“国内優先権の主張”<ひとりでは何処にもいけない>個人で特許出願体験記【06】
2014年から2016年の2年間に渡る実体験を綴る特許にまつわる彼是(アレコレ)
エキゾチックレザーを使った個性的な財布を提案するブランド「リボーン」を展開する合同会社リボーン(本社:東京都台東区、CEO:高島成央)が、自身の体験を基にした初物づくしの特許出願ドラマチックストーリー第六話
【国内優先権の主張】<ひとりでは何処にもいけない>
ひょんな思いつきから2014年に特許庁を訪れて【発明協会(発明会館)】を紹介していただきました。
そして【発明協会(発明会館)】を訪問しながら特許書類を作成。
出来上がった特許書類を持って特許庁を訪ねたところ【弁理士会館】をご紹介していただきました。
特許願の作成を進める中で、弁理士の方々の助言によって【商標登録出願】を作成して提出。
翌年、2015年1月に【特許出願】を特許庁の職員様の後押しも手伝って無事に済ませて参りました。
その日は、それまでお世話になった方々のお顔を思い出しながら、只々感謝の気持ちと晴れ晴れとした気持ちの帰り道だったことを想い出します。
特許庁の最寄駅は虎の門ですが、この日から赤坂見附駅まで歩いて帰る道中の日枝神社に参拝するようになりました。
お会いした弁理士の方に言われていた『本当の勝負は出願してからだから』の言葉を肝に銘じて再び弁理士会館へ通う日々となります。
というのも、弁理士会館でお会いした弁理士の方から
『アイディアが浮かんだら、とりあえず書類を作製して特許出願を先行して行うと良いよ、その後で更にアイディアをひねり出しながら書類の完成形を作るんだ。大手企業は皆、その手法を取ってるから』と、アドバイスしていただいていたのです。
【国内優先権の主張】
◆実は、【特許出願】には、出願してから一年以内ならば可能な【国内優先権】といった制度があるのです。
先の出願の出願人と改良発明の出願(後の出願)の出願人が、完全同一であることが必要だったり、先の出願が特許になっていない、あるいは拒絶査定になっていない、放棄、取下げになっていないこと等いくつかの条件がありますが、それらの条件をクリアしていて 特許出願から一年以内ならば【国内優先権の主張】ができるのです。
要約すると、もう一度特許料を払って特許出願をするようなものなのですが、先の出願からの改良発明ならば先の出願と紐づけた日付での特許出願が出来るというものです。
自分も一月に何とか特許出願したものの、当時の特許願では厳しいことは実感していたので更に完成形に近づける必要がありました。
当時の特許出願は、説明図も含めたトータルで全9ページ程度のものでした。
遅くても一年以内(目標は6ヶ月に設定してました)に、完成させて【国内優先権の主張】をするべく弁理士会館を訪ねては書類を訂正、書き足しする日々が続きました。弁理士会館でお会いした弁理士の方ひとり一人から色々なご指摘やアドバイス、叱咤やお褒めのお言葉など本当に有り難く、建設的な時間を経験させていただきました。
それこそ【発明の名称】からご指摘いただいたりしておりました。
【着脱自在着せ替え財布】といった書き方をしていたのですが、“着脱自在”と“着せ替え”は似たような意味が重複しているから、この辺も審査官から補正が入るかもしれないよ?とか
【課題】や【手段】【効果】の部分が薄っぺらいから、ここをもっともっと考えつくものを書き足して厚みを出していかないと等、親身になったアドバイスをしていただいたことが本当に有り難かったです。
当時の自分は、意味を広げて書いているつもりでしたが全く広くなく勿体無い表現をしていたのだと思います。
明細書の書き方一つとっても、『ここの書き方だけど』といって特許出願の書類には、ある程度の形があるんだよ。
『〇〇と〇〇を併せ持った〇〇という名の〇〇』みたいなね…とアドバイスいただいたこともありました。
また、形状や素材、その集合体など様々な発想へのヒントも、この頃にお会いした弁理士の方々のお蔭でした。
‘人はひとりでは何処にも行けないんだな’
そんな気持ちで弁理士会館へ通いながら明細書の内容を膨らませながら完成形を目指しながら歩き続ける日々が続いていきます。
その頃に ‘Re-Bone Wallet/着脱財布・リボーンウォレット’ の最初のプロトタイプ(試作品)が上がってきます。
弁理士の方からアドバイスいただいた通りに実際に出来上がってからわかる効果や、そこから感じたことなどを明細書に書き足ししていきました。
ある日、ある弁理士の方から『仕事としては受けられないけど、困った事があったら連絡しておいで、些少だけど力になれるかもしれないから』そう言われて某大手企業の専属の弁理士の方から名刺をいただいたりした時も非常に有り難かったです。
それまでお会いした弁理士の方から言われていた言葉を思い出しました。
『自分ひとりで、そこまで仕上げたのは正直たいしたものだと思うけど、やっぱりプロじゃないから惜しいよね…このまま出願するのは』
何が惜しいのだろう? どこが惜しいのだろう?
そんな疑問が頭の中をグルグルと駆け巡る中で、自分が出来ることはやってきたつもりだし、これ以上時間をかけてもしょうがないんじゃないかな?そんな気持ちが少しずつ芽生えてきました。
その7へ続く
【弁理士の方からいただいたアドバイス】
◆特許出願は取得する為だけではなく、とりあえず特許出願をすることによって他社に対して“特許出願をしている商品” という抑止力にもなるんだよ。
といったことや(特許出願をしてから3年間の時間の猶予があるので)特許は出願しただけでは審査してもらえないので、審査請求をする必要があるのですが、この審査請求は特許出願よりも多くの費用が掛かるので、この手法を使う大手企業も多いんだよ。とのことでした。
◆とにかく、明細書に関しては書き過ぎということはないので一つでも多くの事柄を記載するように。審査に入ってからは書き足しは一切できなくなるので、あとで後悔しないように万全を期して審査に臨めるように、何度も何度も練り直して書き足して、書き過ぎなくらい書きなさい。
◆アイディアが浮かんだら、とりあえず特許出願を出来るだけ早く行うこと。
その後からじっくりと取り組んで考え得る全ての可能性も含めて書類を作成して “行ける!” と思ったところで【国内優先権の主張】で特許出願をすること、最初の特許出願から期限は一年。
その間に ‘特許取得は難しい’ と感じたのならムリに審査請求をする必要はない。
【Re-Bone Wallet/リボーンウォレット 製品開発秘話】
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