“最後の面接”<ひとりではない>特許出願体験記【12】
2014年から2016年の2年間に渡る実体験を綴る特許にまつわる彼是(アレコレ)
エキゾチックレザーを使った個性的な財布を提案するブランド「リボーン」を展開する合同会社リボーン(本社:東京都台東区、CEO:高島成央)が、自身の体験を基にした初物づくしの特許出願ドラマチックストーリー第十二話
“最後の面接”<ひとりではない>
返答期限のリミットは “7月19日”
気持ちも時間もギリギリの状況でしたが、7月4日“Mさん” から【反論趣旨】と【補正書案】が送られてきます。
その時に
『ぎりぎりになってしまいましたが、できれば審査官と面接し、補正案の可否につき意見をもらい、以下の反論で納得できそうか感触を当たってみてください。今回の補正が不適切である、あるいは反論が納得できないという感じであれば権利化は難しいと思います。』
そう書き添えられていました。
人事異動
早速その日のうちに特許庁に電話して審査官の方をお願いすると、受付の方から意外なことを言われました。
審査官の方が6月いっぱいで人事異動により自分の特許出願の審査官から外れて、別の審査官に変更したというのです。
後で知ったのですが、人事異動でも案件は引き継ぐことが多いので、審査途中での審査官の変更は特許庁でも珍しいことらしいです。
期日直前での審査官の変更が何を意味するのか分かりませんが、追って新しい審査官からの連絡を待つように言われました。
7月19日が返答期限なので、出来るだけ早い日程での面接を希望している旨をお伝えして特許庁からの連絡を待ちました。
ひとりではない
程無くして新しい審査官の方からご連絡を受け、翌日7月5日の15時30分に面接が決まりました。
翌日に面接が決定したことをご報告した“Mさん”から、温かい励ましのお言葉をいただきました。
がんばってください。
一応念押しですが、本願発明のポイントは次の点です。
ここに特許性が認められるかどうかで結論が左右されます。
つまり本願発明は引用例のような単なる着脱自在な収納具ではなく、連結部材を介して互いに連結可能な多種多様な表装具の一群全体が発明の構成要素なのであり、この表装具群がユーザーに提供されることで初めて発明の目的を達成することができるのです。この点を審査官に強調して下さい。
“Mさん”からのメールはいつでも温かく、そして寛容でした。
最初は、一人で歩き始めた道が ‘ひとりではない’ そう思えることがこんなにも心強く感じる日がくるなんて思いもよりませんでした。
最後の面接
新しく担当になった審査官の方は、人当たりの良い女性の方でした。
ご連絡させていただいてから早々の面接日を提案していただいたことへの御礼と、初めてお会いしたことへのご挨拶を済ませると早速、実際の製品を持参していたので、それらを持って説明を加えながら【反論趣旨】と【補正書案】に目を通していただいて、ご意見を伺いました。
“天か地か” ドキドキの瞬間でした。
『今回の補正が不適切である、あるいは反論が納得できないという感じであれば権利化は難しいと思います。』
“Mさん” のお言葉が頭を駆け巡ります。
長い沈黙のあとに審査官の方からでた言葉は
『補正案は拒絶理由通知に対する補正の要件を満たしていると思います。』
反論要旨についても
『たしかに、引用例との違いのポイントを明確に強調されているので大丈夫だと思います』
とのお言葉を頂きました。
続けて注意点として
『全てが無駄になってしまうので、期日だけは過ぎない様に提出して下さいね。』
とアドバイスいただき、直前での面接を快諾いただいた事も併せて再度御礼を告げて、特許庁をあとにしました。
そしていつも特許庁の帰りに寄っていた日枝神社で参拝と、本日の面接のご報告をしました。
この時の気持ちは、嬉しい気持ちよりも、少しだけ“ホッ” とした気持ちの方が大きかったです。
もしかしたら、特許庁の門をくぐることはこの日が最後になっていたもしれなかったからです。
特許取得に向けて、光が差し込んできたように感じていました。
【特許取得が絶対目標】としていたのには理由がありました。
何はともあれ、首の皮一枚つながったことは間違いなかったので、兎に角 “ホッと” した気持ちと共に、明日から期日に間に合うように明細書の補正をすることを肝に銘じながら、日枝神社の階段から街を眺めていました。
その∞へ続く
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