Fernandesロゴマーク商標出願、代理人を介し「意見書」が提出されました。

令和会グループ合同会社

2025.12.06 16:36

これまでの全容を掲載し、経過報告します。

審査は継続、意見書はJ-PlatPatで公開されています。

商標出願 2024/07/20

商標

2024年7月30日にFernandes 商願2024-082750

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-2024-082750/40/ja

出願から16ヶ月経過。

拒絶理由書2025/04/02

拒絶理由通知書 (商標出願2024-082750)

  1/            

拒絶理由通知書

商標登録出願の番号     商願2024-082750

起案日           令和 7年 3月25日

特許庁審査官        吉野 晃弘        5474

商標登録出願人代理人    中澤 昭彦 様

適用条文       第4条第1項第15号  

この商標登録出願については、商標登録をすることができない次の理由があり ますので、商標法第15条の2(又は同法第15条の3第1項)に基づきその理 由を通知します。  

これについて意見があれば、この書面発送の日から40日以内に意見書を提出 してください。  

なお、意見書の提出があったときは、商標登録の可否について再度審査するこ とになります。                 理 由 ■第4条第1項第15号(商品又は役務の出所の混同)  

この商標登録出願に係る商標(以下、「本願商標」といいます。)は、別掲の とおり、「FErnandEs」の文字を、「F」の文字については、左右に反 転させ、1画目の先端を鉤状にし、さらに斜体にした態様で表し、残りの文字に ついては、筆記体風の書体で表してなるものです。  

ところで、埼玉県戸田市所在の「株式会社フェルナンデス」は、本願商標と類 似する「FERNANDES」及び「フェルナンデス」の文字からなる商標を、 50年以上にわたりギター等の商品に使用していたところ、当該各商標を付した ギターは、複数の著名なアーティストによって愛用されるなど、国内有数のギタ ーブランドとして、その需要者に広く知られているものです(引用情報1~4参 照)。  

また、現時点においても、「株式会社フェルナンデス」の製造に係るギターは 、中古品が数多く流通しており、人気を博していることからしますと(引用情報 5~7参照)、当該各商標は、本願商標の出願時のみならず、現時点においても 、その需要者によって広く認識されているものというのが相当です。  

さらに、「株式会社フェルナンデス」が、商品「ギター」について、本願商標 と酷似する商標を使用していた実情も確認することができます(引用情報8~1 0参照)。 以上を併せみますと、本願商標をその指定役務に使用するときは、その役務が 、「株式会社フェルナンデス」、又は同社と、組織的、経済的に何らかの関係が ある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について誤認を生ずるおそれがあります。  

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当します。

意見書  2025/08/30

意見書 (商標出願2024-082750)

  1/

【書類名】      意見書

【あて先】      審査官殿

【事件の表示】   【出願番号】   商願2024-82750

【商標登録出願人】   【識別番号】   519197941  

 【氏名又は名称】 大塚 貴彦

【代理人】   【識別番号】   100096035  

 【弁理士】   【氏名又は名称】 中澤 昭彦

【意見の内容】

(1)拒絶理由の要点  拒絶理由は、「この出願の商標は、株式会社フェルナンデスが商品ギターに使用する著名商標に類似するため、株式フェルナンデス、又は同社と組織的・経済 的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所につ いて誤認を生じるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する」というものである。

(2)本願が登録されるべき理由  

1)株式会社フェルナンデスは、エレクトリックギター、エレクトリックベー スを中心に企画・販売していた日本の楽器メーカーである。2025年6月に破産を 申請し、同年7月9日に東京地方裁判所から破産手続開始決定を受けた。                              

【資料省略】                                            

 2) つまり、現時点で株式会社フェルナンデスは日本において破産しようとしてい る会社である。  

また、「FERNANDES」商標の一部は「他社に譲渡されている」とする情報もあ る。          

 【資料省略】

3) 従って、商品ギターや楽器、電気増幅器の需要者にとっては、いまだ著名性が あると思料するが、本件出願が指定した35類「広告業,インターネット及び電 子メールを利用した商品の販売に関する情報の提供・・・・」等についてまで、 需要者が著名であると認識することはなく、また、そのための証拠も示されていない。  

逆に、日本において破産しようとしている会社の商標によって、商標選択の余 地を著しく狭めることになり、きわめて不当と思料する。

(3)結論  以上のとおり、本願に対する拒絶理由はないものと確信する。  

よって、この出願の商標はこれを登録すべきものとする、との査定を求める。

(4)その他  なお、本出願人としては、上記主張にもかかわらず拒絶理由が解消されない場 合には、該当する役務を削除する用意がある。

拒絶理由書2025/10/28

 

拒絶理由通知書

商標登録出願の番号     商願2024-082750

起案日           令和 7年10月16日

特許庁審査官        吉野 晃弘        5475

商標登録出願人代理人    中澤 昭彦 様

適用条文       第4条第1項第7号  

この商標登録出願については、商標登録をすることができない次の理由がありますので、商標法第15条の2(又は同法第15条の3第1項)に基づきその理由を通知します。  

これについて意見があれば、この書面発送の日から40日以内に意見書を提出 してください。  

なお、意見書の提出があったときは、商標登録の可否について再度審査することになります。                 理 由 ■第4条第1項第7号(公序良俗を害するおそれ)  

この商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」といいます。)は、別掲のと おり、「FErnandEs」の文字を、「F」の文字については、左右に反転 させ、1画目の先端を鉤状にし、さらに斜体にした態様で表し、残りの文字については、筆記体風の書体で表してなるものです。  

ところで、埼玉県戸田市所在の「株式会社フェルナンデス」は、本願商標と類似する「FERNANDES」及び「フェルナンデス」の文字からなる商標を、 50年以上にわたりギター等の商品に使用していたところ、当該各商標を付した ギターは、複数の著名なアーティストによって愛用されるなど、国内有数のギタ ーブランドとして、その需要者に広く知られているものです(引用情報1~3参 照)。  

また、現時点においても、「株式会社フェルナンデス」の製造に係るギターは 、中古品が数多く流通しており、人気を博していることからしますと(引用情報 4~6参照)、当該各商標は、本願商標の出願時のみならず、現時点においても 、その需要者によって広く認識されているものというのが相当です。  

さらに、「株式会社フェルナンデス」が、商品「ギター」について、本願商標 と酷似する商標を使用していた実情も確認することができます(引用情報7~9 参照)。 以上を併せみますと、出願人が本願商標を自己の商標として採択するにあたり 、独創性の高い上記ロゴと偶然に一致したものとは考え難く、むしろ、上記ロゴ の存在を知った上で、剽窃的に本願商標を出願したものと推認されますから、本 願商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり、その登録を認 めることは商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないというべきで す。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当します。

※なお、出願人は、令和7年3月25日付拒絶理由通知書に対応して、同年8月 30日受付意見書を提出し、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当しな い旨主張するとともに、その主張が認められない場合は、該当する役務を削除する補正を行う用意がある旨述べています。  

しかしながら、本願商標は、その指定役務全般に該当するものであることに加 え、上記のとおり、商標法第4条第1項第7号に該当するものですので、指定役 務を削除する補正によっては解消しないことを申し添えます。

意見書  2025/12/05

意見書 (商標出願2024-082750)

  1/

【書類名】      意見書

【あて先】      審査官殿

【事件の表示】   【出願番号】   商願2024-82750

【商標登録出願人】   【識別番号】   519197941  

 【氏名又は名称】 大塚 貴彦

【代理人】   【識別番号】   100096035  

 【弁理士】   【氏名又は名称】 中澤 昭彦

【意見の内容】  

以下、、出願人の意見をそのまま記載する。  

拒絶理由について、1ページ目は、消滅した法人である旧株式会社フェルナン デス社の周知性についての説明であり、本願マークの周知性の説明にはなってない。破産した会社の商標については、知財高裁の判例平成22年7月21日・平 成21(行ケ)10396の判示がある。

「拒絶理由通知書の発布日、令和7年10月16日には株式会社フェルナンデス 社の法人格は消滅しており,商標を使用する可能性はなくなっていたはずである から,商標法上において保護すべき信用を欠く商標となっており,同社商標と本 願商標との間で商品の出所についての一般的混同が生ずることがあり得ない状況 となっていた。かかる取引の実情をも考慮すれば,本願商標と同社商標は誤認混 同のおそれのない非類似の商標であることが明らかである。」  

さらに、同社は本願商標を出願、登録する手続きをもとっておらず、本願商標 が先願として審査を受けていることは事実である。(先願主義 商標法第8条)  

このため、例えば、商標登録を行わずに商標の使用を開始したが、その後、その類似範囲において第三者が商標登録を行った場合、その第三者が優先的に保護 されることになった場合に該当する。  

知的財産高等裁判所は、破産会社の登録商標は使用される可能性が極めて低く、出所混同を生じるおそれはないとして、先願の他人の商標に類似する商標(商標法 4条1項11号)には該当しないと判断しました」(知高判平22年7月21日 ・平成21(行ケ)10396)。  

具体的に言えば、営業していない店と、営業している店とを間違えるはずはな いという理屈は尤もである。当方がフェルナンデス合同会社を解散したことと、 この知財高裁の判示により、商標法4条1項15号には当たらず、拒絶理由54 74は解消したと言える。  

周知性について、旧株式会社フェルナンデスの周知性については争いのないと ころであるが、本願マークについての周知性については疑問があり、現存する生産物(中古品)の何本に本願マークと酷似するマークが付されているかは不明で すが、1970年代に一時的に使用されたマークで、当時商標出願も登録もされ ていないマークです。今現在、このマークを知っている人が数多くいて、需要者 に広く知られているものと果たして言えるかどうかについて熟慮したところ、その周知性は低い。(最高裁平成29年2月28日判決エアマックス事件)  

さて、商標法4条1項7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれが ある商標」について商標登録を認めない旨の規定である。

特許庁の審査基準では 、本号に該当する例として、  

1)商標の構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれら の結合、音である場合、  

2)指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、  

3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、  

4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、  

5)当該商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある等、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合、が挙げ られている (特許庁「商標審査基準」4-1-7)。  

拒絶理由は、「当該商標の出願の経緯に社会的相当性を欠く」と理由付け商標登録を拒絶するが、この判断は極めて主観的なものであり、当方は到底承服でき ない。  

そして、本願ロゴマークは独創性の高いロゴマークではない。ギターメーカー フェンダー社のトランジション・ロゴ(TransitionLogo)で採用 している筆記体の書体で、FErnandEsと9文字で綴ったものであり、特 に独創性のない同種の書体であるから、独創性のあるデザインとは言えず著作権 はない。それを認識した上で、商標権を獲得するべく適正な手続きで商標出願し ているのである。  

また、文中にたった一節、「上記ロゴの存在を知った上で、剽窃的に本願商標 を出願したものと推認されますから、本願商標は、その登録出願の経緯に社会的 相当性を欠くものであり、その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反す るものとして容認し得ないというべきです。」として拒絶理由としている。  

しかしながら、どの様なものでも商標出願をすることは自由である。  

例えばロゴマークを出願する際に、そのマークが商標登録されているか、いな いか、マークを調査する。そして商標登録されていないマークを出願するのが 通常である。しかしそれをも「登録出願の経緯に社会的相当性を欠くもの」というのであれば、商標出願は、出願時にあらゆる企業のマークについて調査しなけ ればならない必要性が生ずる。商標登録されているマークも、登録されていない マークもすべて調べ、尚且つ周知、或いは著名な商標と思われるすべての指定商 品及び指定役務についてまでも調べる必要が生ずる。あらかじめ知る為には、出願時にこの調査を実行しなければならず、そうすることは不可能と言えるので、 登録商標の出願をする際には、どの様なものでも自由に出願することが出来るというのが実際である。実務的には登録されていないマークを出願することが適切と言える。そして本願マークは、商標登録されていないマークである。  

そうすると、商標登録されてないマークで、旧株式会社フェルナンデスがフェ ンダーモデルを製造する際に一時的に使用していたマークと酷似するからといっ ても、登録をされていないマークを出願したのであるから、その出願する行為と本願マークを公序良俗に反するということは出来ない。  

さらに言えば、既に旧(株)フェルナンデス社は、消滅した法人であり、本願 マークと酷似するとされるマークの所有者はいないのである。そして、中古品に商標権はない。商標権の消尽の原則(商標法第26条1項2号および第25条) によれば、商標権者やその許諾を受けた者によって正当に市場に流通(販売)さ れた商品については、その後の転売や中古品としての取引には商標権の効力は及 ばないという原則を鑑みれば、本願商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性 を欠くものであり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないとまで言うことはできない。  

本来商標登録を受けるべき旧株式会社フェルナンデス社のマークだと仮定して も、自らがすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず,出願を怠っ ていたような場合であったと推認する。この場合についても、「公の秩序や善良 な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない。」と 判示している。(知的財産高等裁判所 平成19年(行ケ)第10392号)  

よって本件は、特段の事情がある例外的な場合と言うことはできないので、拒絶理由5475は明らかに不当である。  

なお、本出願人としては、上記主張にもかかわらず拒絶理由が解消されない場合には、該当する役務を削除する用意がある。

以上

初回の拒絶理由は、■第4条第1項第15号(商品又は役務の出所の混同) 、当方のフェルナンデス合同会社、法人解散により、拒絶理由は解消したわけですが、その後に特許庁は、■第4条第1項第7号(公序良俗を害するおそれ)を拒絶理由とした。

【知的財産高等裁判所 平成19年(行ケ)第10392号 平成20年6月26日 判決言渡】の判示、
『この第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは,商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので,特段の事情のある例外的な 場合を除くほか,許されないというべきである。
そして,特段の事情があるか否かの判断に当たっても,出願人と,本来商標登録を受けるべきと主張する者(例えば,出願された商標と同一の商標を既に外国で使用している外国法人など)との関係を検討して,例えば,本来商標登録を受けるべきであると主張する者が,自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず,出願を怠っていたような場合や,契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず,適切な措置を怠っていたような場合(例えば,外国法人が,あらかじめ日本のライセンシーとの契約において,ライセンシーが自ら商標登録出願をしないことや,ライセンシーが商標登録出願して登録を得た場合にその登録された商標の商標権の譲渡を受けることを約するなどの措置を採ることができたにもかかわらず,そのような措置を怠っていたような場合)は,出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は,あくまでも,当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから,そのような場合にまで, 「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない。』
として、具体的な例を掲げ、第7号による拒絶を断じているにも拘らず、第7号を拒絶理由とした審査はやはり不当というべきである。

本出願が、特許庁のいう「当該商標の出願の経緯に社会的相当性を欠く」というのであれば、商標を出願する際に、都度、その商標出願が社会的相当性があるものかどうかを吟味しなければならない。そして出願について萎縮してしまう。さらに言えば、先願でなくともその商標を使用しているだけで登録商標と同様の効果を獲得することが出来るのであれば、敢えて印紙代を払ってまで出願する者はいなくなる。それは、登録商標制度の崩壊を意味することなので、経済産業省がそのようなことを推奨するはずもないのである。












 

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