PressWalker エミュイン合同会社医療現場の臨床評価を支援する臨床評価スケールアプリ CliniScale をリリース - 250種類以上の標準化スケール票をWebアプリで簡単利用

医療現場の臨床評価を支援する臨床評価スケールアプリ CliniScale をリリース - 250種類以上の標準化スケール票をWebアプリで簡単利用

システム・通信

著作権情報を明示し、医療者が安心して利用できる環境を実現。オフライン対応・PWA化により、診察室でも即座にアクセス可能

合同会社emuynは、医療現場で使用される標準化されたクリニカルスケールを簡単に利用できるWebアプリケーション CliniScale をリリースしました。本アプリは、HAM-DやYMRSなどの精神科評価尺度から、APACHE IIやSOFAスコアなどのICU重症度評価、ALSFRSやBarthel Indexなどの機能評価まで、250種類以上のスケール票に対応。各スケール票の著作権情報を構造化して明示し、利用条件を一目で確認できる仕組みを導入しました。PWA（Progressive Web App）技術により、オフライン環境でも動作し、スマートフォンやタブレットからホーム画面に追加して、診察室で即座に利用できます。自動計算機能により入力ミスを防ぎ、セッション保存機能で入力中のデータを保護。医療者の負担を軽減しながら、標準化された評価の実施を支援します。

医療現場での標準化評価を、もっと身近に

私たちは、医療現場で日々患者さんの状態を評価する医療者の皆さんが、標準化されたスケール票 (クリニカルスケール) をもっと気軽に、そして正確に使えるようにしたいと考えてきました。紙のスケール票を探したり、計算間違いを心配したり、著作権の問題で使用を躊躇したり——そんな小さなストレスを解消し、本来の患者ケアに集中していただくために、臨床評価スケール票 アプリ CliniScale を開発しました。

250種類以上のスケール票を、一つのアプリで (2025/10 現在)

本アプリには、以下のような幅広い領域のスケール票を収録しています。本文末尾に、全スケール票のリストを載せてあります。

精神科・心理評価
HAM-D（ハミルトンうつ病評価尺度）、YMRS（Young躁病評価尺度）、BPRS（簡易精神症状評価尺度）、GAF（機能の全体的評価）など
ICU・重症度評価
APACHE II、SOFA、SIRS、qSOFA、CURB-65、A-DROPなど
神経学的評価
NIHSS（脳卒中スケール）、mRS（modified Rankin Scale）、ALSFRS-R、GCS（Glasgow Coma Scale）など
機能評価・ADL
Barthel Index、FIM、Katz Index、Lawton尺度など
疼痛・症状評価
NRS、VAS、LANSS、DN4など
その他専門領域
Child-Pugh分類、MELD Score、HAS-BLED、CHA2DS2-VAScなど

著作権情報を明確に表示

医療現場で最も懸念されるのが、スケール票の著作権問題です。本アプリでは、各スケール票に以下の構造化された著作権情報を表示しています:

ライセンスカテゴリー
自由利用可、引用表記必須、非営利のみ無料、許諾必要（無料）、許諾必要（有料）、商用ライセンス必須、制限あり、要確認の8段階で分類
使用条件の詳細
商用利用の可否、許諾の要否、料金の有無、研修の必要性を一目で確認できるアイコン表示
開発者情報
原開発者、日本語版作成者などの情報を明記
推奨事項
実装時の注意点や推奨される使用方法を提示

許諾が必要なスケール票については、入力フォームをブロックし、誤って使用することを防ぎます。一方で、「非営利・教育目的での提供」として利用可能なスケール票には、その旨を明示し、医療者の責任において臨床判断に活用していただけるようにしています。

自動計算で入力ミスを防止

スケール票の計算は、意外と間違えやすいものです。特に複雑な条件分岐がある場合や、サブスケールの合計を求める場合など、手計算では時間もかかります。

本アプリでは、入力と同時にリアルタイムで計算を実行。必須項目がすべて入力されると、自動的に総得点やサブスケール得点、重症度判定が表示されます。さらに、設定された閾値を超えると、警告や緊急アラートが色分けされて表示されるため、重要な所見を見逃しません。

例えば、APACHE IIスコアが25点以上になると「重篤」として赤色で強調表示され、即座に注意を喚起します。HAM-Dで自殺念慮の項目に高得点が入力されると、緊急アラートが表示されます。

条件分岐にも対応した高度なフォーム

スケール票の中には、前の質問の回答によって次の質問が変わるものがあります。例えば、ALSFRS-Rでは「胃瘻の有無」によって摂食動作の評価方法が異なります。

本アプリでは、このような条件分岐を自動的に処理。ユーザーは表示された質問に答えるだけで、適切な評価が完了します。隠れた質問項目は自動的に非表示になり、フォームがシンプルに保たれます。

セッション保存で入力データを保護

診察中に急な呼び出しがあったり、一時的に評価を中断しなければならないことはよくあります。そんな時も、本アプリなら安心です。

入力内容は自動的にブラウザのセッションストレージに保存され、500ミリ秒ごとにデバウンス処理で更新されます。ページを閉じる前やコンポーネントが破棄される前には、確実に保存が実行されるため、データが失われることはありません。

1時間以内であれば、同じスケール票を開くと前回の入力内容が自動的に復元されます。入力をやり直したい場合は、「入力内容をリセット」ボタンで簡単にクリアできます。

オフライン対応とPWA化

本アプリは、Service Worker技術を活用したPWA（Progressive Web App）として実装されています。これにより、以下のメリットがあります:

オフライン動作
一度アクセスすれば、静的ファイルがキャッシュされ、インターネット接続がなくても基本機能が利用できます。診察室のWi-Fi環境が不安定でも問題ありません。
ホーム画面に追加
スマートフォンやタブレットのホーム画面にアイコンを追加でき、ネイティブアプリのように起動できます。
高速な起動
キャッシュされたファイルから即座に起動するため、待ち時間がほとんどありません。
オフラインインジケーター
ネットワーク状態を常に監視し、オフライン時には画面下部に通知を表示します。

詳細情報パネルで参考文献にアクセス

各スケール票には、詳細情報パネルが用意されています。ここでは以下の情報を確認できます:

基本情報（正式名称、対象年齢、評価目的、実施時間）
開発背景（開発者、発行年、理論的基盤）
著作権・使用条件の詳細
得点化・解釈のガイドライン
参考文献（PubMed、DOI、論文URLへの直接リンク）
公式URL（MDCalc、ClinCalcなどの外部ツールへのリンク）

参考文献のURLは自動的にリンク化され、クリックするだけで元の論文や公式サイトにアクセスできます。doi、PMID、PMCIDにも対応しており、学術的な裏付けを確認したい時に便利です。

レスポンシブデザインで、どんなデバイスでも

本アプリは、Tailwind CSSとVue.jsを用いたモダンなフロントエンド技術で構築されています。スマートフォン、タブレット、デスクトップPCのいずれでも、最適なレイアウトで表示されます。

検索とフィルタで目的のスケール票を素早く発見

膨大な数のスケール票から目的のものを見つけるのは大変です。本アプリでは、以下の方法で素早く検索できます:

キーワード検索
スケール票名、目的、正式名称で検索。部分一致で候補が絞り込まれます。
カテゴリフィルタ
精神科、神経内科、救急・集中治療、整形外科・リハビリなど、診療科別にフィルタリング。
著作権フィルタ
著作権バッジをクリックすると、詳細情報パネルが開き、使用条件を即座に確認できます。

検索とフィルタは組み合わせて使用でき、現在の絞り込み条件は画面上部のサマリーに表示されます。

結果の詳細レポート機能

評価が完了したら、「結果の詳細を見る」ボタンをクリックすることで、入力内容と計算結果を整理したレポートページが新しいタブで開きます。このレポートには以下が含まれます:

入力した全項目の値
計算された総得点とサブスケール得点
重症度判定
トリガーされた警告・緊急アラート

このレポートは、固有のURLが付与され、弊社のサーバーに安全に保存されますので、事後に電子カルテへの記載や、チーム内での情報共有に活用できます。

なお、提供中のスコア票には、患者さんの「個人情報」に関する項目は含まれませんので、安心してご利用いただけます。患者氏名や患者IDを項目に入れてご利用いただく場合は、セキュア問診票でのご利用をご検討ください。

今後の展開

以下の機能追加を予定しています。

より多くのスケール票の追加（広く使われているスケールであればリクエストに応じて無料で追加します）
電子カルテとの連携
弊社のセキュア問診票（個人情報・個人データを侵害しないウェブ問診システム）との質問表定義が共通ですから、実臨床での本格運用への移行が容易です。セキュア問診票のユーザー様には、無償でスコア票を問診票として使えるよう、ご希望のスコア票を移行いたします。

医療現場からのフィードバックを積極的に取り入れ、より使いやすく、より信頼性の高いツールへと進化させていきます。

利用開始方法

本アプリは、以下のURLから無料でご利用いただけます:
https://cliniscale.emuyn.net/

アカウント登録は不要。ブラウザでアクセスするだけで、すぐに使い始められます。スマートフォンの場合は、「ホーム画面に追加」することで、アプリのように利用できます。

ご意見・ご要望・追加リクエストは、以下のお問い合わせフォームからお寄せください:
https://www.emuyn.net/CliniScale/inquiry

注意事項

提供しておりますスコア票は、基本的には訓練を受けた医療者が利用する目的のものです。本アプリは医療行為を補助するツールであり、診断や治療方針の最終的な判断は、医療者の責任において行われるべきです。

免責事項

本アプリは、医療現場での評価を補助する目的で提供されていますが、以下の点にご留意ください:

医療判断の補助ツール
本アプリは、医療者の臨床判断を補助するためのものであり、診断や治療方針の最終決定を代替するものではありません。使用に際しては、必ず医療者の専門的判断を優先してください。
データの正確性
本アプリに収録されているスケール票の情報、計算ロジック、参考文献などは、開発時点での最新情報に基づいていますが、完全性や正確性を保証するものではありません。使用前に、最新のガイドラインや公式文献をご確認ください。
著作権と利用条件
一部のスケール票には著作権や利用制限が存在します。本アプリでは、各スケール票の使用条件を明示していますが、ユーザーは自身の責任において、著作権やライセンス条件を遵守する必要があります。
データ保護
本アプリは、患者の個人情報を含む入力項目を意図的に排除していますが、ユーザーが個人情報を入力した場合、その管理と保護はユーザーの責任となります。弊社は、入力データの漏洩や不適切な使用について一切の責任を負いません。
オフライン利用
オフライン機能は、キャッシュされたデータに基づいて動作しますが、ネットワーク接続がない場合に最新の情報が反映されない可能性があります。重要な臨床判断を行う場合は、オンライン環境での使用を推奨します。
責任の制限
弊社は、本アプリの利用によって生じるいかなる直接的、間接的、偶発的、特別、または結果的な損害（データの喪失、医療上の誤判断、経済的損失などを含む）について、一切の責任を負いません。本アプリは「現状のまま」提供されるものであり、明示的または黙示的な保証（特定の目的への適合性を含む）は一切ありません。もしも計算上の間違いがあったとしても、結果の正確性を確認する最終責任は利用者が追うものとします。間違いに気づかれた際には、ご連絡いただければ速やかに対処いたします。
利用環境
本アプリは一般的なブラウザやデバイスでの動作を前提としていますが、特定の環境での動作保証はいたしません。技術的な問題が発生した場合は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。