水産業界初「プラ漁具を自らで再資源化」取組に賛同
~愛南漁業協同組合へプラ再資源化装置納入開始~
2022年10月19日、株式会社エルコム(北海道札幌市)は使用済み漁具を減容・再資源化する装置(e-PEPシステム)を愛南漁業協同組合(以下、愛南漁協)に納入開始。24日から再資源化を開始する予定。愛南漁協の養殖真鯛は全国生産量の約20%を占め、単一漁協として生産量は日本一。一方で、養殖時に使用する約8,000本の発泡スチロール製ブイをはじめとした、事業活動に伴って排出する廃プラが課題となっていた。課題解決に弊社の再資源化装置が合致。クリーンオーシャンプロジェクトを推進するエルコムは、愛南漁協の「未来の世代にサスティナブル水産業をつなぎ、引き継ぐ」取り組みに賛同している。
基幹産業と町が連携したリサイクル構想
愛南漁協と今回の再資源化の話が再び持ち上がったのは昨年。2014年に水産庁補助事業で実証試験を行ったが、当時は様々な課題が山積し、踏み出せずにいた。愛南漁協の“サスティナブルな養殖業“に対する強い熱意をカタチにするべく、プラごみを減容だけではなく燃料としてのリサイクルを提案し、町も巻き込んだリサイクル構想へと発展。愛南町としても基幹産業である養殖業の”サスティナブル化”に向けて、エネルギー化装置の視察等を予定している。このチャレンジは2021年度農林水産業みらい基金にも認められ、助成対象事業として採択された。愛南漁協では「うまい!にとことん!エコにもとことん!」をキャッチフレーズに、海の保全以外にも、加工残渣ゼロの取り組みや、食の更なる安全なども併行して取り組んでいる。
汚れたブイの再資源化技術
今回再資源化する漁具は約8,000本使用している発泡スチロール製のブイ。5~10年で劣化により交換が必要となったブイは汚れや異物などの課題があり廃棄物とするしかなかった。嵩張るうえ、町内に処理できる施設がないため、町外での埋立処理となり、処分費用も大きな負担であった。今回、稼働するe-PEPシステムは、使用済みブイの嵩を96%減容・圧縮するとともに、これまでの課題をクリアし、特殊ボイラ(イーヴォル)の燃料として有効利用が可能となる。稚魚の育成に必要な熱エネルギーなどへ活用し、化石燃料の使用削減も見込む。使用済みブイを装置へ投入すれば、コンベアで搬送され全自動でフレコンバッグへ燃料ペレットとなって貯留され、処理能力も使用済みブイの全量をペレットにしてもまだ余力がある。汚れた発泡スチロールの再利用は特に困難だが、2021年の対馬市の漂着発泡フロート再資源化に次いで2例目で、漁業組合として排出者責任を意識してアクションする取り組みは初となる。
納入施設に積まれた燃料化される予定のブイ
操作説明の様子、運転ボタンを押してブイを投入すれば自動でペレットとなる。
再資源化装置にブイを投入する様子
エルコムについて
『Future for Earth~すべては次世代のために』をビジョンに地球環境や社会のニーズに寄り添い、独自の発想と技術力で新たなソリューション開発を行う創造開発型企業。
エルコムでは、漂着プラと企業プラの2つの発生元で再資源化することで海洋流出防止を行い、海洋プラゼロへの挑戦「クリーンオーシャンプロジェクト2050」を実施し、現在賛同企業、団体は14団体まで増えている。
クリーンオーシャンプロジェクト2050概要:https://www.clean-ocean2050.com/
【会社概要】
会社名:株式会社エルコム
所在地:札幌市北区北十条西1丁目10番地1
代表取締役:相馬 督
設立:1991年4月5日
事業内容:環境機器/産業機械開発・製造・販売
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