恋愛のゴールは「結婚」が当然ですか?あなたは過去に何人の恋人がいましたか?

レゾンデートル株式会社

2025.03.22 20:15

恋愛感情と結婚に関する実態調査(第2報) ~ロマンチックラブイデオロギーと結婚のリアル、恋愛結婚の終焉~

 

結婚生活に悩みや不満をもつ人は多いです

その原因の1つに、「恋愛と結婚を同じもの」と考える価値観があるでしょう。恋愛と結婚は全くの別モノであり、結婚後もパートナーに恋愛感情を持ち続けることは難しいにもかかわらず、恋愛と結婚は強固に結び付けられています(※1)。

 

ロマンチックラブイデオロギーという言葉をご存知でしょうか。社会学の言葉ですが、難しい説明は抜きに簡単に言えば「恋愛で結ばれた者同士が結婚して家族を作るのが当然だし、そうあるべき」という考え方です。

「普通のことじゃない?」と感じる方もいるでしょうが、その昔、恋愛結婚は一般的な形ではありませんでした。恋愛(ロマンチックラブ)は感情の問題、結婚は家制度や生活制度として、全くの別ものだったのです(※2)。

 

「恋愛結婚を当然」とするロマンチックラブイデオロギーは、恋愛への憧れが広がった19世紀のヨーロッパで生まれました。日本で一般に定着したのは1960年代とされています(※3)。ちょうど日本で「お見合い結婚」と「恋愛結婚」の件数が逆転した頃です(※4)。

しかし、20世紀に多くの国々で標準的な考え方になったロマンチックラブイデオロギーですが、現在は大きな「揺らぎ」を見せているのではないでしょうか。

 

日本の状況だけを考えても、離婚が当たり前になり離婚率が高止まりしている状況です。また、夫婦間のセックスレスの問題も深刻で、多くの調査ではセックスレス夫婦が5割を超えると推計されています(※5)。有名人の不倫報道が連日ニュースを騒がせ、若者の結婚離れ、恋愛離れも進む状況で、まだ少数ですが、「恋愛と結婚は切り離すべきでは?」と主張する人も目に付くようになりました。

そこで、既婚者マッチングサイト「Healmate(ヒールメイト)」を運営するレゾンデートル株式会社(東京・新宿区)では、結婚と幸せ、既婚者の人生の在り方を改めて考えるヒントとして、ロマンチックイデオロギーを切り口にした「恋愛感情と結婚」に関するアンケート調査を実施しました。

 

第2回のテーマは「結婚と恋愛の結びつき」です。日本では1980年代が「恋愛至上主義」時代のピークだったとされていますが(※6)、それから40年を経た現代人の恋愛観について分析します。加えて、現代人の恋愛経験について明らかにしました。

 

(引用・参考)

※1 牛窪恵:『恋愛結婚の終焉』(光文社新書、2023年)

※2 谷本奈穂・渡邉大輔「ロマンティック・ラブ・イデオロギー再考―恋愛研究の視点から」、『理論と方法』31巻1号(数理社会学会、2016年)

※3 大塚明子「近代家族とロマンティック ・ラブ ・イデオロギーの2類型」『文教大学女子短期大学部研究紀要』第45集(2002年)

※4 国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査』(2023年)

※5 レゾンデートル株式会社『夫婦のセックスレスに関する実態調査』(2023年)

※6 木村絵里子「1980 年代の「恋愛至上主義」」、高橋幸・永田夏来編『恋愛社会学: 多様化する親密な関係に接近する』(ナカニシヤ書店、2024年)

 

<調査概要>

・調査タイトル:恋愛感情と結婚に関する実態調査(ロマンチックラブイデオロギー調査)第2報
・調査期間:2024年12月19日~30日、2025年1月31日~2月14日 
・調査対象者:20~59歳の男女4,000人(男性2,000人、女性2,000人)
・調査方法:インターネット(セルフ型アンケートツールFreeasyを利用)
・エリア:全国
・調査機関:レゾンデートル株式会社(https://raisondetre-inc.co.jp/
・調査報告の掲載:https://healmate.jp/survey/romanticideology_lovers
・本報告の発表日:2025年3月7日

 

<調査対象者について>

次の通り男女、各年代とも均等なサンプルになっています。

・20代男性:500人(全男性の25.0%)、20代女性:500人(全女性の25.0%)
・30代男性:500人(同25.0%)、30代女性:500人(同25.0%)
・40代男性:500人(同25.0%)、40代女性:500人(同25.0%)
・50代男性:500人(同25.0%)、50代女性:500人(同25.0%)

回答者は全都道府県におおむね人口と相関する形で分布しており地域的な偏りはありません。

 

 

1)恋愛のゴールは「結婚」?

 

「恋愛感情と結婚に関する調査(ロマンチックラブイデオロギー調査)」の第1報(ヒールメイト調べ)では、67%の人が「結婚するなら恋愛結婚が良い」と回答しました。

「恋愛至上主義」時代とよばれる1980~1990年代ですら、大人になってからの恋愛は結婚を意識するものという共通認識がありました。逆に言えば、「結婚する気はないけど付き合う」のは邪道という意識があったのです。では、若者の草食化や恋愛離れ、結婚離れ、セックスフレンドなどの性愛の多様化が進む令和時代の人々は、恋愛と結婚をどのように結びつけているのでしょうか。20代~50代の男女4,000人に、「恋愛のゴールは結婚であるべきか?」を尋ねてみました。なお、回答者は未婚者(2,151人)と既婚者(1,849人)を含みます。

 

図1_恋愛のゴールは結婚?

 

すると、令和の現代においても5割以上の人が「恋愛のゴールは結婚」という考え方に賛同していることが判明しました。少々驚かされる結果です。特に男性は55.8%が賛成であり、女性の44.3%を10ポイント以上も上回ります。男性の方が保守的でロマンチストという傾向を示すと判断できるでしょう。

それにもかかわらず、「婚外恋愛に関する実態調査 第1報」(ヒールメイト調べ)では、既婚男性の3人に1人に婚外恋愛経験があり、女性の16.1%を大きく上回ります。もちろん性的な問題はあるでしょうが、男性はロマンチストであり、恋愛を求める意識が結婚後も抜けないと言えるかもしれません。

 

婚外恋愛経験の有無_男女_婚外恋愛調査より

レゾンデートル株式会社「婚外恋愛に関する実態調査」2023より)

 

 

◎年齢層による意識の違い

続いて、年齢層による違いを見ていきます。平成生まれが大半を占める20代・30代と、昭和生まれで「恋愛至上主義」時代に青春を過ごした人も多い40代・50代で意識の違いはあるでしょうか。

 

図2_恋愛のゴールは結婚?_年代別

 

すると、面白いことに、各年代でも男性の方が「恋愛のゴールは結婚」という考え方に賛同する割合が高く、前世代で5割を超え、特に50代男性は突出して賛成派が高い割合を示している(63.4%)ことが判明しました。男性は年代にかかわらず保守的でロマンチストであり、50代はさらにその傾向が顕著といえるかもしれません。

また興味深いのは、女性は年代による差が小さいことでしょう。賛成派が最も多い50代女性ですら、47.2%と半分に届きません。

 

この結果から、恋愛と結婚を結びつけるロマンチックラブイデオロギーにとらわれているのは、むしろ男性ということが言えるのではないでしょうか。

 

◎結婚に繋がらない恋愛は無意味?

少し聞き方を変え、「結婚に繋がらない恋愛は無意味と思うか」を尋ねました。「恋愛のゴールは結婚であるべき」と半数近い人が思うなら、結婚に至らない恋愛をどのように考えるのでしょうか?

 

図3_結婚に繋がらない恋愛は無意味?

 

この聞き方だと、7割以上の人が「無意味ではない」と回答します。男女差も大きくありません。未婚者と既婚者で比べても大きな違いはありません(下表)。また、世代別にみても傾向にほとんど違いがありませんでした。

 

▼表1 「結婚に繋がらない恋愛を無意味と思うか?」(未婚×既婚)

<未婚>
・無意味と思う(163人:7.6%)
・やや無意味と思う(401人:18.6%)
・あまり無意味と思わない(995人:46.3%)
・無意味とは思わない(592人:27.5%)

<既婚>
・無意味と思う(151人:8.2%)
・やや無意味と思う(353人:19.1%)
・あまり無意味と思わない(873人:47.2%)
・無意味とは思わない(472人:25.5%)

 

結論としては、令和の現代人の多くは「結婚につながる恋愛が望ましいが、結婚に繋がらない恋愛が無意味とは思わない」と考えているといえるでしょう。

試みに、これまでの交際人数による意識の違いを比較してみました。すると、過去の恋人数が1人の人で、無意味と思う割合がやや高かったですが、どのようにとらえればよいでしょうか。今の恋人と結婚したい、次の恋人で結婚したいと考える人の割合が高いのかもしれません。

 

図4_結婚に繋がらない恋愛は無意味?_恋人数別

 

 

2)  これまでの恋人の数は?

 

若者の恋愛離れが進んでおり、恋愛と結婚の結びつきを考えるうえで、恋人の数は避けて通れない問題です。アンケート対象者に、「これまでの恋人の数」を尋ねました。同様に、未婚者(2,151人)と既婚者(1,849人)を含みます。

 

図5_今まで何人の恋人がいたか?

 

すると、令和時代の人々もそれなりの恋愛経験があることがわかります。ただし、交際人数が1人以下の男性割合が高く、23.1%が「これまでの恋人数0」と回答しているところが令和的かもしれません。

続いて、年代別にみていきます。

 

図6_今まで何人の恋人がいたか?_年代別

 

20代・30代男性における「これまでの恋人数0」の割合が突出して高く、20代男性は約4割に交際経験がないことが判明しました。20代女性も約2割に交際経験がなく、約4割が「これまでの恋人数が1割以下」となります。若者における草食化と恋愛離れは深刻な様相です。

しかし、先ほど紹介した通り20代・30代も5割以上が「結婚するなら恋愛結婚が良い」と回答していますから、結婚割合の低下は当然と思えますし、男女交際の経験が少ないなかで、果たして結婚生活をうまく維持できるのか?との危惧が生じます。

 

最後に、未婚者と既婚者の「これまでの恋人数」を比較してみましょう。

 

図7_今まで何人の恋人がいたか?_未婚×既婚

 

既婚者の大半は、2人以上と交際しており、4人以上の割合も45%を超えます。このまま恋愛離れと草食化が進むと、早晩に恋愛から結婚へと流れる恋愛結婚は終焉を迎えるかもしれません。

 

 

3) 今回のまとめと今後の展開

 

令和に生きる人々の恋愛と結婚の結びつきに対する意識を、様々な角度から分析してきました。「恋愛感情と結婚に関する調査(ロマンチックラブイデオロギー調査)」の第1報(ヒールメイト調べ)から、「恋愛と結婚を結びつけるロマンチックラブイデオロギーは令和の現在も健在との結論になりました。しかし、恋愛と結婚を結びつける意識はいまだ高いにもかかわらず、恋愛経験が乏しくなる一方の現状は、恋愛結婚の終焉を予感させます。

 

これまでの「恋愛結婚」や「恋愛と結婚との結びつき」に関する調査は、「恋愛感情と結婚に関する調査(ロマンチックラブイデオロギー調査)」の序奏です。この調査の本当の目的は、結婚後のパートナーへの恋愛感情を分析し、そもそも恋愛と結婚は結びつくものなのかを明らかにすることにあります。

 

幸せそうなカップル

 

配偶者にずっと恋愛感情を保ち続けている人は、どの程度いるのでしょうか。また、恋愛感情が夫婦愛や家族愛に発展している夫婦は、どれほどいるのでしょうか。

結婚は、家族をつくる行為です。家族には、生活や生計、子育て、介護などの機能があり、恋愛感情がなくなったからといって簡単に解消できません。もともと別ものだった恋愛と結婚の結合によって生じる矛盾を、令和の人々はどのように考えているか、興味深いところです。

 

加えて、ロマンチックラブイデオロギーは、「結婚したら生涯パートナーを愛し、他の異性と性関係を結ばない」という規範がセットとなっています。このため、ロマンチックラブイデオロギーが広がる前の時代は、男性が妾や愛人を持つことが当たり前でしたが、今では、妻以外と恋愛関係や性関係を結ぶことは悪とみなされるようになりました。

しかしここ数年、配偶者の許可を得て他の異性との恋愛や性関係を自由化するオープンマリッジを選択する夫婦が注目されるなど、現在の結婚の在り方を問い直す動きも出ています。1990年代によく議論されたロマンチックラブイデオロギーが、令和の現代に再び注目を集めるようになったのには、そのような背景があるのでしょう。

 

今後の調査では、恋愛感情と結婚の関係、既婚者の内面を深掘りしていきたいと考えます。

 

◎調査の目的

私どもレゾンデートル株式会社(東京都新宿区)は、「結婚後の新たな生き方」を提案する既婚者向けメディアやネットサービスの展開を行うシステム開発企業です。現代の夫婦関係のあり方や多様性を把握し、今後のサービス開発に向けた市場動向を探るため、今回の調査を企画しました。

 

◎調査内容・本リリースに関するお問い合わせ

今回の調査内容やデータの詳細に関するお問い合わせ、報道関係の皆様の取材依頼やお問い合わせは下記までお願い申し上げます。

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