【開発事例】デジタル技術で進化する建物管理 — 「デジトリ360」で業務効率化と品質向上を実現
株式会社グラッドキューブ(本社:大阪市中央区 代表取締役 CEO 金島 弘樹 以下、グラッドキューブ)の DX 開発チームはクラウド化および VR 技術によるデジタル取扱説明書(以下「本デジタル取扱説明書」)の開発依頼を受け、大手ゼネコン企業の清水建設株式会社(本社:東京都中央区、取締役社長 井上 和幸、以下、「清水建設」とする)へ提供し、2025年1月7日(火) に開発事例を公開いたしました。
事例紹介ページはこちらをご覧ください。
URL:https://www.glad-cube.com/service/contract_dev_case01.html
清水建設は、建設業界をリードする企業として、多岐にわたるプロジェクトで社会に貢献されています。お客様が複数拠点の建物管理を効率化するために、当社が開発したデジタル取扱説明書「デジトリ360」を活用されています。
今回は、開発を依頼いただいた背景や「デジトリ360」の活用によってどのような改善があったのか、そして今後の展望について、清水建設株式会社 生産技術本部 生産技術開発センター デジタルマネジメントグループ 主査 大垣 様にお話を伺いました。
清水建設株式会社
生産技術本部 生産技術開発センター デジタルマネジメントグループ 主査 大垣 様
- 取扱説明書のクラウド化を導入されたきっかけは何ですか?
大垣 様:これまでの「デジトリ360」は iPad のアプリ版で、セキュリティ面では安心できて、運用もしやすかったんですが、やはりそのデバイスを通じてしか使えないという制限がありました。そこで、建物管理に携わっているすべてのスタッフが、いろんな拠点で使えるようにしたいなと思って、クラウド化の構想が出てきたのです。
クラウド化することで、遠くの場所からでも、複数人がリアルタイムで同じ情報を共有できるようになりますし、それによって建物管理作業もより確実に、そしてスピーディーに進むだろうと確信しました。利便性を最優先に考えた結果、やっぱりクラウド化が一番だなと思って、導入することに決めました。
- 現場で実際にデジタル取扱説明書を使用して、一番便利だと感じた点は何ですか?
大垣 様:iPad のアプリ版を導入する前は、お客様に紙の取扱説明書を印刷したものをファイルに綴じてお渡ししていたんです。普通の住宅なら1冊のファイルで済むんですが、大きな建物だとそれだけでは足りなくて、たくさんのファイルが必要になるので結局、倉庫に保管しなきゃいけないんですよね。
そして、もし建物で不具合があった場合、その取扱説明書を探すのに時間がかかります。ようやく取扱説明書を見つけても、目的の情報を見つけるまでに結構な手間がかかるんです。
例えば、設備機器のアラームが鳴った時、お客様が倉庫の中のファイルから該当する取扱説明書を見つけられなくて、結局、当社の担当者に「早く来てほしい」と直接お願いされることもありました。そうなると、担当者が業務を中断して急いで現場に駆けつけなきゃいけなくなり、お互いに負担が大きかったです。
他の企業では取扱説明書を PDF にして CD-ROM で提供していることもありますが、保管はコンパクトになるものの情報を探す手間は紙とそんなに変わらないんです。
そこで、清水建設では360度実写画像を活用して、視覚的に取扱説明書を簡単に探せるクラウド型システム「デジトリ360」を開発する構想に辿り着きました。
このシステムを導入したことで、お客様が必要な情報をすぐに確認できるようになり、時間が大幅に短縮できて、業務効率も大きく向上しました。実現できて今は本当に便利だと感じています。
- お客様が「デジトリ360」を活用されるシーンが多いのでしょうか。
大垣 様:そうですね、実際にお客様が「デジトリ360」を活用されることが多いです。とはいえ、お問い合わせをいただいた際には、電話を受けた担当者が遠隔で同じ画面を見ながら説明することもあります。
もし建物に特に不具合がない場合は、お客様が「デジトリ360」を使う機会は少なくなりますが、その分、費用を抑えられるというメリットもあります。
大学などで複数の建物を管理されているお客様には、管理効率が大きく向上する点でも高い評価をいただいています。
- 実際にクラウド化はどのようなシーンで活用されていますか?
大垣 様 :「デジトリ360」の制作プロセスでは、外注の制作者と現場の技術者が遠隔地にいながら同じ画面を共有して、確認作業を進めることができるため非常に便利です。この機能によって、リアルタイムで意思疎通ができるようになり、制作の効率が大きく上がりました。複数の拠点にある建物の情報を一元管理できるので、現地に行かなくても遠隔地の建物の状況を正確に把握できるんです。この仕組みのおかげで、情報共有がとても効率よくできるようになり、業務全体が迅速に進むようになっています。
- 社内でもクラウド化による業務改善や効率化が大きく変わったのではないでしょうか。
大垣 様 :はい、社内でもかなりの改善がありました。業務効率が飛躍的に向上して、情報の一元管理ができるようになったことで、更新作業にかかる時間がかなり短縮されました。
お客様においては建物管理者の異動や退職時に引き継ぎがうまくいかないことがよくあったんですが、「デジトリ360」を活用することで、その課題も解消されて、スムーズに情報を共有できるようになりました。新しい担当者が建築の専門知識を持っていなくても、「デジトリ360」の直感的な操作で建物の状況や必要な情報を簡単に把握できるので、業務の安定性がかなり向上しました。
紙の取扱説明書を保管しなくてよくなったおかげで、オフィススペースを有効に使えるようになりました。情報共有がスムーズになったおかげで、トラブルの対応も早くなり、業務全体の品質向上にも大きく貢献しています。
- 活用シーンも多い「デジトリ360」ですが、そもそも360度の実写で取扱説明書を管理しようという構想が生まれたきっかけは何だったのでしょうか?
大垣 様:実は、以前から360度カメラや画像が建築施工にどんなふうに活用できるかをずっと調査研究していたんです。通常のカメラでは、どうしても撮れる範囲が限られてしまいますが、人によっては見たい部分や角度が全然違うんです。360度画像なら、隅々までしっかり確認できるので、誰でも自分が見たい部分を確実に見ることができるんです。これが非常に優れたデバイスだなと気づいたことが、構想の出発点でした。
- 清水建設では技術伝承も行っていらっしゃいますが、そこでも「デジトリ360」は活用されていますか?
大垣 様 :もちろん活用しています。歴史的建造物の修復工事などで「デジトリ360」は活用されています。これまで個人で保存していた修復のために描いた手描きの図やメモ、画像、動画もすべて保存、共有できるんです。これによって、将来的に建物を維持するための貴重な情報を引き継ぐことが可能になりました。
例を挙げると沖縄県の首里城正殿の復元工事や、渋沢栄一の旧邸宅移設工事などでも「デジトリ360」を活用しています。重要なプロジェクトを効率的に、かつ継続的に進めることができ、技術の蓄積や伝承が実現できるようになったことが強みのひとつです。
- 今後、さらにどのような機能や技術を期待していますか?
大垣 様:業務の効率化を進めている中で、もっと便利な機能が追加されることを期待しています。まず、取扱説明書の閲覧履歴を分析できる機能があれば、どこに改善が必要かをもっと簡単に把握できるようになると思っています。
それから、「デジトリ360」を活用した BCP(事業継続計画)機能やツアー機能が加われば、お客様の緊急時や災害対応の支援がもっと効率的にできるようになります。さらに、日常的な点検や法定点検の記録をデジタルで管理できる機能があれば、とても楽になり、法令遵守も確実にできるようになります。加えて機器の清掃時期や耐用年数、更新時期を通知する機能があれば、メンテナンスの漏れも防げて、設備管理の効率化がもっと進むと考えています。
- グラッドキューブに期待することは何ですか?
大垣 様:グラッドキューブには、私たちの視点に立った協業を期待しています。特に、セキュリティの強化と、ユーザーにとって使い勝手のよい UI/UX の提供をお願いしたいです。時代のニーズに合った技術を提案していただけると、業務の効率化や品質向上にもつながると信じています。
- この度は貴重なお話をありがとうございました。
■ DX 開発について
企業のニーズに合わせたシステム開発を提供しています。クラウドやデジタル技術を活用し、業務効率化や生産性向上を実現するソリューションを提案。お客様の業務に深く関わり、最適なシステムを開発・運用サポートします。最新技術を取り入れた柔軟な開発力と、お客様の期待を超える提案力で、さまざまな業界に対応しています。
サービスサイト:https://www.glad-cube.com/service/contract_dev.html
■清水建設株式会社(証券コード:1803)について
清水建設の創業は1804(文化元)年。越中富山の大工であった初代清水喜助が江戸・神田鍛冶町で開業したことに始まります。初代喜助が創業当時から目指したのは、「誠心誠意、心を込めて仕事に取り組み、良いものをつくって信頼されること」。そして今、清水建設は、お客様、そして社会のニーズに応えるため、常に新しい知識や技術を追究しています。
所在地 :東京都中央区京橋二丁目16番1号
代表者名:代表取締役社長 井上 和幸
事業内容:建設事業、建築事業等
公式HP :https://www.shimz.co.jp/
■株式会社グラッドキューブ(証券コード:9561)について
当社のビジョンは「世界で一番、やさしく、つよく、おもろいテックカンパニー」です。
事業内容は、顧客のマーケティング活動を支援するプロモーション統括事業( AI を搭載しコンバージョン率を向上させるための LPO ツール「 SiTest 」等を展開する SaaS、インターネット広告運用代行)、そして企画提案型の受託開発を提供するイノベーション統括事業です。データ解析力と開発力を強みとした幅広い事業を展開しています。
所在地 :大阪府大阪市中央区瓦町2-4-7 新瓦町ビル8F
代表者名:代表取締役 CEO 金島 弘樹
事業内容:SaaS、広告運用代行、SPAIA の開発・運営、
企画提案型の受託開発等
公式HP :https://corp.glad-cube.com/
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