松沢漆工房の「うるし茶」が血圧を抑制する可能性!
岩手生物工学研究センター、岩手医科大学との共同研究成果
日本一の漆産地・岩手県産のウルシの種を焙煎した株式会社松沢漆工房(本社:岩手県盛岡市、代表取締役:松沢卓生)の「うるし茶」について、公益財団法人岩手生物工学研究センター(岩手県北上市、理事長:小岩一幸)による研究の結果、うるし茶が血圧の抑制に関わる「アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性」を持つことを見出し、2023年3月14〜17日に開催された日本農芸化学会 2023年度大会で報告しました(下記①)。また、学校法人岩手医科大学薬学部(岩手県矢巾町、学長:祖父江憲治)による動物実験の結果、うるし茶の摂取により血圧を抑制する傾向が認められ、2023年3月25〜28日に開催された日本薬学会 第143年会で報告しました(下記②)。
■発表演題
① 上杉祥太、杉山育美、箱崎真友佳、菅野裕子、丹場晴也、木村賢一、松沢卓生、佐塚泰之、矢野明「焙煎漆種子抽出物(漆茶)の血圧上昇抑制作用」、日本農芸化学会2023年度大会 (広島・オンライン)
② 杉山育美、松沢卓生、佐塚泰之 「ウルシ焙煎種子の水溶性画分摂取による血圧への影響」、日本薬学会第143年会(札幌・ポスター発表)
■研究の背景と目的
高血圧は脳心血管疾患におけるリスク因子となっており、国内で患者数が多い疾患である一方、生活習慣の改善が重症化予防の観点から重要となっています。特に岩手県は、男女ともに脳血管疾患による死亡率が高く、高血圧症の患者数も多いことから、血圧を下げる技術開発が求められています。
地元特産のウルシについては、岩手医科大学薬学部の研究グループがウルシの木の枝から抽出した成分が血圧低下効果を有する可能性を明らかにし、平成25年に日本栄養・食糧学会で報告しました。今回は、既に飲料として製造販売されている「うるし茶」の効果を検証することを目的として研究を行いました。
「うるし茶」は松沢漆工房が5年前より製造販売しているウルシの種を焙煎したほうじ茶で、岩手県北の二戸市浄法寺町で飲まれていたものを改良し、飲みやすくしたものです。主に通信販売や岩手県内の物産施設で販売されています。
■研究の内容と結果
岩手生物工学研究センターの研究グループでは、独自に構築してきた岩手県産農林水産物の抽出エキス(抽出物ライブラリー)を活用し、健康機能性の探索に取り組んでいます。さまざまな機能性評価系に供した結果、松沢漆工房から提供を受け抽出物ライブラリーに追加されたうるし茶の抽出エキスが、試験管レベルでACEの活性を抑制することを見出しました。ACEは血圧上昇(血管収縮)を促す酵素で、この働きを抑制するうるし茶が血圧を抑制する可能性が期待されました。
そこで、岩手医科大学の研究グループにより、高血圧ラット(SHR高血圧自然発症ラット)を用いた動物実験による効果の検証を行いました。90日間の試験期間中、経口投与(給水瓶による自由摂取)により水を与えた「コントロール群」とうるし茶を与えた「うるし茶摂取群」の血圧を測定、比較しました。その結果、うるし茶摂取群では、コントロール群の場合と比較して最高血圧と平均血圧がともに抑制される傾向が見られました。以上の結果から、うるし茶の飲用により、動物レベルでも血圧上昇を抑制する効果を持つ可能性が示されました。
今後も、松沢漆工房、岩手生物工学研究センター及び岩手医科大学では共同で、うるし茶の機能性の解明を目指して取り組んで参ります。
うるし茶は、松沢漆工房のネットショップ、いわてヒューマンギャラリー(盛岡市アイーナ内)、5858 koyakoya(盛岡駅フェザン内)、御所野縄文博物館(一戸町)、マルカンビル1階(花巻市)で取り扱っております。
ネットショップ葆光庵 https://japanjoboji.thebase.in/
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