【調査報告書】熊本市中心市街地における春休み期間の学生の駐車場利用状況を調査、40項のレポートを発表
日本パスート株式会社(本社: 熊本県熊本市中央区、代表取締役社長: 太田 康文、以下当社)は、株式会社スケッチ・オブ・デザイン(本社: 東京都新宿区西新宿、代表取締役: 勝又 啓太)と共同で、2023年4月、112名の熊本県在住学生の協力のもと「普通運転免許を持っている学生の駐車場利用状況アンケート」を実施し、以下の内容を含むレポートを発表します。
①学生が免許を取得してから2年以上経過すると、交通量や車線数が多く交通規則も複雑な中心市街地での運転に対し、抵抗感や不安感が減る傾向がある
②2023年3月において、立体駐車場を利用した学生の数は、コインパーキングを利用した学生の半数に満たない
➂学生の立体駐車場の利用が少ない要因として、「運転中に施設の案内板・料金表を見る余裕がなく、料金システムが把握できない」という声が最多数
④商業施設と提携割引のある駐車場は、学生の過半数が利用したことがあり、条件次第で有効性が期待できる
調査の背景
従来、「時間貸駐車場」という業態における利用者のデモグラフィックは、提供サービスの性質上、顧客管理が難しく、データ収集が難しいため、あまり調査が行われていませんでした。
また、当社のグループ会社で駐車場の管理・運営を行う株式会社パスート24の従業員から「学生層の利用が少ないのではないか」という仮説が挙がったことから、学生の駐車場利用状況を調査する必要性が高まったため、今回の調査を実施しました。
調査結果①
学生が免許を取得してから2年以上経過すると、交通量や車線数が多く、交通規則も複雑な中心市街地での運転への抵抗感や不安が減る傾向がある
熊本の中心市街地の交通渋滞は、政令指定都市のなかでワースト1位です(※1)。 また、路面電車が通っており、左折専用道路や一方通行、時間帯進入禁止なども存在し、車線数も2〜3車線であることが多く、初心者にとっては比較的運転が難しいエリアだと考えられます。
「現在、熊本の中心市街地での運転を”怖い/難しい”と感じるか」という質問と、「運転免許取得からの経過年数」という質問をかけあわせ、クロス集計を行いました。
その結果、「現在、熊本の中心市街地での運転を”怖い/難しい”と感じるか」単体では、「はい」と回答した人が49.1%、「いいえ」が36.9%、「どちらでもない」が14.3%となりました。
「運転免許取得からの経過年数」とのかけあわせでは、「熊本の中心市街地での運転を”怖い/難しい”と感じるか」において、免許を取得してから「1年未満」「1年以上2年未満」の回答者は、「はい」と「いいえ」の回答者数の差が7人でしたが、免許を取得してから「2年」を境に「はい」と「いいえ」の回答者数の差が1人と85.7%減少しました。
また、「2年」や「4年」のように、免許取得からの経過年数が増えるごとに「いいえ」の回答者数が「はい」の回答者数を上回り、結果が逆転しました。
このことから、免許を取得してから2年以上経過すると、交通量や車線数が多く、交通規則も複雑な中心市街地での運転への抵抗感や不安が減る傾向があると考えられます。
※1 熊本市ホームページ「第2回 熊本都市道路交通ネットワーク検討会」 or “ 第2回 熊本都市道路交通ネットワーク検討会”
https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=25903&sub_id=1&flid=185480 2019年10月29日(参照: 2023年07月03日)
調査結果②
2023年3月において、立体駐車場を利用した学生の数は、コインパーキングを利用した学生の半数に満たない
また、コインパーキングに優先的に駐車を検討する学生は、立体駐車場に優先的に駐車を検討する学生の3倍以上で、圧倒的な差がある
学生が優先して利用する駐車場の種類を調査するため、「Q3-1. 2023年3月に、中心市街地で利用した駐車場をすべて選んでください。(複数回答可)」と、「Q3-2. 中心市街地に用事がある際、先に駐車を検討するのは次のうちどれですか?」という質問を行いました。
その結果は以下です。
※自走式立体駐車場: 駐車可能な位置まで自分で運転して車を移動する立体駐車場
※機械式立体駐車場: 駐車可能な位置まで機械で車を移動する立体駐車場
2023年3月に駐車場を利用: 67人
うち、
・コインパーキングのみを利用: 36人
・コインパーキングと自走式立体駐車場を利用: 19人
・コインパーキングと機械式立体駐車場を利用: 2人
・コインパーキングと自走式立体駐車場と機械式立体駐車場を利用: 4人
・自走式立体駐車場のみを利用: 3人
先に駐車を検討する駐車場
・コインパーキング...... 58.6%
・自走式立体駐車場...... 16.2%
・機械式立体駐車場...... 3.6%
・駐車場を利用しない...... 21.6%
このことから、コインパーキングと立体駐車場の利用率に顕著な差があることがわかりました。学生にとって、コインパーキングのほうが利用する抵抗が少ないと考えられます。
調査結果③
立体駐車場のプラスイメージは「屋根があるから雨に濡れなくて良い」、
マイナスイメージは「料金表を見る時間がない・見えづらい、料金システムがわからない」
調査の背景で挙げた「学生の立体駐車場利用者は少ない」という仮説を深掘りするために、利用を妨げている要因を含め、学生が立体駐車場に抱くイメージを調査するため、「現在、自走式立体駐車場に対して自分が感じていることをすべて選んでください。(複数回答可)」と「現在、機械式立体駐車場に対して自分が感じていることをすべて選んでください。(複数回答可)」という質問を行いました。
その結果、回答状況はそれぞれ以下のようになりました。
・自走式立体駐車場
01位「坂がある、道が狭い、構内が暗いなど、対向車や人の動きが不安」
「屋根があるから雨に濡れなくて良い」……31人
03位「上の階しか空いていない」……30人
04位「駐車した場所を覚えられずに迷う」……27人
05位「料金が安い」……22人
06位「料金表を見る時間がない・見えづらい、料金システムがわからない」「入出庫に時間がかかる」……21人
08位「料金が高い」……17人
09位「駐車券を紛失する不安がある」……13人
10位「そんなに抵抗感やストレスを感じたことはない」……11人
11位「基本料金(入庫時に発生する一定時間の最低料金)の発生に抵抗がある」「監視カメラや係員がいるから安心安全だ」……10人
13位「周囲に高級車が居そうで緊張する」……7人
14位「入出庫しやすい」……4人
15位「立体駐車場内での移動距離が長く、ガソリンが無駄になる」「駐車したことがないから不安だ」……3人
・機械式立体駐車場
01位「料金が高い」……27人
02位「料金表を見る時間がない・見えづらい、料金システムがわからない」……17人
03位「入出庫の待ち時間が長い」……15人
04位「屋根があるから雨に濡れなくて良い」……13人
05位「同乗者の乗り降りが発生するのが煩わしい」……10人
06位「そんなに抵抗感やストレスを感じたことはない」「機械式駐車場の存在を知らない」……9人
08位「監視カメラや係員がいるから安心安全だ」……8人
09位「基本料金の発生に抵抗がある」……7人
10位「必ず係員が介在するのが煩わしい」……6人
11位「料金が安い」……5人
12位「駐車券を紛失する不安がある」……4人
13位「駐車したことがないから不安だ」「無事に入出庫できるか不安だ」「使い方がわからない」……1人
まず、自走式立体駐車場は、プラスイメージとして、1位に「屋根があるから雨に濡れなくて良い」、続いて5位に「料金が安い」がランクインしていました。
一方、マイナスイメージとして、01位が「坂がある、道が狭い、構内が暗いなど、対向車や人の動きが不安」、03位「上の階しか空いていない」、04位「駐車した場所を覚えられずに迷う」がランクインしていました。
これらのことから、駐車料金よりも、利用経験や慣れに起因する抵抗感があると考えられます。
続いて、機械式立体駐車場は、プラスイメージとして04位「屋根があるから雨に濡れなくて良い」がランクインしていました。
一方、マイナスイメージとして、01位「料金が高い」、02位「料金表を見る時間がない・見えづらい、料金システムがわからない」、03位「入出庫の待ち時間が長い」、05位「同乗者の乗り降りが発生するのが煩わしい」がランクインしていました。
また、回答数自体も自走式立体駐車場の回答数に比較して少なく、機械式立体駐車場への駐車経験は少なく、認知度自体も低いと考えられます。
自走式立体駐車場・機械式立体駐車場に共通して上位にあがっていたものは「屋根があるから雨に濡れなくて良い」(自走式立体駐車場: 01位、機械式立体駐車場: 04位)であり、
マイナスイメージとしては「料金表を見る時間がない・見えづらい、料金システムがわからない」(自走式立体駐車場: 06位、機械式立体駐車場: 02位)であることがわかりました。
これらのことから、駐車場は、学生により安心して立体駐車場を利用してもらうために「料金表示や、料金システムのわからなさ」など利用検討段階の不安感を減らすこと、そして構内の明るさや案内表示、カーブミラーの位置の改善など、少しでも運転への不安を減らせるような工夫が求められるのではないか、と考えられます。
調査結果④
商業施設との提携駐車場は、学生の過半数が利用したことがあり、有効性が期待できる
割引などの「お得感」の効果で「学生の行動が変わるか」を知るため、「過去1年間で、いつも利用している駐車場ではなく、『3,000円以上お買い上げで2時間無料』などの提携割引がある駐車場を選んだことがありますか?」という質問を行いました。
その結果、「はい」が56.5%、「いいえ」が31.5%、「どちらでもない」が12.0%となりました。
このことから、学生の過半数が利用したことがあり、有効性が期待できると考えられます。
一方で、アンケートに伴って回答者に直接行ったインタビューでは「原付も提携割引が使えると思って駐車したが、精算時に原付には適応できないことが分かり、残念だと思ったことがある」という経験談を話してくれた方もおり、駐車場はわかりやすい精算方法や割引方法を提供することが求められるのではないか、と考えられます。
今回の調査を通じて
学生の立体駐車場利用率・優先度ともに、コインパーキング利用に比較して、大幅に少ないという調査結果が出ました。
その要因として、「立体駐車場の利用方法・料金・使い勝手・メリット等」が、学生に伝わっていない・浸透していないことに起因する忌避感が挙げられます。
また、学生の運転経験・慣れが、熊本中心市街地の中心市街地での運転への抵抗感・不安感を低減していく傾向も見られました。
これらのことから、私たち熊本中心市街地の立体駐車場業者としては、学生に「熊本中心市街地の立体駐車場を利用してもらう」機会を提供し、利用経験を増やし、慣れてもらうことこそが、利用機会増加につながると確信しました。
その一環として、「立体駐車場の利用方法・料金・使い勝手・メリット等」をわかりやすく訴求していくことに加え、学生が利用する施設との提携をはじめとした割引方法についても検討していくことで、「学生にとって立体駐車場を身近なものに」と意を新たにしました。その点、パスート24の立体駐車場では、強みである「有人管理」を活かした、柔軟な施策を打つことが可能です。
これからもパスートグループではこうした調査を通じて、熊本中心市街地の未来を担う、学生をはじめとした若者たちの思いをくみ取るとともに、時代に応じた駐車場づくり・サービスにつなげていき、サスティナブルなまちづくりに貢献していきます。
調査の詳細
「普通運転免許を持っている学生の皆様の駐車場利用状況アンケート」
熊本県の学校(高校・専門学校・大学・短期大学など)に通う学生を対象に、中心市街地の駐車場を利用する頻度や目的、立体駐車場への印象、居住エリアから中心市街地までの距離別での駐車場利用状況の変化などを調査した。
◯調査期間: 2023年4月11日~4月30日
◯調査方法: オンラインアンケート(Google フォーム利用)
◯対象者: 普通免許を持っている、熊本県の学校に通う熊本県内在住の学生
◯回答者数: 112名
◯設問数: 33問
日本パスート株式会社について
「パスート24」ブランドの駐車場を運営し熊本市中心部をエリアで捉え、中心市街地の活性化に寄与できる施設としての駐車場を作り上げることを目標に事業を展開。熊本市立体駐車場シェア1位、駐車場施工実績110件超の成果をあげた。
さらに平成24年には熊本市の指定管理事業者として「くまもとまちなか駐輪場」事業を開始、駐輪台数のうち約95%を弊社が運営管理を行なっている。
【会社概要】
社名:日本パスート株式会社
本社所在地:〒860-0802 熊本県熊本市中央区中央街4-29 パスート駕町ビル
代表取締役社長:太田 康文(おおた やすふみ)
事業内容: 九州全域の駐車場を開発、大型立体駐車場から、施設への機器設置販売・施工管理、コインパーキング/月極駐車場の開発営業
設立: 1998年10月
株式会社スケッチ・オブ・デザインについて
2005年の創業以来、「思い描いたビジネスをカタチにするデザイン」をパーパスに、あくまでも「デザイン=課題解決の手段」と位置づけたソリューションを提供。熊本には2022年より進出し、「熊本を『思いをカタチにできるまち』に」を掲げ、地元企業の新規事業創発支援や、ITによる課題解決教育、カルチャー関連メディアを展開している。
【会社概要】
社名:株式会社スケッチ・オブ・デザイン
本社所在地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-12-6コアロード西新宿 1206
代表取締役:勝又 啓太(かつまた けいた)
事業内容: Webサイト・映像・その他ツールの企画・制作、新規事業創発支援、アプリケーション企画・UI/UX改善、ITによる問題解決研修の提供、カルチャー関連メディア運営
設立: 2005年12月
HP:https://www.ofdesign.co.jp/
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