「津南町の持続可能な未来を科学するシンポジウム ~ Envisioning a Sustainable Future of Tsunan Town Through Science ~」イベント開催レポート
津南醸造株式会社(本社:新潟県津南町、代表取締役:鈴木健吾、以下津南醸造)は、グローバルシェイパーズ横浜ハブと協力して、新潟県津南町において「津南町の持続可能な未来を科学するシンポジウム ~ Envisioning a Sustainable Future of Tsunan Town Through Science ~」を開催しました。
イベント概要
・日時:2024年1月27日(土) 13:00~15:00
・会場:津南町文化センター(ホール・ホワイエ)
・テーマ:津南町の持続可能な未来を科学的視点で考えてディスカッションをする
登壇者 ※敬称略
桑原 悠(津南町 町長)
島田 福徳(鬼や福ふく 代表)
沼澤 祐介 (Eco-Pork)
鈴木 健吾(津南醸造 代表取締役)
樺沢 敦(FARM8 代表取締役)
末冨 ニコラス 健丸(Global Shapers Community 横浜ハブ)
今回のシンポジウムは津南町の妻有新聞でも開催に関する告知があり、地元の方も多く参加されました。下記にて、イベントで具体的に話をされた内容の一部を紹介します。
記念セミナー「津南町の経済・産業の可能性」
津南町の桑原町長からは、津南町の成長戦略についての話がありました。津南の水・米や日本酒は、国内のみならず海外進出も狙える特産物である他、ジオパーク、雪といった観光資産も津南町の魅力であり、魅力を発信していくことで外からの人を誘致し、新しい産業の創出になり得ると未来が語られました。人口減少などへの対策などについて、津南町の魅力を正しく理解し、外部に伝わる形で情報発信することなどの具体的なアクションの必要性が示唆されました。
セミナー(事例紹介) テーマ①「津南町で養豚DXによる持続可能な農業に取り組む」
鬼や福ふく代表の島田さんとEco-porkブランド戦略室長の沼澤さんには、養豚業における循環型豚肉経済圏についての話がなされました。島田さんは、津南町で養豚業を経営されており、養豚にて発生した有機の堆肥を有効活用して畑に還元し、とうもろこしやアスパラガスを生産しています。とうもろこしは鬼もろこしというブランドとして販売し、地元の皆様からも支持を集めているとのことです。その養豚業をDXソリューションで効率化しているパートナーが沼澤さんで、豚の生育状況や出荷頭数在庫等を手作業で管理するのではなくクラウド上での一元管理を実現しています。
また、世界初のユーグレナEco-porkの立ち上げについても言及がありました。製造過程で生み出される余剰のユーグレナを、飼料として豚に供給することで、環境に優しい養豚業を実現しているという先鋭的な取り組みについての説明がなされました。
セミナー(事例紹介)テーマ②「津南醸造が地域と目指すリジェネラティブな酒造り」
津南醸造の鈴木代表取締役とFARM8代表の樺沢さんは、津南の日本酒の可能性を、発酵×地域特産物×生成AIという視点で説明がなされました。津南醸造の日本酒は雪の恩恵を受けて造られています。河岸段丘における雪解け水で栽培されたお米を使用し、雪のシーズンに酒造りをすることで、空気中の塵が雪に絡め取られて純度の高い日本酒が出来上がります。学術的に普遍的に伝わる内容を軸とした情報発信で、海外認知の獲得について力を入れていくことで、新しい地域振興の可能性を模索していることについて言及されました。直近では、GO POCKETという100mmミニサイズのパウチ入りの日本酒が、Air Japan(ANAグループ第三ブランド)の機内用アルコール飲料に採用されており、その内容が海外展開の可能性の一つとして引用されました。
総合討論&クロージング 「津南エリアで実現するサーキュラーエコノミー」
グローバルシェイパーズ横浜ハブの末冨さんがオーガナイザーとしてこれまでの話を包括し、未来を作る町の子どもたちへの地域教育にも力を入れ、津南町で何かをしたいと思う人材を増やして盛り上げていきたいというビジョンを確認して会は終了しました。会の修了後は、地元の中学校の先生や学生さんからの意見も貰い、次世代の津南町を担う可能性がある母集団との継続的なコミュニケーションの可能性について話をしました。
イベントに参加したグローバルシェイパーズ横浜ハブ (Global Shapers Community Yokohama)のメンバーからのコメント
シンポジウムを通じて、情報発信力がキーワードだと思いました。津南町は人口減少や高齢化と言う課題に直面している中、魅力を限られた町民が理解しているだけでは意義がない。今後は海外をも視野に入れた外部への情報発信が地域活性化において重要になる、と理解することができました。
また津南町に滞在中に、日本は昔ながらに地域内で自然に循環型で持続的な生活を築き上げてきたということに対する理解が深まりました。例えば日本酒造りの工程では、酒粕が日本酒とは別に出てきますが、酒粕を副産物として使用する・リユースする考え方が昔からありました。津南醸造では酒粕を使ってジェラートにしています。SDGs、気候変動の文脈で注目されがちな循環型・持続型社会というのは、気づいていないだけで身近に存在するのではないか、日本内の様々な地域から学べることがあるのではないかと考えさせられました。
<津南醸造株式会社について>
津南醸造株式会社は、新潟県中魚沼郡津南町秋成に本社を置く日本酒蔵です。この地域は豪雪地帯で知られ、標高2,000mの山々からの天然の湧水を仕込み水に使用しています。地元特産の酒米「五百万石」を用いて、自然と共生する酒造りを行っており、「Brew for Future〜共生する未来を醸造する〜」をブランドコンセプトにしています。2023年からの新体制で、酒蔵とサイエンスの融合をベースに新たな価値創造ならびに海外展開推進を目指しています。
https://tsunan-sake.com/
<本レポートの掲載写真について>
本レポートには、「Shiho Azuma」さんによって撮影された写真を掲載させていただきました。
https://www.instagram.com/moon__mani/
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