化学反応が3Dで見える!CHEM-ANIMATE 正式リリース - 反応過程を原子レベルで可視化する教育向けWebアプリケーション
PubChem連携により正確な分子立体構造を表示、エステル化から燃焼反応まで、化学反応を直感的に理解できる無料ツール
EMUYN LLCは、化学反応の仕組みを3Dアニメーションで視覚化するWebアプリケーション「CHEM-ANIMATE」を正式リリースしました。反応式を選択するだけで、反応物から生成物へと原子が移動する様子を立体的に観察できます。米国国立衛生研究所(NIH)が提供するPubChemデータベースから正確な分子構造を取得し、エステル化、燃焼反応、置換反応など12カテゴリ・70種類以上の化学反応を収録。教育現場での「反応メカニズムの理解」という課題に対し、視覚的アプローチで解決策を提供します。PC・スマートフォン・タブレットに対応し、ブラウザから無料で利用可能です。化学の授業で「分子がどう変化するのか」を直感的に伝えることができる、新しい教育ツールです。
化学反応を「見える化」する新しいアプローチ CHEM-ANIMATE
私たちは、化学教育における「見えない反応過程」の理解という課題に向き合ってきました。教科書には「CH₃OH + CH₃COOH → CH₃COOCH₃ + H₂O」といった化学反応式が並びますが、そこには結果しか書かれていません。原子がどのように動き、どのように新しい結合が形成されるのか—この「過程」を想像することは、多くの学習者にとって大きな壁となっています。
CHEM-ANIMATEは、この課題に対する私たちの答えです。反応を選択するだけで、原子レベルの動きを3Dアニメーションとして観察できます。エステル化反応でメタノールと酢酸が出会い、酢酸メチルと水に変化する瞬間を、アニメーションで見ることができるのです。
60種類以上の反応を12カテゴリで収録
CHEM-ANIMATEには、代表的な化学反応を幅広く収録しています。
収録カテゴリー:
エステル化(酢酸メチル合成、酢酸エチル合成、ギ酸メチル合成、安息香酸メチル合成など)、燃焼反応(メタン、エタノール、水素、エチレン、プロパン、アセトンの燃焼)、置換反応(メタンの塩素化、SN2反応、ベンゼンのニトロ化、フリーデル・クラフツ反応)、付加反応(エチレンの水素化・臭素化・水和、アセチレンの水素化、ベンゼンの水素化)、酸化還元(エタノール→アセトアルデヒド、2-プロパノール→アセトン、過酸化水素の分解)、脱水反応(エタノール、1-プロパノール、シクロヘキサノールの脱水)、縮合反応(アルドール縮合、クライゼン縮合、ベンゾイン縮合)、加水分解(酢酸エチル、尿素、無水酢酸の加水分解)、分解反応(重曹、炭酸カルシウム、塩素酸カリウムの熱分解、水の電気分解)、無機反応(鉄と硫黄、亜鉛と塩酸、マグネシウムの燃焼、アンモニア合成)、芳香族反応(ニトロベンゼンの還元、フェノールの臭素化、ベンゼンのアルキル化)、中間体経由反応(臭素オニウムイオン、カルボカチオン、アルドール中間体など)
各反応には教育的な解説が付属しており、反応条件や反応機構のポイントを学ぶことができます。
PubChemから取得する正確な3D分子構造
CHEM-ANIMATEの大きな特長は、分子構造の正確性です。米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立生物工学情報センター(NCBI)が提供する化学物質データベース「PubChem」から、リアルタイムで3D分子構造データ(SDF形式)を取得します。
これにより、メタノールの立体配置から、ベンゼン環の六角形構造、シクロヘキサノールの椅子型配座まで、実際の分子形状を忠実に再現できます。教科書の平面的な構造式では伝わりにくい「分子の立体性」を、リアルな3Dモデルで表現しています。
スムーズな3Dアニメーションで反応過程を表現
アニメーションは3つのフェーズで構成されています。
①接近フェーズ(0-30%):反応物同士が近づいていきます。例えば、エステル化反応ではメタノールと酢酸が接近し、反応の準備が整います。
②反応フェーズ(30-70%):原子が移動し、結合が組み替わります。cubicイージング関数による滑らかな動きで、どの原子がどこへ移動するのかを追跡できます。
③分離フェーズ(70-100%):生成物が離れていきます。エステル化反応では、酢酸メチルと水が別々の分子として分離します。
原子サイズやズーム倍率はスライダーで自由に調整でき、見やすい表示にカスタマイズできます。
直感的な操作パネル
3D表示領域の下部には、わかりやすい操作パネルを配置しています。
再生/一時停止ボタン:ワンクリックでアニメーションを制御できます。
進捗バー:ドラッグすることで、反応の任意の時点にジャンプできます。「ちょうど結合が切れる瞬間」を静止画として観察することも可能です。
速度調整:0.25倍〜2倍の範囲で再生速度を変更できます。ゆっくり見たい反応は0.5倍速で、繰り返し確認したい反応は2倍速で、学習スタイルに合わせて調整してください。
ループ設定:アニメーション開始時・終了時の停止時間を0〜5秒で設定できます。授業での演示に便利な機能です。

教育現場での活用シーン
CHEM-ANIMATEは、さまざまな教育シーンで活用できます。
高校化学教育で: 教科書の反応式だけでは理解しにくい分子の立体構造の化学反応における変化を視覚的に示せます。見ているだけで飽きないアニメーションで、深い理解が得られます。
高校レベルを超えた反応式も: SN2反応、フリーデル・クラフツ反応など、反応機構の理解が求められる場面で威力を発揮します。
自宅学習・復習で: スマートフォンやタブレットからアクセスできるため、通学中や自宅での学習にも最適です。何度でも繰り返し見ることで、反応のイメージを定着させることができます。
利用方法
CHEM-ANIMATEは、https://app.emuyn.net/chemani/ からブラウザでアクセスするだけで利用できます。
インストール不要、ユーザー登録不要で、完全無料です。Chrome、Firefox、Safari、Edgeの最新版に対応しています。
使い方は簡単です。画面左側のカテゴリーメニューから興味のある反応を選択するだけ。すぐに3Dアニメーションが始まります。PubChemからの分子データ取得のため、インターネット接続環境が必要です。一度取得したデータはキャッシュされますので、オフラインでも利用できるようになります。
技術的な仕組み
CHEM-ANIMATEは、以下の技術で構成されています。
分子データ取得:PubChem APIを使用し、反応物・生成物の3D構造データ(SDF形式)をリアルタイムで取得します。
原子マッピング:反応物と生成物で、同じ元素の原子を距離ベースでマッチングします。これにより「どの原子がどこへ移動したか」を追跡できます。
座標補間:線形補間とcubicイージング関数を組み合わせ、中間位置を滑らかに計算します。
リアルタイム描画:3Dmol.jsライブラリを使用し、毎フレーム分子構造を再描画します。
原子マッピングは元素種と距離に基づく簡易的な実装のため、実際の反応機構とは異なる場合がありますが、教育目的での「反応の可視化」には十分な精度を実現しています。
注意事項
CHEM-ANIMATEは、化学反応に興味を持っていただくことを目的に設計された教育ツールです。
原子が入れ替わる過程は模式的なもので、実際の反応では複雑な遷移状態を経由しますが、このアプリでは「反応前」と「反応後」をスムーズにつなぐアニメーションとして表現しています。結合の切断・形成も視覚的に簡略化しています。
研究用途での使用には、元のデータソース(PubChem)を直接参照し、データの正確性を検証してください。
EMUYN LLCについて
私たちEMUYN LLCは、教育現場で本当に役立つツールを開発することをミッションとしています。統計解析アプリケーション「Reactive stat」を筆頭に、EDUYN ブランドにて、今回の「CHEM-ANIMATE」で化学教育分野にも貢献します。
今後も、学習者の「わからない」を「わかった!」に変える、直感的なツールを提供してまいります。
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