトメンバーに取り込むことで、住職家族や檀家の負担を軽減させつつ境内の環境整備や本堂の開放日を設けてお寺の機能を長く維持していくことを目指しています。また、プロジェクトメンバーによって企画される各種イベントなどにより、遠方からの集客を行うことで地域の活性化につなげようという狙いもあります。

　プロジェクトのスキームとしてユニークな点は、プロジェクトメンバーによるお寺の有効活用を許容したことです。例えば坐禅・瞑想ワークショップイベントの開催などが挙げられます。マインドフルネスやウェルビーイングといったキーワードが注目を浴びる中、都会の喧騒を離れ、静寂の中での瞑想や坐禅は至極の体験ともいえ、参加者より好評を得ています。過疎地域であることを逆手に取ったアイデアとなっています。イベント参加費などの収益はメンバーに全額還元させることで、イベントを企画をするインセンティブとしており、積極的にお寺の活動に関わっていただけるようにしています。また、お寺側にとっては、清掃や環境整備といった役務での奉仕を受けることで、大きなコスト負担をすることなく永続的な運営を目指すことができます。

　寺院概要

住所  ：東京都八王子市上恩方町2517

寺院名：瑞雲山龍泉寺

宗派  ：臨済宗南禅寺派

草創  ：1464年（寛正5年）

アクセス：

圏央道八王子西インターから約15分

JR中央線・京王高尾線高尾駅北口より西東京バスにて約35分、関場バス停下車後徒歩約15分

♦龍泉寺リボーンプロジェクトYouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/channel/UCWOBkRYZb3cPoszXVjWxCFg

♦Instagramアカウント

 retreat_ryusenji

※龍泉寺は通常は無人のため、建物内は施錠しております。取材ご希望の際は法泉寺までお問い合わせくださいませ。

※「音食和・夏」は法泉寺での縁日イベントとなります。

八王子市指定有形文化財「鉄造聖観音菩薩立像」