原田宗典6年ぶりとなる新作長編小説『おきざりにした悲しみは』11月8日発売|岩波書店

株式会社 岩波書店

2024.11.08 17:24

吉田拓郎の名曲にのせて贈る、昭和の香り漂う令和の物語。

「おれはもうおじさんではなく、おじいさんだ」──様々な思いをおきざりにして生きてきた長坂誠、65歳。その運命の歯車が或る姉弟との出会いから動き出す。おきざりにされた者など、いない。生きていくかぎり、ささやかでも希望が生まれ、その旅は続いてゆくから。吉田拓郎の名曲にのせて贈る、昭和の香り漂う令和の物語。

作家・原田宗典6年ぶりとなる新作は待望の書き下ろし小説!

 歌い出してすぐに、長坂誠は「しまった」と思った。おれはよりによって何という曲を選択してしまったのだ。おきざりにされた子供たちを前に、「おきざりにした悲しみは」を歌うなんて。馬鹿だな、おれは。心の中ではそう思ったが、歌うのはもう止められなかった。半ばやけくそになって、最後まで歌い切った。
 真子と圭は、神妙な顔で聴き入っていたが、曲が終わるとしばらくは啞然とした表情を呈していた。それから二人は、一斉に拍手し始めた。二人とも、瞳が潤んでいる。
「超イケてる! 超エモい!」
(本書より)

6年ぶりの新作は、待望の颯爽の書き下ろし! あなたが〈おきざりにしてきたもの〉は、私たちが〈失ったもの〉は、なんですか? 悲しみの果て、静かに訪れる再生の物語。

著者からのメッセージ

16歳の頃から、小説を書いてきました。いつの日か、水のような文体を手に入れたい。その文章で、生きているものを書いてみたい。それは、きっと励ましに満ちた物語で、読み終えた人の胸を一杯にするものになるはずだ。そんな小説を、いつか書き上げてみたい。それから50年、ようやくその夢がかないました。「おきざりにした悲しみは」は、僕にとって夢の小説です。どうぞ読んでみてください。
――原田宗典

原田マハさん、片山杜秀さん推薦!

本作『おきざりにした悲しみは』の刊行にあたり、作家の原田マハさん、評論家の片山杜秀さんより推薦のことばをいただいております。

世界のすべてに見捨てられても、きっと神様は見ている。
そう信じたくなる〈奇跡の物語〉です。
――原田マハ(作家)

サヨナラ満塁ホームラン小説だ。藤圭子と山下清と無法松にでも譬えたくなるような子供と年寄りがトリオを組んで辛酸をなめる。下り坂だ、夕日だ、現代日本の底辺だ。けっこう深刻。しかし軽みがある。ユーモアがある。どこか温かな風俗小説の風情。でも物語は暗い夜に向かうほか無さそうな……。いや、堪えられない展開になる。ひっくり返る! 軽みや温かみは幸福を招くのだ。水戸黄門や暴れん坊将軍のような存在が登場する。上り坂になり朝日がさす。悪い奴が吹っ飛ぶ。トリップだ。祝祭だ。荒唐無稽さこそが物語の快感。芝居や映画にもできるぞ。劇作家でもある原田の面目躍如。おきざりにした悲しみが百倍返しされるのだ。
――片山杜秀(評論家)

特集ページでは、全国の書店員さんからお寄せいただいたご感想も掲載しております。ぜひご覧ください。

>>原田宗典『おきざりにした悲しみは』推薦のことば

吉田拓郎の名曲「おきざりにした悲しみ」を原田宗典がカバー

本作『おきざりにした悲しみは』を特集するページをWebマガジン「たねをまく」内にて公開しております。


>>原田宗典『おきざりにした悲しみは』特集ページ

特集ページ内では、原田宗典さんのメッセージ動画や、吉田拓郎「おきざりにした悲しみは」をご自身が歌う「歌ってみた動画」などのコンテンツをご用意しております。以降も、特別なコンテンツを更新予定です。どうぞご期待ください。


>>原田宗典『おきざりにした悲しみは』著者からのメッセージ


>>吉田拓郎「おきざりにした悲しみは」 Covered by 原田宗典

書誌情報

おきざりにした悲しみは
原田宗典
2024年11月8日発売
定価=本体2,000円+税
四六判・上製・272頁
ISBN 978-4-00-061665-2
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