“諸刃の剣”<戦略としてのグレー>個人で特許出願体験記【08】

合同会社リボーン

2022.12.08 10:33

2014年から2016年の2年間に渡る実体験を綴る特許にまつわる彼是(アレコレ)

エキゾチックレザーを使った個性的な財布を提案するブランド「リボーン」を展開する合同会社リボーン(本社:東京都台東区、CEO:高島成央)が、自身の体験を基にした初物づくしの特許出願ドラマチックストーリー第八話

“諸刃の剣”<戦略としてのグレー>

【出願審査請求書と早期審査に関する事情説明書】

“Mさんとの運命的な出会い” のあと“Mさん”のご尽力のお蔭で、5ヶ月かけて明細書を完成させ2015年7月7日に改めて特許出願【国内優先権の主張】を済ませて参りました。

ご報告も済ませると早速、出願審査請求書と早期審査に関する事情説明書の作成に取り掛かりました。


特許出願しただけでは、特許権を得ることはできません。

通常ですと特許出願から1年半後に、特許出願の情報(明細書)が開示されます。

(特許取得できた場合、この開示日から特許件の侵害を訴えることができるようになります。)
 

特許出願から審査請求をせずに3年間が過ぎたところで特許出願の権利が消滅します。
ですので、特許権を得る為には特許出願から3年以内に審査請求をしなければなりません。

先日の【抑止力としての特許出願】は、この3年間のイニシアティブを指しています。

実は、“Mさん” からも当時、この3年間のイニシアティブのアドバイスを受けたこともありましたし、商標登録などのアドバイスもいただいておりました。

特許出願には、“白か黒か?” だけではなくて “戦略としてのグレー” も存在する、ということだと思います。

当時の自分は猪突猛進というか、伸るか反るか!

そんな気持でしたので、‘何としても一日も早く特許を取得するために頑張る’ことしか頭にはありませんでした。

今思えば、そういった戦略的なことも考えられない程に余裕がなかったのかもしれません。

 

◆ここで、特許出願においてもっとも基本的な注意点を書き忘れていたので、念のために記載します。


 【特許出願前の注意点】

 特許出願をする以前に、過去の出願に同じものがないかチェックするのはもちろんですが、絶対にやってはいけないのは “特許出願するものを公共の場に知られてはいけない” です。

例えば、今は多くのSNSなどがありますが、そういった場で出願前に『今度、これで特許出願します』みたいに載せてしまったら、その時点でアウトです。


特許の基本は【出願以前にまだ世の中に存在していない】ことが絶対条件なので、たとえ出願人本人でも公共の場に知られてはいけないので注意してください。

 

【出願審査請求書】と【早期審査に関する事情説明書】

普通に特許出願をして、一年半後には情報公開されるのですが普通に審査請求をして特許取得までに要する時間は二年半~三年くらいかかると言われていました。

出来るだけ早く審査をしてもらいたかった自分は、特許出願の翌週に【出願審査請求書】と同時に【早期審査に関する事情説明書】の書類を提出してきました。


特許出願をしただけでは審査されることはないので、特許出願のあとに審査して下さい、と【出願審査請求書】の手続きをしなければならないのですが、普通に【出願審査請求書】をしただけでは、審査まで二年くらいかかるともいわれています。(特許出願から一年半後に情報公開されてから順番に審査されるからです)

*出願審査料金

118、000円+(請求項の数X4,000円)


 

ですが、『一日でも早く審査していただきたい』そう思っている方の為に、特許には早期審査というものがあります。

早期審査・早期審理制度は、一定の要件の下、出願人からの申請を受けて審査・審理を通常に比べて早く行う制度です。


◆早期審査請求は、通常の審査請求と比べて(1年半~2年)飛躍的に早い審査(3ヶ月程度)を受けれるというメリットがありますが、その反面、出願情報の公開が早まることは勿論ですが、特許出願から早ければ半年あまりで特許出願の権利が消滅してしまうかもしれないというデメリットもあり、まさに諸刃の剣です。

 

(1) 早期審査の申請をするには、「早期審査に関する事情説明書」、早期審理には「早期審理に関する事情説明書」の提出が必要です。

事情説明書には、書誌事項のほか、早期審査または早期審理を申請する事情、先行技術文献の開示及び対比説明などを記載する必要があります(一部、例外があります。詳細については、早期審査・早期審理ガイドラインを御覧ください。)。

(2) 特許庁に対する手続は無料です(通常の審査請求料等はかかります。)。

詳しくは特許庁の【特許出願の早期審査・早期審理について】をご覧ください。

 

【特許料等の減免制度】

 特許には、【特許料等の減免制度】といったものがあります。

一定の要件がありますが、該当すれば審査請求料や特許料(10年分)などが2分の1から3分の1に減免されます。

詳しくは【特許料等の減免制度】をご覧ください。

 

何はともあれ【出願審査請求書】【早期審査に関する事情説明書】と併せて【特許審査料の減免】の提出も無事に済ませてほっと一息…束の間の休息と共に、あとは特許庁からの連絡がくるのを待つのみの ‘ざわざわとした日々’ が始まりました。


その9へ続く

 

 

【Re-Bone Wallet/リボーンウォレット 製品開発秘話】

 

 

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